まず最初にお知らせです。メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の激アツ!介護経営塾 〜選ばれる介護事業所であり続けよ〜」の第5回配信記事、「介護事業所で活用される ICT〜その期待と懸念〜」が先ほどアップされました。
使えるICTとは何か、それを具体的にどう使うのかということを示した記事です。
国はICTを人の削減のために活用しようとしていますが、本当に求められることとは、ICTを活用することによって、重労働で生産性が低いという介護労働のイメージを払拭して、介護の仕事をしたいという人を増やすという、介護人材の増加を目指す目的でなければならないということも論じています。
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さて今日の本題に移ります。
介護職員の国家資格は、「介護福祉士」であることは今更いうまでもありません。
しかし介護職員になるために介護福祉士の資格を持たねばならないというわけではありません。
介護保険制度において、介護職に資格が求められているのは、「訪問介護」のみであり、訪問介護員となるためには、「介護職員初任者研修」(旧2級ホームヘルパー養成講座)を受講する必要があります。試験のない研修さえ受講済みとなれば、訪問介護員になることができます。
しかし介護施設をはじめとした、その他の介護事業については、何の資格を持たなくとも介護職員になることはできるのです。
ただし日常生活継続支援加算やサービス提供強化加算といった、事業運営に必要不可欠な加算を算定するには、一定割合以上の介護福祉士有資格者を配置している等の要件があることから、多くの介護事業者では、介護福祉士の資格を持つ人材を求めています。
そして多くの介護事業者では、同じ介護職員として雇用する場合も、介護福祉士の資格取得者と、資格を持たない人との間に、待遇差を設けています。
例えば僕が総合施設長を務めていた社福では、介護職員を正社員として雇用する場合は、「介護福祉士資格取得者」であることを条件にしていました。資格がない人については、正社員と賞与などの待遇に差がある、「準社員」として雇用し、資格取得後にはじめて正社員に昇格するシステムとしていました。
そのような状況もあり、働きながら介護福祉士の資格を取りたいという動機付けを持つ人は多いのだと思います。
そもそも介護の仕事に従事する人にとって、介護福祉士とは唯一の介護の国家資格なのですから、その取得を目指すのは当たり前のことです。
その資格を得ることは、その資格にふさわしい知識と技術を身に着けることにほかなりません。同時にその資格をもって介護業務に従事することは、その資格にふさわしい責任を持ち、利用者の方々から信頼を得られる仕事を行うという宣言であり、その証にもなります。
しかし介護福祉士国家資格取得のための実務者ルート(※介護福祉士養成校等を卒業せず、実務経験のみで試験を受けるルート)は2016年度〜介護の実務経験3年と併せて、さらに450時間・6ヶ月の『実務者研修』を受けて、国家試験に合格する必要があることになっています。
そのハードルの高さについては過去に、「介護福祉士の養成ルートの変更について」という記事を書いて論評しているところですが、現に働きながら受験しようとする人にとって、介護福祉士の資格を取るために、現場の仕事から最低限450時間外れることは決して簡単ではありません。
そうした困難を克服して、『実務者研修』を受けようとしても、その研修自体が居住地区で開催されていない地域も多いのです。その場合、どうしても資格を取得したいとなれば、研修開催地に一定期間滞在して受講しなければならなくなります。
研修費用に加えて、滞在費も別にかかるのは大きな負担だ。そのために資格取得をあきらめてしまう人も多いのです。
そこでこの度、『実務者研修』を全国どこにいても受講できるようにする、『介護移動学校』を創設しようとして、仲間が立ち上がりました。
設立メンバーには、「DNAを引き継いでくれる若い力」で紹介した、片山海斗クンも入っています。彼のFBには、この学校について次のような抱負が書かれています。
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人材不足に度々言及する厚労省ですが、2025年に向け国を上げて介護人材を何とか増やすでしょう。
ただそうなると、介護職員の質は問われなくなり目の前の利用者に対しての待遇、接遇。介護施設内で虐待の増加。目に見えています。そんな介護業界誰も望んでいません。(中略)
根本的に介護業界を少しでも良くするためには正しい知識や技術を教えるだけではなく「実学」を教え伝承させ”歴史を刻む”こと。
介護業界を変えるってこういうことだと思います。
介護業界に課題が山ほどある中で上部だけ観てちゃいけないんです。(片山海斗のFBより引用)
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そのために、「1年間で1000人以上の介護福祉士を育成するために介護の学校を全国展開します。」と述べたうえで、「この事業、ぶっちゃけ1000万以上掛かかってます。少しでもご支援していただけませんか。」と呼び掛けています。
そこで、その設立にかかる資金の一部をクラウドファンディングで集めることになりました。

スタートは2月5日です。
このプロジェクトを是非成功に導きたいと思い、僕も協力しています。
それは設立メンバーや、設立団体が利益を得るために協力するという意味ではなく、一般社団法人Create Your Lifeという設立団体が、介護業界に真に必要とされる、「本物の人材」を育成しようと考えているから協力するのです。
そのため講師陣も、その趣旨に沿った有能なメンバーを揃えています。信頼できる仲間の活動を全力で応援したいと思います。
その成果は皆さんの職場に、彼らが育てた人材を送りこむという結果に結びつき、その人材が事業発展に寄与するという形で還ってくるはずです。
ぜひご協力をお願いいたします。
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