昨日は朝から津波警報が出されて驚きましたね。避難された方も多いと思いますが、ご無事でしたでしょうか。
海に囲まれた日本・・・そしてあの3.11で多くの方が津波によって命を奪われたこの国で、津波の予報には、どのように敏感になっても足りるということはないと思います。大丈夫だろうという安易な予測は禁物ですよね。避難指示には素直に従ったが、結果的に避難する必要はなかったと思うよりも、何もなかったことをよかったと思うべきですよね。
気候変動の影響からか、台風や水害といった災害も増えています。油断した心に自然は容赦なく鉄槌を下しますので、日ごろの備えは十分にしておきたいものです。
ところで今日1月17日は、阪神淡路大震災からちょうど27年目の日にあたります。
あの日、ニュース画像に映る神戸周辺の被災状況を見て、まさか自分が生きている間に、こんな大きな災害を目の当たりにするなんて思いもかけていませんでしたので大いに驚き、そして心を痛めた覚えがあります。
僕はその当時、登別市内の特養の課長職を務めていましたが、神戸市で被災した女性の緊急入所対応を行うという経験をしました。
その女性は避難所である小学校の体育館で、濡れたおむつを替えることができずに肺炎を発症して緊急入院しておりました。たまたま登別市に親戚がいるということでしたので、その方が入院先での対応に当たり、最終的に登別市に連れてきたいということで対応しました。
その方が暮らしていた家は全壊でしたので、健康保険証や年金手帳・預金通帳など、すべて失われていましたから、それらがない状態で必要な手続きをするのに四苦八苦した覚えがあります。
幸いその方は無事入所でき、数年後にお亡くなりになるまでずっと僕が勤める特養で暮らしておられました。最期は天寿を全うし安らかに旅立っていかれました。
そのように災害から逃れ天寿を全うできた人もいますが、あの震災では6.434人の方がお亡くなりになっています。
そこで亡くなられた方の死とは、1/6.434の死ではありません。それは一人が亡くなった事案が6.434件あったという意味です。震災後の関連死を含めるとその数はもっと増えるのでしょう。
そして一人ひとりの死の周辺には、その何倍もの哀しみが存在することになるのでしょう。失われた人を思い哀しむ人の心の傷は、27年という時が癒してくれているのでしょうか・・・。
今朝、追悼会場の一つである神戸市中央区の東遊園地では、地震の発生時間である午前5:46に灯篭に灯がともされ、「忘 1・17」の文字が浮かびあがりました。

「忘」は公募で選ばれた文字だそうですが、その文字に込められているのは、「忘れてはいけない」との思いだけでなく、「忘れてしまう」・「忘れてしまいたい」などの声も反映しているそうです。
そう聴くと、27年という歳月を経ても癒されない傷を心に残している人がいて、被災地ではいまだに慟哭の声があちらこちらに渦巻いているのかもしれません。
私たちはただ手を合わせて、「安らかなれ」と祈ることしかできません。
思えばこの国ではその震災の後にも、「東日本大震災」という未曽有の災害が発生しています。私たちが生きている間に、生きている国で、2度も大震災が発生しているのです。そして今後もそのような災害が発生しない保証はどこにもありません。
だからと言ってそれに怯えて生きていても仕方がありません。介護事業においては、今年度から義務化されたBCP(業務継続計画)をできるだけ速やかに策定し、従業員全員がその内容を熟知し、実効性のあるシステムとする必要があります。
対人援助のプロとして、私たちが考えるべきこともあります。
他人の暮らしに深く介入して、生活支援のために手を差し伸べる仕事に従事する我々は、いつ何の理由で奪われるかもしれない儚い命に寄り添っているのだという使命と責任を自覚し、誰よりも人の命を尊く思い、人間尊重の価値前提をしっかり護る存在として、そこに居なければならないと思うことが大事ではないのでしょうか。
私たちが利用者の命と尊厳を護ることができたとすれば、数々の災害で失われた方々が、生まれ変わるとしたら、またこの国に生まれたいと思うことができる日本が、そこに存在することになるのではないでしょうか・・・。そんな思いを込めて、今日の記事を締めたいと思います・・・合掌。
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