1/12に第206回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料が公開された。

来月(2022年2月)から介護職員の月額9000円ほどの賃上げを実施するために、「介護職員処遇改善支援補助金」が交付されるが、この補助金給付は9月までの時限措置となっているため、10月以降も給与改善を恒久化するために、臨時の介護報酬改定を行って、介護職員処遇改善加算の新区分を新設することが決まっており、今回の資料はその内容を示したものである。

10月から介護報酬が1.13%引き上げらるという報道がされているが、これは新処遇改善加算の分が1.13%に該当するという意味だと解釈できる。

厚労省の資料説明では、新たな加算の申請手続きの受け付けは8月から始めるとされ、補助金と同様に計画書・実績報告書の提出を求めていく方針も示された。

資料内容を読むと、補助金の仕組みを基本的に踏襲していることがわかる。(参照:介護職員処遇改善支援補助金資料

そのため加算要件として現行の処遇改善加算機銑靴里い困譴を取得している必要があるし、賃上げ効果の継続に資するよう、補助額の2/3は介護職員等のベースアップ等(基本給又は決まって毎月支払われる手当)の引上げに使用するという要件も補助金と同じである。

ただしサービス種別ごとに異なる補助金の交付率と新加算に変更後の加算率は微妙にことなっており、一部のサービスが同率ではあるが、ほとんどのサービスは新処遇改善加算の加算率の方が高い数字になっている。下記は補助金と新加算の資料を参考に、僕が作成した%の比較表である。
補助金交付率と新加算率の比較
これは計算式の違いによるもので、補助金が総報酬に補助率を乗じる仕組み(総単位数+処遇加算+特定加算×地域単価×交付率=補助金額)となっているのに対して、新加算は総報酬から既存の処遇改善加算、特定処遇改善加算の分を除いた点数に加算率を乗じる仕組になっていることの違いによるものである。

これにより%は変わっても、一人が月9.000円の給与改善される金額は変わっていないと説明されている。担当者の方はこの違いを十分理解して計算にあたってほしい。(※わかっているとは思うが、あえて老婆心から書いておきます。

なお事業所の判断により、他の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用が認められているが、その配分方法については特定加算のようなルールが現時点でも示されていないことから、事業所の裁量で全職員同額とするなどの決定を行ってよいし、年収440万円以上は配分対象とできないなどの縛りもないものと理解している。

ただし注意が必要なことがある。それはこの改善によってはじめて年収440万を超える職員については、10月以降特定加算の配分ができなくなるので、逆に給与減とならないように配分額を調整する必要があることだ。

補助金から処遇改善加算の新区分に変わるということは、現行の処遇改善加算と矛盾が生じないように、法定福利費の事業主負担増の分も改善額に含めてよいということだろう。

それにしても処遇改善加算・特定加算・新処遇改善加算という3階建ての加算体系は複雑で、事務処理も煩雑だ。一本化してほしいと思うが、それは2024年度の報酬改定まで待たねばならないのだろうか・・・。

ところでこの給与改善は2月からの補助金が最初になるが、実際に職員に改善分をいつ手渡せばよいかという問題がある。

補助金については本年4月から受付が開始され、2月の改善分は6月から交付されることになるからだ。そこまで待ってもよいのかという問題がある。

2月と3月分は一時金で良いということになっているので規定改正が間に合わない場合、この一時金は今年3月中に、今年2月分も含めた賃金改善を行うことも可だそうだ。受けた補助金が職員に対して一時金として、きちんと2月分から支給されているという証明さえできれば良いのではないだろうか。

しかし、4月以降は補助額の2/3以上は介護職員等のベースアップ等にしなければならないので、4月からの給与はこの分を含めてアップして支給する必要がある。繰り返しになるが補助額の2/3以上は毎月従業員に手渡していく必要があるということなのだ。(※毎月ごとの補助金総額:10月以降は毎月ごとの新処遇改善加算総額の2/3以上をベースアップ等分として、従業員に毎月支給するという意味

この際に、収入となる介護給付額が確定していないので、実際の補助額がわからないことを考慮して、ベースアップ等分は2/3以上とされているのではないだろうか。つまり残りの1/3未満の分を一時金として保留にしておいて、この部分で確定後に調整できるということだ。

よって概算で介護給付費総額を計算したうえで、毎月のベースアップ等に資する分はぎりぎり2/3にしないで、下回らないように余裕をもって設定して、実際の給付額との差額は一時金で調整していくという考え方が良いのではないか。このあたりは各事業者で十分に検討する必要がある。

ところでこの改善費用が国庫負担の補助金から、10月時点で介護給付費に変えられるのわけであるが、そこには大きな矛盾が生まれてくるように思う。

もともと介護職等の給与改善が行われるのは、「成長と分配の好循環」を生み出すための経済政策として行われるものだ。

この政策における、「分配」とは社会の財の再分配を意味し、富める者の資産や資金を国が集めて財政支出するという形で、国民全体に回すことで経済活動を活性化させるとともに、貧富格差の解消にもつなげようというものだ。

しかしその財源が介護給付費に変えられた瞬間から、40歳以上の国民が平等に負担する介護保険料や、利用者の自己負担金が財源となるわけであり、結果的に富裕層ではない人の負担増につながるだけではなく、介護保険財源の確保という名目で、自己負担割合2割・3割負担者の増加や、給付制限の拡大につながることになる。

そういう意味では、10月以降の給与改善分が保険給付化されるということは、政策主旨と非常に矛盾するといえるのではないのだろうか。

国民の利益は、いつも国民の痛みによってもたらされているように思え、僕はこの点いまいち納得できないでいるのである。
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