介護職員等の給与を月額9.000円引き上げるための予算措置を含めた補正予算が12/20に成立したことにより、来年2月〜9月までの給与改善交付金の支給が正式決定されました。
政府はその後10月以降の更なる対応については、令和4年度予算編成過程において検討し、必要な措置を講ずるとしていましたが、昨日(12/22)になって、給与改善を恒久化するために、2022年10月に臨時の介護報酬改定を行う方針を決定しました。
これを受けて昨日、鈴木財務相と後藤厚労相が閣僚折衝を行い、臨時の介護報酬改定について合意に至りました。
臨時の介護報酬改定後は、賃上げの合計額の3分の2以上を基本給、あるいは毎月決まって支払われる手当ての増額に充てることなども求めていくことになります。多くの事業者は、交付金も手当で支給するケースが多いので、これは問題ではないでしょう。
要件を満たす施設・事業所であれば、職場内の多職種にリソースを配分する柔軟な運用も認められるのは、9月までの交付金と同様ですが、配分率などが指定されるのかどうかは、明日(12/24)持ち回りで行われる介護給付費分科会で示される可能性が高いので、注目してほしいと思います。
厚労省の公式サイトに資料アップされるのは、午前10時くらいになると思われます。
昨日の閣僚折衝では、介護報酬に給与改善分を上乗せする際には、既存の「処遇改善加算」の取得を要件とすることも確認されました。これも交付金支給要件と同じです。そのためこれを取得できない居宅介護支援・福祉用具貸与・訪問看護・訪問リハビリテーション・地域包括支援センターなどは、来年10月以降も引き続き賃上げの対象外とされる見通しとなっています。
つまり臨時の介護報酬改定でも、居宅ケアマネ等は賃上げ対象にならないために、居宅介護支援事業所等の報酬は据え置かれるということになります。
ただし詳細は年明けからの社会保障審議会・介護給付費分科会で詰めることになっており、今後の議論で何らかの軌道修正がされるなど、居宅ケアマネ等を賃上げの対象に含まれる可能性もゼロではないという見解も示されています。
今後の職能団体等の働きかけがどうなるかを注目すべきですね。もしかしたらこのことが職能団体の存在意義を問われる問題となる可能性だってあります。国の補助金を受けて、国に物申せない職能団体に会費を支払う無駄だけが浮き彫りにならなければよいのですけどね。
ところで、臨時の介護報酬改定には150億円ほどの国費を投入することになります。しかもそれを介護報酬として事業者に支払うことになるのですから、赤字国債を主たる財源としている交付金とは大いに異なる点があります。つまり来年10月以降は、給与改善費部分に対しても利用者自己負担が生ずるし、保険料財源も使われることになります。
経済政策としての分配を最大の目的としている給与改善の財源が、社会的弱者を含めた国民の負担になってしまうのは大きな矛盾であるように思えます。
またそのことが財源論にすり替わってしまうことによって、今後の介護サービス利用者への給付抑制につながらないのかなどの懸念もありますよね。
介護職の給与が上がることは歓迎されることですが、他職種との待遇差も含めて、簡単に解決できない問題と矛盾を抱えたままの給与改善策になっていると言えそうです。
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