すでに人口減少社会となっているわ我が国では、生産年齢人口の数が急速に減り続けていますが、それに反比例するように後期高齢者を中心にした高齢者の数は増え続けています。

その上昇曲線は2042年頃まで続く推定されていますが、それは要介護者もその時期まで増え続けるのに、その支え手の数は今以上に少なくなるという意味です。

そうした深刻な問題については、「潜在介護福祉士は、いないのと同じ」などで再三指摘しているところです。

しかしその問題の深刻さにも地域差は歴然と存在します。

例えば総務省が公表した2020年国勢調査の確定値によると、北海道内の総人口に占める65歳以上の割合は初めて30%に達し、歌志内市や夕張市など道内5市町村では50%を超えており、これらは限界自治体と呼ばれています。
道内の高齢化率
一方で道内の生産年齢人口は1955年の調査以来、初めて300万人を割っており、北海道の介護人材確保は全国平均より厳しい状況であることが数字で示されています。

しかも北海道の中でも地域差はあって、郡部はより厳しい状況にあるのです。介護サービスを利用したい人はいても、サービスを提供できる職員が集まらないという現象は、札幌などの一部の市を除いて、さらに加速して起こってくるのです。

介護職員の給料が月額9.000円上がっても、人がいないのだからどうしようもありません。道内の介護事業関係者は、この現実をしっかり見つめなければなりません。

それは介護事業者が経営を続けていくうえで必要不可欠となる人材対策について、国の施策に頼っても意味がないということを現わしているのです。そこで何をすべきか・・・。

私たちに今求められているのは、「どうにかなる」という思考回路ではなく、「どうにかするのだ」という主体的な思考回路での人材対策なのです。各事業所に求められるのは、職員の定着化を向上させたうえで、その介護事業者で働きたいという動機づけを与えることです。それが介護事業経営として最も重要な課題となります。

本来、介護事業経営に勝ち負けがあってはならず、自分の所属事業者だけが勝ち残っても、地域全体から見てそれが福祉の後退を意味すれば問題になるのですが、事業経営を続けるための人材の確保面では、厳然と事業者間格差が生じ、その部分での勝ち負けは存在することになってしまうのです。この部分で負け組は、事業経営ができなくなるという意味になります。

どうぞ介護事業経営を続けるための確かな知恵を得てください。職員が安心して働けるように事業者内で人材教育がきちんと行われていますか?おざなりで機械的な教育に陥っていませんか?その成果として職員が定着していますか?

そんなふうに自分の職場が、安定して人材確保ができる事業体質を創りあげているかということを、今一度検証し直してほしいと思います。

国の政治に訴えることも必要でしょう。しかしその期待に必ず応えてくれるという幻想は持たないでください。まず自分自身でできることを最大限に行っていきましょう。「夜間オンコールのアウトソーシングを考える」・「注目に値する通所サービスの共同送迎」で紹介した業務の一部をアウトソーシングする方法や、ICTやAI搭載ロボットを使った業務の省力化といった工夫も、場合によっては必要になるのです。

そうした工夫や努力を全くしないで、「なんとかなる」という甘えた考え方はやめましょう。

どんな方法が自分の職場に合った方法で、業務の省力化につながり人が集まる方法になるのかを真剣に考えて、積極的に取り得る方法を取り入れていかねばなりません。ここはお金を掛けるべきところなのです。

介護人材が十分集まらないところでは、地域包括ケアシステムが成り立たなくなり、それは即ち地域が崩壊することを意味します。そうしてはならないのです。

この問題については、1/28(金)に日本橋教育会館(東京日本橋人形町)で行う、「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは」の出版記念セミナー、「今こそ介護の行方を問う」でもテーマとして取り上げます。「介護ヘルパーが消える日〜介護サービス崩壊に立ち向かう〜」として小島美里氏が特別講演を行うとともに、僕を交えたトークセッションでも議論します。

当日は是非会場までお越しいただき、生の議論を聴いていただければと思います。読者の皆様と会場でお愛できることを楽しみにしております。
登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで無料でサポート・厚労省許可の安心転職支援はこちらから。






※別ブログ「masaの血と骨と肉」と「masaの徒然草」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。

masaの看取り介護指南本看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
きみの介護に根拠はあるか
新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは(2021年10月10日発売)Amazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。