今日午後6時から8時まで、福島県のいわきケアマネ協会主催のオンラインセミナー講師を務める予定となっている。

講演テーマは、「きみのケアマネジメントに根拠はあるか〜カスタマーハラスメント・虐待・自己覚知・科学的介護という課題に向き合う」としているが、これは講演主催事務局の要望で決定されたテーマである。

カスタマーハラスメント・虐待・自己覚知・科学的介護という4つのテーマは、それぞれ独立した一つのテーマとしても120分の講演ができるものであるが、今回はどうしてもそれを1回の講演の中にまとめてほしいという要望だった。

こうした要望にも快く応えて、受講者の方々にも満足いただける講演を行うのは、プロ講師としての責任と義務である。そのためそれらを関連付けながら、浅い内容に終わらないように、新たな講演プロットを作成し、それに沿って講演スライドも完成させて事務局に送っている。

講演プロットを作成しながら考えたことがある。それは今年度の介護報酬改定時の基準改正で、介護事業者にカスタマーハラスメント対策を講ずる義務を課したことについてである。

その背景を振り返ってみたい。

2020年6月1日より改正労働施策総合推進法が施行され、パワハラの防止対策が企業の義務として定められた。(※中小企業については、努力義務期間が2022年3月31日まで設定されており、2022年4月1日から義務化)

併せて、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法においても、セクシュアルハラスメントや妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントに係る規定が一部改正され、今までの職場でのハラスメント防止対策の措置に加えて、相談したこと等を理由とする不利益取扱いの禁止や国、事業主及び労働者の責務が明確化されるなど、防止対策の強化が図られた。

この流れを受けて今年度の介護報酬改定と併せて行われた基準改正において、令和3年度からすべての介護事業者にハラスメント対策を講ずることを義務付けることにした。

当初その対策とは、パワーハラスメントとセクシュアルハラスメントを防ぐものとして議論されていたが、その中で訪問介護等では、ヘルパーや事業者に非がないにもかかわらず、密室化されやすい利用者宅で、顧客(利用者及びその家族)から怒鳴り散らされたり、恫喝されりするカスタマーハラスメントが問題視され、それも含めた対策を講ずることが事業主の責任において行われるように規定されたという経緯がある。

その背景には、顧客から理不尽な暴言を浴びたり、脅すような態度をとられたとしても、「相手はお客様なんだから、多少のわがままは仕方ない」・「顧客を失わないために、あまり気にせず何とかやり過ごせ」などというように、従業員に過度の我慢を強いて何も対策しない事業主が多かったという事実がある。

そうした態度は、事業者責任を放棄した態度であるとして、運営基準の中でカスタマーハラスメントからも従業員を護る責任が事業者及び事業主にあることを明記したのである。

その際、事業者が雇用管理上の配慮として行うことが望ましい取組の例として以下の3例が示されている。
〜蠱未鳳じ、適切に対応するために必要な体制の整備
被害者への配慮のための取組(メンタルヘルス不調への相談対応、行為者に対して1人で対応させない等)
H鏗暇瓢澆里燭瓩亮菫函淵泪縫絅▲觝鄒や研修の実施等、業種・業態等の状況に応じた取組)


法律違反の要求だけではなく、倫理上問題のある行為要求を受け入れる必要はないことをしっかりと確認するとともに、事業者・事業主の責任としてカスタマーハラスメントは放っておかないこと、従業員はカスタマーハラスメントを我慢しないということを運営基準に明記したのである。

そのため全ての介護事業者が、利用者からの理不尽な要求や態度には、事業者側が毅然とした態度で応ずるべきであることを念頭に置くことは当然である。

しかし毅然とした顧客対応が、『介護難民』を生み出しては本末転倒であるということも考えておかねばならない。

カスタマーハラスメント対策として、どうしても暴言や威嚇行為をやめない利用者に対しては、契約破棄も手段の一つだが、私たちの仕事は社会福祉援助であり、人の暮らしを護るために存在するのだから、契約を破棄してあとは知らないという態度であってよいわけがない。

利用者側の問題で契約を終了せざるを得ない場合も、後は勝手にしてくれというのではあまりに無責任と考えるべきであり、契約を終了せざるを得ないケースであっても地域包括支援センターとの連携によるアフターフォローは不可欠と考えてほしい。

カスターハラスメントを繰り返す利用者や家族は、そのような問題を起こす病理的原因が家庭の中に隠されているのではないかという観点も含めて、地域ケア会議の検討対象とする必要があるのだと思う。

地域ケア会議の第1の目的は、法の理念に基づいた高齢者の自立支援に資する地域の介護支援専門員のケアマネジメント支援なのだから、その機能が発揮できないカスターマーハラスメントを繰り返す利用者や家族の問題について、その原因を明らかにして対策を取ることは、地域ケア会議の目的に沿ったものであることを忘れてはならないのである。

介護サービス利用者は、単なるユーザーではなくお客様である。しかしお客様は神様ではない。だから毅然とした態度は時に必要になるが、だからといって介護支援を必要としている人に問題があるからと言って、その人たちが切り捨てられ介護難民となっても仕方がないということではないのである。

私たちは捨てる人ではなく、救う人・寄り添う人であることを忘れてはならない。今日オンライン講演でも、そうしたバランスを考えられる職種、考えるべき職種が介護支援専門員であることを強調したいと思う。
いわきケアマネ協会オンライン講演
それでは、いわき市のケアマネジャーの皆さん、本日18時から画面を通じてお愛しましょう。よろしくお願いします。
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