今更言うまでもないが、介護保険法・第一章・総則には、介護保険制度の【目的】が次のように定められている。
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第一条 この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
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↑つまり介護保険制度は国民の、「保健医療の向上」と「福祉の増進」を目的としているのだ。
その目的を達成するために、保健医療サービス及び福祉サービスは要介護状態となり支援を必要とする人の、「尊厳を護ること」及び「その人の能力に応じた自立を支援すること」という二つの理念を掲げてサービス提供する必要があると定められているのだ。
しかし介護保険制度創設以来、この理念は「自立支援」一辺倒に偏り、「尊厳を護る」という部分の視点に欠ける傾向が強かった。
しかも自立支援も、「有する能力に応じる」という視点が欠落して、一つの目標を定めたゴールを、能力に関係なく全員一律に求める傾向もみられた。
その典型例が竹内理論であり、全国老施協の「おむつゼロ推進運動」である。
それは、個別の能力に関係なく日中のおむつゼロを目指して、全員一律に1.500ml/日もの大量の強制水分摂取と、引きずり歩かせる強制歩行訓練を行う方法論であり、洗脳と虐待と言われても仕方のない方法論である。
しかし悪は必ず滅びる。全国老施協はその間違いに気づき、竹内孝仁及び竹内理論と袂を分かち、2014年度をもって介護力向上講習という洗脳講習の開催を取りやめている。現在竹内理論を実践している施設は、竹内教の洗脳から抜け出せない、妄信信者がトップを務めている施設のみである。
そして介護報酬の体系も、そのようなエセ自立支援を完全否定して(参照:全否定されたおむつゼロ運動と罪悪の歴史)、介護サービス利用者の尊厳を護る方向に舵取りを行っている。
例えば介護施設等のサービス提供強化加算の最上位加算に、「質の向上に資する取組を実施していること」という要件を設け、その具体例の一つとして、「居室の定員が2以上である場合、原則としてポータブルトイレを使用しない方針を立てて取組を行っていること」を挙げている。
また介護施設に新設された、「自立支援促進加算」については、自立支援よりもむしろ生活の質の向上を目指した要件が義務化されている。
前述したポータブルトイレの要件も、この加算に設けられている。
そのほかにも、「食事は、本人の希望に応じ、居室外で、車椅子ではなく普通の椅子を用いる等、施設においても、本人の希望を尊重し、自宅等におけるこれまでの暮らしを維持できるようにする。食事の時間や嗜好等への対応について、画一的ではなく個人の習慣や希望を尊重する。」とか、「経管栄養といった医学的な理由等により、ベッド離床を行うべきではない場合を除き、ベッド上で食事をとる入所者がいないようすること」・「本人の希望に応じて、流れ作業のような集団ケアとしないため、例えば、マンツーマン入浴ケアのように、同一の職員が居室から浴室までの利用者の移動や、脱衣、洗身、着衣等の一連の行為に携わること」という要件がつけられている。
こうした要件を読んで気がついた人もいたと思う。それらは僕が全国各地で行う講演のうち、「介護実務」(介護の誇りというテーマで行う講演など)の講演で紹介している方法であるということを・・・。
車椅子から家具椅子に移乗しての食事摂取がなぜ必要なのか、足を体の前に投げ出したまま、ギャッジベッドの背もたれだけを上げた状態で食事介助をしたり、フルリクライニング車椅子の背を倒して食事介助を行うことが、いかに危険な状態であるのか・・・。
入浴介助を分業しないでマンツウマンで行うことで、どのような暮らしの質を創り上げることができるのかについては、10年以上も前から全国各地で僕が訴え、なおかつ正しい方法論を伝えていたことである。
それはとりもなおさず、僕が総合施設長として勤めていた施設で実践していた方法論でもある。
つまりそのこととは単に、「言っていた」ことではなく、「やっていた」ことなのである。
だからこそ僕は今、自信を持って言いたい。「介護報酬の体系が、やっと10年前の僕に追いついてきつつある。」・・・と。
これから先は、そうした方法論をさらに普及させるために、その意味を言葉と文章で、さらにわかりやすく伝えていくのが僕の仕事であり、役割でもある。
そのためには、是非多くの皆様に、僕の講演会場に足をお運びいただきたい。皆様にお愛できる日が来ることを願っています。
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