四国の香川県三豊市で行われている、通所サービス送迎の新しい取り組みに注目している。

その取り組みとは、大手自動車メーカーのダイハツと三豊市社協が連携し、通所サービス等の共同送迎サービスを行うという「ゴイッショ」という事業である。

三豊市ではこの共同送迎を、「プレ運行」として2021年11月29日(月)から2022年1月28日(金)まで行うことになっているそうだ。

具体的には、市社協を実施運営主体として地域のタクシー会社に委託したうえで、事業所単位ではなく地域単位で送迎者の運行をしていくというものである。ちなみに送迎車内では会話のきっかけにもなる映像コンテンツも流すなどの工夫もされているらしい。
通所サービス送迎
このプレ運行がうまくいけば、ダイハツは2022年春にも全国規模でサービス提供することを視野に入れているらしい。

通所サービスの送迎者の運転に、特別な資格や免許はいらず、普通運転免許を持っている人なら誰でも運転手という役割を担うことができる。介護輸送許可等も必要はないのである。

大きな法人の1サービス部門として通所サービスを行っている場合、運転専門部門もあって、送迎業務はその部署の職員が担ってくれるというところは送迎問題で困ってはいないだろう。

しかし通所介護事業の場合は、小規模事業所単独運営が多いために、運転専門の職員を雇うことは難しく、介護職員が運転業務も担っていることが多い。

専門の運転手がいる場合でも、その運転手がマイクルバスの運行を担当し、他の小型車両の運行を介護職員が担当しているという事業所も多い。

そのため通所介護に勤める条件が、送迎の運転にも関わることができるとしている事業所が非常に多いのである。

しかし通所介護で働くことは望んでいても、送迎運転業務に携わるのを嫌がる職員は多いのも事実だ。車の運転は苦手ではなくとも、利用者を乗せて運行する責任を負うことができるほど運転に自信があるわけではないという気持ちは理解できる。

現に送迎中に事故を起こして、利用者の命が失われてしまったケースは全国で起きており、その際に運転していたのが介護職員であったというケースも多い。運転していた人は、その事故の責任を一身に背負って、精神的に立ち直ることが不可能になることもある。

どちらにしても、利用者送迎車両の運転という役割は、決して軽い気持ちで行えるものではない。

それらの諸々の問題の解決につながるのが、共同運行かもしれない。

タクシー会社がその役割を担うということで、運転のプロが運行に携わるという安心感も生まれるだろう。介護タクシーを運行できる有資格者なら、介護の部分も心配なくなる。

勿論、解決すべき課題も存在する。

例えば感染症対策を考えると、単独事業所の送迎対応なら保菌者が車内で感染を広げても、クラスター感染は1事業所に留まるが、共同運行の場合、送迎者内での感染が起こると、それは即ち多事業所を巻き込んだ複数の事業所でのクラスター感染につながりかねない。

こうした問題にどう対処するのかも注目したい点である。

しかし通所介護送迎に、新しい可能性をもたらす取り組みであることは間違いのないところであり、今後の動向に注目していきたいと思う。
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