最初にお知らせです。昨日出版社より、1月に行う出版記念セミナーの詳細決定と、参加申し込み受付が開始されたという連絡が入りました。

2022年1月28日(金)14:00〜僕の新刊【きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは】の出版記念セミナー、『今こそ、介護の行方を問う』は、予定通り人形町の日本橋社会教育会館 8階ホールで行います。

セミナーのプログラムと申し込みは、張り付いた文字リンク先からダウンロードできますので 、今からシフト調整して、ぜひ当日会場までお越しください。よろしくお願いします。

さて今日の本題に移ります。

26日の臨時閣議で決定された今年度の補正予算案には、介護職の給与を来年2月から月額3%程度(9000円)引き上げる財源も盛り込まれています。

ただしこれはあくまで新経済政策です。看護師・介護職員・保育士等の給与は国が責任をもって増額し、それらの「分配」政策で上がった賃金が消費の増加につながることで経済活性化をもたらし、その結果生じる税収増などをさらに「分配」して次の成長につなげることを意図した政策なのです。

分配は来年2月〜9月までは「交付金」として各事業者に支給され、来年10月以降は診療報酬や介護報酬にその財源を組み入れる方針が示されていますが、国はこれらの給与アップ分を介護職員以外の他職種にも配分する柔軟な運用を認めるとアナウンスしてきました。

しかし昨日突然、介護職員がいない事業所(居宅介護支援や福祉用具貸与など)は対象外とする方針とすることを表明しました。

そうした方針を含めて特定処遇改善加算(以下、特定加算と表示)に準じたルールとする方向で調整を進めており、施設などでは介護支援専門員を含めて多職種に配分できる形を想定しているそうですが、居宅介護支援事業所は特定加算に続いて蚊帳の外とする方針のようです。

もし特定加算の配分ルールと同様ということになれば、特養の介護支援専門員には支給可能ですが、特養併設の居宅介護支援事業所の介護支援専門員として専従している者は支給対象外となります。

特定加算の場合、そのことによる不公平感をなくすために、居宅介護支援事業所の専従介護支援専門員には、法人持ち出しで別途給与アップを図った事業者が多かったがようですが、それと同じことを行わねば、居宅介護支援事業所の専従者には不平・不満がたまりますよね。

有識者と呼ばれる人の中には、『居宅専従ケアマネの給料が上がらないと言っても、下がるわけではないんだから、他職種の給与アップをひがむようなせこい主張をするな』と言う人もいますが、同じ法人・事業者内で同じように仕事に汗しているにもかかわらず、ある日突然、能力や努力と関係ないところでその労働対価に差がつくというのは納得しきれないでしょう。それが人情というものです。

介護人材不足とは、介護職員の人材が不足しているという意味で、その人材を増やすためには、介護職の給与を最優先して上げる必要はあることは理解しています。

しかし介護事業は決して介護職員だけが支えているのではありません。介護職だけ給与改善して、他の職員が給与改善の蚊帳の外に置かれることは、職場の人間関係やチーム連携のうえで決して良い結果を生まないと思うのです。

特に介護支援専門員は、その成り手も減ってきています。2017年のケアマネ試験の受験者数が131,560人でしたが、2020年にはその数が46,415人となっていることを見てもわかるように、資格を取ろうという動機づけを持つ人が大幅に減っているのです。

介護職との給与格差が広がれば、この傾向がさらに助長されるのではないかということも懸念されます。

居宅介護支援事業には、今年度から利用者の受診同行に加算が新設されました。つまりケアマネは単に相談援助だけをしているのではなく、ケースに応じて介護と同様の行為を行っているという意味にもなります。そうした人材を給与改善の蚊帳の外に置き続けて良いのでしょうか・・・。

僕はそれで良いとは思いません。ただし今回の方針は決定事項ではありません。

詳細な配分ルールについて国は固めておらず、今後も検討を深めていくことになっています。

補正予算案は臨時国会で審議されますが、その審議過程では居宅介護支援事業所の専任介護支援専門員らが支給対象から除外されることも論点の1つとなると思われます。

野党は介護職等の給与改善自体には賛成の立場をとるものと思われますが、その改善対象から居宅介護支援事業所の専任介護支援専門員らが除外されることに異を唱える可能性が高いと思います。

与党議員のすべてが、昨日アナウンスされた国の案に納得しているとも限りません。ですから交付金の配分から除外される事業や職種がないようにしてほしいという要望が高まり、それが国民の声として国会に届けられるのならば、まだ逆転の目はあると言えるのではないでしょうか。

だからこそ審議が始まる前に、声を挙げていく必要があるのです。

今こそ居宅介護支援事業所の介護支援専門員の皆様の、「発信力」が問われてくることを忘れてはなりません。
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