11月23日に書いた、「GH虐待が発覚したむかわ町穂別の社会福祉法人の人権軽視」という記事で論評した虐待事案。
そこで日常的に行われていた介護職員による暴言は、北海道が「心理的虐待」と認め、運営指導を行った。
このことについて表の掲示板の当該虐待の情報提供したスレッドでは、「ネイトさん」という方が、「心理的虐待だけでも重大事案と扱ってほしい 」とコメントしてくれた。
まったくその通りと思う。貴重なコメントに感謝申し上げたい。
心に負った傷は目に見えないだけに、その傷をずっと負ったまま癒されることなく見逃され、苦しみ続けている人も多いのである。
むかわ町のケースでは認知症という症状のある人が、特定職員の介護を拒むという状態になってしまっている。
短期記憶や見当識の障害が出やすい認知症の人にとって、個人の顔や名前を憶えて特定するということは一番苦手な行為である。そういう人たちが、「介護を受けるのは嫌だ」と思う人間を特定するということは、感情の記憶が残りやすいという特性をもってしても説明が難しい問題だ。(参照:感情の記憶は認知症の人にも残ります)
それだけ嫌な思いを繰り返し体験させられ、心に深い傷を負っているという意味ではないのだろうか。
そうした状態を放置して、具体的改善策を取っていなかったグループホーム及び母体法人の責任は重い。
ここで改めて考えてほしいことがある。虐待行為と認定されたのは、「暴言」であったということに注目してほしいのだ。
暴言とは、「相手の立場や考えを無視した無礼な言葉。」を意味する。すると顧客であり、人生の先輩でもある介護サービス利用者の方々に、サービス提供者である介護事業者の従業員が、「タメ口」対応することは暴言とは言えないのだろうか。
タメ口とは、年下の者が年長者に対等の話し方をすることであり、もともと不良少年の隠語として使われていた言葉である。そのような意味等を考えると、お客様に対してタメ口を使うことも、「相手の立場を無視した無礼な言葉」でしかないと言えるのではないだろうか。
そうした無礼な言葉を使うことを、家庭的な雰囲気を伝えるためとか、堅ぐるしさをなくすためとか、様々な理屈をつけて辞めようとしない輩が多い。しかしそれは丁寧な言葉を使いこなして、親しみや優しさを伝えることができないコミュニケーション能力の欠如した人間の屁理屈に過ぎず、言い訳に過ぎないのである。
このブログで何度も指摘しているように、顧客に対してタメ口で接している職業は、保険・医療・福祉・介護業界だけである。他の職業ではあり得ない非常識を放置しているから、感覚麻痺による心理的虐待もなくならないのではないだろうか。
虐待のあった、むかわ町のグループホーム「みのり」の職員は、普段利用者に対してどのような言葉遣いで接していたのだろう。そして虐待が明らかとなり改善指導を受けた今、職員はグループホームの中で利用者にどのような言葉遣いで接しているのだろう。
どちらにしても、「タメ口対応」を放置して改善しようとしない事業所では、むかわ町の虐待事例のような問題がいつ引き起こされてもおかしくない。
利用者は顧客であるという正しい認識を職員に浸透させ、お客様に接するに当たって失礼のない態度、お客様に使ってよい言葉遣いの浸透を図らないと、行政指導の対象となるだけではなく、世間からバッシングを浴びて、経営が続けられなくなる恐れさえあるのだ。
あと半年もしないうちに新年度を迎え、たくさんの新入職員を迎え入れなければならない。その時、初めて介護の仕事に就く人たちに、正しい顧客対応を教えることができるように、今いる職員が正しい顧客対応ができるようにしなければならない。
そういう意味で、タメ口対応が行われている介護事業者は、危機感をもってその状態を変えなければならない。その時、口を酸っぱくして注意しても、なかなか言葉遣いを直せない職員がいるとしたら、言うことを聴かないとあきらめるのではなく、介護実務から外すという覚悟も必要だ。
むかわ町の事案では、GH施設長が虐待発覚後に、「言葉が荒いことを注意していたが、指摘直後はおさまっても時間がたつと言葉遣いが再び荒くなった」と恥ずかしい言い訳をしている。
それではダメなのだ。注意を聴かない職員に罰則も与えずに、そのまま職務に就かせていることは、管理責任と労務管理の放棄でしかない。そんな管理職であってはならないのである。
職員の対応改善・虐待防止・サービスマナーの浸透のためには教育も不可欠だ。そのための講義・指導についてはいつでもお手伝いできるので、どうか気軽にメールで連絡していただきたいと思う。
メールアドレスは、「北海道介護福祉道場 あかい花」の公式サイトに記載している。まずは気軽に相談のメールを送ってほしい。
※登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで無料でサポート・厚労省許可の安心転職支援はこちらから。
※別ブログ「masaの血と骨と肉」と「masaの徒然草」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。
北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。
・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。
・masaの看取り介護指南本「看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは」(2021年10月10日発売)をAmazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。
今の職場も、言葉遣いがひどく、悲しくなる事があります。自分の思い通りにしたいのですよね。
もう、このような事件がなくなって欲しいです。
介護士である事を誇りに思って欲しいです。
masa
がしました