北海道胆振管内むかわ町は、シシャモで有名な町である。町内の寿司屋では他では食べられない、「シシャモ寿司」も旬の時期には食べられる。・・・ただし珍しいだけで、おいしいものではない。
同町は2006年に穂別町・鵡川町が合併し、「むかわ町」となった経緯があり、旧穂別町は新むかわ町穂別地区となっている。
そのむかわ町の役場内で昨日11/22(月)午後4時からむかわ町穂別のGHで起こった虐待の概要などを説明する町長会見が行われた。
虐待行為が確認されたのは、「穂別高齢者グループホームみのり」(定員9人)。町から指定管理を受けていた同町穂別の社会福祉法人・愛誠会が運営している。

虐待発覚のきっかけは今年8月上旬、胆振総合振興局に匿名で通報があったことによるものだ。8/13に同振興局から連絡を受けた町が、グループホーム職員や入居者に聞き取り調査を行ったところ、介護職員の1人が大声で高圧的な態度を取ったり、命令口調で接したりしていたことが分かった。
竹中町長によると、9人のGH利用者のうち5人が当該介護職員から大声で高圧的な態度や命令口調による精神的虐待を複数回受けていた。数人の入居者はこの職員の入浴介助などを嫌がるようになったという。
グループホームには施設長を含む職員9人が勤務。数人が暴言による虐待行為を行う職員を注意していたが、「指摘直後はおさまっても時間がたつと言葉遣いが再び荒くなった」という。
当該職員は精神的虐待をしていたことを認めており、反省しているという。現在は法人内の別の高齢者施設で入居者とかかわらない業務に就いているそうである。
しかしこのような対応で済ませて、本当に良いのだろうか・・・。
GHに入所している方々は認知症の人たちである。それらの人たちが怯えて、当該職員の介護を嫌がるということは、認知症で記憶や見当識に障害がある方が、暴言を繰り返した職員が誰かという認識を持っているということだ。それほど心に深い傷を負っていると追う意味だ。
そうであるにもかかわらず、加害職員に出勤停止などのペナルティを与えず、利用者と関わらないとはいえ、そのまま業務を続けさせているとはどういうことだ。重大な虐待事案であるという意識にかけていないか?
本来こうした問題は、身体を傷つけていなくとも刑事事件になってもおかしくない事件である。事故ではなく事件であるという認識を当該法人は持っているのだろうか。
加害職員は施設長や他の職員からの注意を受けてもなお、虐待行為をやめずに今回の問題となっているのだから、当然懲戒解雇の対象にならないかと検討されてしかるべきであり、処分が行われるまでの間は自宅待機が当たり前だろう。
そもそもそれ以前に、「指摘直後はおさまっても時間がたつと言葉遣いが再び荒くなった」というのであれば、再三の業務命令・指導を聞き入れていないのだから、その時点で利用者と接する業務から外すのが常識だろう。そんなことも行っていないという事実は、加害職員の責任だけではなく、管理責任が当然問われてくる。
この施設長は何度も注意をしても同じことを繰り返す職員に、口先だけで注意をして終わりにしていたという意味であり、管理能力ゼロである。施設長の地位から外れるべきだろう。
そもそも職員に対してサービスマナー教育を行っているのかと問いたい。それさえ行わずに、「タメ口介護」が家庭的で親しみやすい対応だとしているとしたら、それはもう救いようがない。
「少々お待ちください」・「お待たせいたしました」・「かしこまりました」・「申し訳ございません」という言葉は、コンビニではアルバイトの学生が使いこなしている言葉である。
対人援助の場で、言葉使いにも気を使ってサービスマナーを守るということは、他のサービス業で学生アルバイトができている程度のことはしましょうというレベルにしか過ぎない。そのことの徹底を図らねばならないとされる、保健・医療・介護・福祉業界の民度とレベルの低さと、その異常さに気が付くべきなのである。
そんな常識もないこの社会福祉法人は、いったいどんな法人何だろうと疑問になるが、その歴史は結構古く、昭和50年に設立されている。むかわ町は僕が総合施設長を務めていた社福と同じ地域だから、この法人のことも良く知っている。僕が若かりし頃は、そこの理事長等が、地域のリーダー的存在でもあった記憶がある。
その法人が代を重ねて腐ってしまったのかと思うと情けなくなる。
同法人の公式サイトには、「人間としての尊厳と社会連帯の思想を基本理念とし利用者に愛され誠実を旨とする」という理念が掲げられているが、それが建前となっている。このGHに尊厳を護るという姿勢は全く見えないからである。
介護事業経営者や管理職の方々に改めて考えてほしことがある。それは自分に管理責任のある場の従業員が、利用者に不適切対応をしたことによって、自分が報道関係者の前で、「お詫び」の会見を開き、頭を下げる姿を想像してほしいということだ。
昨日の竹中町長のように、会見場で糾弾されながら、質問に答える自分の姿を想像してほしい。あなたの家族がその会見報道を見て泣くことになるかもしれないことを、危機感をもって感じてほしい。
利用者は顧客であるという意識を徹底させ、顧客に対するサービスマナー教育を軽視してしまえば、今回のような言葉の暴力が必ず起こるのである。そのことに危機感を抱かねばならない。
だからこそ介護事業におけるサービスマナー教育をおざなりにしてはならないのである。今からその教育をやり直したいと思う方はメールで連絡いただきたい。必ずそのお手伝いをします。

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