介護マニュアルのない介護事業者は存在しないだろう。しかし問題は、その中身である。

果たして職員はそのマニュアルを読んでいるだろうか?その存在さえ知らない職員はいないだろうか。

そこで試していただきたいことがある。それは皆様の職場にある、「介護マニュアル」を、A4冊子にして、その厚さを測ってもらいたいのである。

その厚さが厚ければ厚いほど、中身が濃いと言えるだろうか・・・それは大きな間違いである。厚ければ厚いほど、読む意欲が失われて、存在価値がないものになるというのが本当のところだ。

よく考えてほしい。

介護マニュアルを一度読んだだけで、介護実務を覚えるなんてことは出来ない。介護マニュアルは一度精読したうえで、介護実務の概要を掴む必要がある。一通り読まねばならないものであるのに、そのこと自体が苦行になるほど分厚いマニュアルでどうなるというのだ。

しかも分厚いマニュアルになればなるほど、読んでいる途中で最初に読んだ項目部分の内容なんて、すっかり頭から消え失せてしまう。通読・精読させなければならないのに、その入り口で躓くことになりかねないのだ。

さらにマニュアルとは、実技に際して読み直さねばならないものだ。今やろうとしている介護実務を、マニュアルで確認しながら仕事を覚えていくのである。実地の場で自分自身が行う際に、行う行為や注意事項を確認するために繰り返し読む必要があるのだ。

そんなふうに徐々に実務を覚えるために読むマニュアルは、本来新人職員はそれを仕事中にいつも持ち歩く必要がある。それが分厚くて重たいものなら仕事の邪魔にしかならない。

そのようにマニュアルを読み直す必要があるのに、各項目の分量が多すぎて何ページにも渡るものなら、読み直す意欲自体が消え失せてしまう。結果、マニュアルを読む手間を省き、マニュアルに沿わない我流の介護が横行することになる。

それが介護マニュアルが形骸化する一番の要因だ。読まれなくなったマニュアルは存在しないものと同じである。だからこそマニュアルのボリュームが問題となるのである。
マニュアルの厚さの限界
上の画像のスマホの左側にある冊子の厚さは、ちょうど3个任△襦マニュアルとして使えるものにするためには、この厚さが限界であり、それ以上厚いマニュアルは、誰も読まないか、読んでも覚えられないものとなると考えてほしい。

3个茲蝓△任るだけ薄くすればするほど、介護職員にとって読むことが容易になるのである。だからこそ要点を短くまとめる文章力のある人が、このマニュアルを作成すべきである。
介護マニュアル・食事介助例
上の画像は、僕が作成した介護マニュアルの、「食事介助」の項目である。食事介助マニュアルがA4・1枚にも満たない、これだけの分量で収まるのである。

ところが食事介助の項目だけで数ページに渡って書かれている介護マニュアルもある。それは長すぎる説明文でしかない。マニュアルとしては使い物にならない代物といわざるを得ない。

職員教育が目的なんだから、文章で伝わる部分の図解はいらないし、ましてやイラストなど必要ないのである。

だからこそ介護マニュアルは、介護実務に長けた人が作成するという考えを捨てなければならない。

介護マニュアルを作成するにふさわしいのは、介護の専門家ではなく、文章の専門家である。

文章の専門家が介護実務に長けた人の行為を客観的に見て、その人のアドバイスを受けながら、その行為を文章化することがマニュアル作りには必要である。

そうした文章力がある人が介護事業者に居ない場合も多いので、その部分は外部委託しても良いのである。

僕が人材育成コンサルに入る事業者では、介護マニュアルの見直しから始めることが多い。実務に生かすことができるマニュアルがあって、初めて介護事業者の職員教育・育成システムが機能するからである。

そもそも介護マニュアルだけで介護技術を覚える事なんて不可能だ。先輩の行っている行為を見ながら知識や技術を身に着けていくことが、「仕事を覚える」ことの基本になるのである。その時に、見て覚えた仕事の確認や振り返りに必要になるものがマニュアルなのである。

介護マニュアルが、論文のようにくどくて長い文章になる原因は、マニュアルだけで仕事内容をすべて伝えて、マニュアルを読んだだけで仕事が覚えられるようにしなければならないという観念から抜け出せないでいるからではないか。

介護という行為、そこで必要とされる知識や技術は、文章だけで伝えられるものではないと割り切って、本当に伝えなければならないことだけをマニュアル化するという考えが必要なのだ。

職場で従業員が、仕事中にそのマニュアルを読んで使えるものになっているか・・・そのことが大事なのであり、マニュアルがあるだけで使われていないのでは全く意味がないという、「極めて当たり前」のことに気づかねばならない。

介護マニュアルをいかに薄い冊子にしていくことができるのかが、今後の介護事業者の人材確保に直結する問題とリンクしていくかもしれないことにも気が付いてほしいものだ。

厚さ3mmを超えた介護マニュアルを後生大事にしないで、早速改正・改善に努めてほしい。
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