僕が管理する、「介護福祉情報掲示板」には、様々な情報や意見が書き込まれている。

その中には、介護の質に関する質問も多いが、それに関しては事業者間の格差が見て取れ、現在の社会状況や、一般国民のライフスタイルとはかけ離れた劣悪な対応に終始している事業者も存在する。

例えば、「特養での生活について」というスレッドでは、朝7時から一斉に食事介助を開始するために、早朝4時台から利用者を無理やり起こして、食事場所に連れて行って放置している状況などが記されている。

こうしたひどい介護が行われている事業者が多数派ではないと思うが、いまだに利用者の尊厳や希望を無視した、「劣悪処遇」がはびこっている事実も浮かんでいる。

介護職員の処遇改善の必要性を、多くの国民の皆様に理解していただき、公費をそれに充てることを受け入れていただくためには、利用者に対するこうした劣悪処遇をなくしていく努力をしなければならない。

利用者に対する劣悪処遇を放置して、介護職だけ処遇改善するなんて都合の良いことを、国民が許してくれるわけがないのである。

劣悪処遇が残っている職場で働いている人々は、そうした観点からもその状態を問題視して、改善に取り組んでほしい。

そうした問題提起に対して、反論したり耳を貸さない人の中には、「そうはいっても人が少ないからどうしようもない。」として、改善できない状態を自分たちが置かれた環境のせいにして、自分自身が何かを変えようとする努力を放棄してしまっている人がいる。

しかしそのような考え方は間違っている。今までも、そしてこれからも、現状を変えるために一番求められるのは、そこで働く人の考え方の変革と、たゆまぬ工夫と努力なのである。

例えば僕は特養の相談室長時代に、毎日利用者が入浴できる特養にしようと考え始め、その実現の工夫と努力を行い、配置人員を増やすことなくそのことを実現した。(参照:介護の質を上げる工夫の具体例・入浴支援

思いが現実を変えてきたという、「事実」があるのだ。

事業者間のサービスの質は、このような意識差が深く関連しているのである。利用者の暮らしより、自分たちの働き方・楽な方法を優先させて考えることによって奪われる、「暮らしの質」もある。

普通の生活では夜寝るときに寝巻に着替え、朝起きて日課活動に参加するために日中着に着替えるのが当然だが、意識の低い介護施設では、日中着としてスゥットスーツを着せたまま、夜も着替えさせずそのまま寝かせて、それが利用者の利便性だとうそぶいているところもある。(参照:着たきり雀を正当化する劣悪ケアを許すな

意識が低いまま、感覚麻痺が横行する場所では、こうした劣悪処遇の方が当たり前になってしまうのである。そんな場所で自分が暮らしたいと思うのだろうか・・・。

そういう意味では、こうしたサービスの質の差を生み出す元凶とは、人員配置を含めた職場環境の差というより、そこで働く職員の意識の差といった方がよいように思う。

当然その意識につながっているのが、トップの考え方であり、事業者の掲げる理念とか、理念を実現するためのシステムといったものも関係してくることは否定できないが、それらを含めて改善しようという意識を職員自身が持たないと、トップも組織も何も変わらないのである。

今年度の介護報酬改定では従前の改定以上に、「暮らしの質の向上」に関連する要件が加えられている。

例えばそれは、「食事の時間や嗜好等への対応について、画一的ではなく個人の習慣や希望を尊重する。」という内容であったり、「多床室でのポータブルトイレ利用は、原則として認めない。」であったり、「おむつ交換にあたって、夜間、定時に一斉に巡回してすべての入所者のおむつ交換を一律に実施するような対応が行われていないこと。」であったりする。

このように自立支援一辺倒であるかのようだった介護保険制度の理念実現の方向が、少しだけQOLに向かって舵取りがされているのである。

その具体的内容については、明後日21日のアローチャート全国大会における僕のオンライン講演で説明する予定であるが、制度のかじ取りが変わっているのに、サービスの場の職員がその意識についていけないのでは時代に取り残される。

時代に取り残されるだけならよいが、それは団塊の世代の方々に選ばれないサービスになって、自分たちの生活の糧を奪われるか、それが護られたとしても、劣悪処遇に見合っただけの対価しか得られずに、底辺労働に甘んじる結果になりかねないという意味でもある。

だからこそ意識変革を目指してほしい。

介護サービスの場で利用者の方々に向かい合う職員の皆さんは、意識をより高く持って、現状より質の高いサービスの実現を目指してもらいたい。

それを実現することは、自分や自分の職業が社会から求められているという意識を持つことにつながることであり、自分自身の存在意義を知ることにつながるのである。

それは何より幸福なことであり、モチベーションアップにもつながることである。それが実現できる場所には、「介護うつ」なんて存在しなくなるのである。
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