11月11日の介護の日に更新した、「経営視点のない人材マネジメントは無駄で成果なし」という記事の中で、介護事業者の無駄な支出に触れたが、それ以上に無駄で無意味な支出がある。

それは定期的に行われる行政による実地指導に備える支出である。

介護事業経営相談に応じて、P/L(損益計算書)をチェックする際に、それに関する支出を見つけた場合は、なぜそんな支出が必要になるのかを徹底的に検証することにしている。

実地指導に備える支出といっても、資料をコピーしたりする際の支出や、必要な記録を整理するために職員が残業をする際に支出する時間外手当等が無駄だと言っているわけではない。

実地指導のために必要な最低限の業務支出というものは当然あり得るわけで、それは必要経費である。

問題となるのは、実地指導を過度に恐れて何か指摘されたら大変なことになると思い込んでいる事業者が、実地指導対策として経営コンサルタントに対策研修を行ってもらう際の支出や、事前の実地指導対策として模擬訓練を行なったり、必要書式の調査してもらったり助言を受けたりするために支出していることである。

それこそまったく無駄な支出である。

そもそも介護事業者の中で、定期的な実地指導に対して誤った認識を抱いている人があまりに多いような気がしてならない。

実地指導とは不正を暴き出すために行われるものではないのだ。不適切運営や人員配置基準違反、虐待などがあるという前提で行われるのは、「監査」であり、「GH虐待が発覚したむかわ町穂別の社会福祉法人の人権軽視」という記事で紹介した、8/13に胆振振興局からの連絡を受けて、むかわ町が急遽行った調査は、「監査」である。

監査は、このように抜き打ち的に行われるが、実地指導は行政側と事業者側が日時調整したうえで、その際に備え置くべき書類等も事前に示された中で行われるものである。

このように事前に日時やチェック書類が示されたうえで定期的に行われる、「実地指導」とは、そうした監査とは異なるということを理解せねばならない。

実地指導は介護事業者の適正運営を手助けする行政指導であって、法令解釈の誤解を正すなどの、「助言」を主たる目的にしている。それは介護事業者が不適切運営を行っているという前提で行われるものではないのである。

まともに経営されている介護事業者であれば、多少の指摘事項があるからと言って、それが問題視されるわけではないのである。運営基準等の解釈に誤解や見落としがあるだけで、即指定取り消しという事態にはならないのだから、どういうアドバイスを受けられるかと楽しみながら実地指導を受ければよい。

費用返還指導があっては困るという人がいたりするが、それは算定基準を理解していないで間違った請求をしているか、不正請求をしていない限りあり得ないことで、日ごろから事務担当者等が算定要件をチェックして、正しい請求を行っておればおればよいだけの話だ。

仮に間違った請求をしていた場合は、実地指導で書類を整えても、間違った請求分は返還する必要があるのだ。それを隠した場合、そのこと自体が指定取り消し事由になってしまうので、実地指導で慌てふためくのは無駄でしかない。

僕が社福の総合施設長を務めている間は、実地指導の際に担当職員等に伝えていたことは、『指導担当者は介護事業者に行政指導をすることが仕事なんだから、何にも指摘事項がないとがっかりするべさ』・『口頭指導レベルでは、少しは指摘できる事柄も残しておいてやった方がいいっしょ。』ということである。

そしていざ実地指導の当日は、僕が管理するネット掲示板に、「実況中継」と称するスレッドを立ち上げ、現在進行形で指導担当者がどんな書類をチェックして、どのような質問をしているのかということを含めて、その結果まですべてリアルタイムで情報提供していた。

指導担当者によっては、そのことを知っており、「これは書かないでくださいね」なんてよく言われたものである。

実地指導なんてその程度のものであり、むしろ行政職員と忌憚のない意見交換をできる貴重な機会であると考えるべきである。

そのな場に、実地指導をアドバイスするコンサルなんて必要なく、実地指導対策をアウトソーシングして、そこにお金をかけるほど無駄なことはないのである。

そういう意味では、実地指導対策の研修に参加することも、時間と金の無駄でしかない。

運営基準と介護報酬の算定基準を読み込んで、それに沿った経営と運営を普通にしておれば、そのような無駄な支出や、時間の使い方はいらなくなるのである。

実地指導対策をアウトソーシングしなければならないような事業者は、経営者を変えるか、担当職員を変えるかせねばならないということだ。

くれぐれも実地指導対策などというくだらないお金の使い方をしないようにしてほしい。

いつまでも実地指導対策として、外部の人間のアドバイスに頼っている介護事業者は、将来的に経営に行き詰まる可能性が高い。そういう職場に勤めている人は、一刻も早く転職先を探した方がよいだろう。
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