僕が長年、理事と総合施設長を務めてきた社会福祉法人には母体法人がある。

それは特定医療法人であり、登別市では一番大きな病床数の精神科医療機関を経営する法人である。

僕は社会福祉法人の理事だけではなく、その特定医療法人の理事も兼ねていたことから、精神科医療機関の経営会議にも参加する立場であった。そのため医療機関の経営状態だけではなく、そこにどのような患者さんが入院されているかも知る立場にあった。

もともとソーシャルワーカーであった僕は、新人時代に母体医療機関の医療相談室で現場実習を受けていたこともあり、医療ケースワークの実態や歴史もよく知っている。

そのため特定医療法人の理事を務めていた頃には、PSW・MSWのスーパーバイザー的役割も担っていた。だから精神科病棟に入院されている患者さんの病歴等、フェイスシートやカルテの記載内容も知り得る立場であった。

そこには多くの、「うつ病」の患者さんが入院されていた。その中には仕事のストレスによってメンタルヘルス不調に陥り、長期間の入院を余儀なくされている人がたくさん居られた。

うつ病とは、いったん発症したら2/3が寛解(※完治はしていないが症状がなくなった状態)までたどり着くが、そのうち半分以上の人に症状の再発が見られるという怖い病気だ。

完治する人がそれだけ少ない病気という意味だ。よってうつ病対策として最も重要なことは、治療より先に予防なのである。

仕事のストレスによってうつ病を発症する人が多いのだから、日ごろからメンタルヘルスを護るのは職場の責任であるという意識をもって、メンタルヘルス不調に陥らないように取り組む職場環境が大事だ。それは企業責任なのである。

介護事業者でも職員のメンタルヘルスケアは最重要課題だ。
うつ
対人援助は感情労働でもあり、利用者の負の感情に巻き込まれてメンタルヘルス不調に陥るケースもあるのだから、それを防ぐための「自己覚知」・「統制された情緒関与の原則」については十分に教育されていなければならない。

しかし人によっては確たる根拠もなく、「自分のメンタルは強い」・「自分はメンタルヘルス不調に陥るタイプではない」と考えていたりする。それは大きな間違いである。そう言っている人が一番危ないのである。

一般的には、几帳面でまじめな人や完璧主義で責任感が強い人は、ストレスを感じやすいタイプといわれるが、それにも根拠はない。そうした考え方はすべて思い込みとしか言いようがなく、どんな人であっても、ストレスからメンタルヘルス不調に陥る可能性があると考えたほうが良い。

こんなふうに性格やタイプだけで判断することは危険なのである。だからこそ普段と違う状態には敏感になる必要があり、発汗、血圧変化、息苦しさ、理由もなく涙が出る、眠れない等の症状が出た際には、一刻も早く専門家に相談する必要があるのだ。

そしてストレスを感じる状況や特定の問題に対して、効果的な対処行動を取り、ストレスを適切にマネジメントする、「ストレスコーピング」という知識を得ることも大事だ。

ストレスの発散法として、ストレッサーに対する愚痴や悪口を言うことは、怒りや苛立ちといったネガティブな感情にとらわれてしまうことが多く、解決につながることは少ないため、コーピングには逆効果であることも知る必要がある。

相談しているつもりが、いつの間にか延々と愚痴を言い続けている状態は、新たなストレスにつながり、自分の心身を害するような行為となるのである。

また過度な飲酒、やけ食い、薬物の摂取なども、良くないストレス解消法であり、問題が解説しないばかりか、別な問題を引き起こすことにも注意が必要だ。ストレスを利用者への暴力・暴言という形で解消しようとするのは愚の骨頂で、自分の身を滅ぼすことにもつながりかねない。

こうしたストレスコーピングの正しい方法も含めた、「介護事業におけるメンタルヘルスケア」についての講演も引き受けている。そこでは自分が総合施設長として、ストレスから職員を護ってきた実践に基づいた話をしている。だから僕のメンタルヘルス講演も、介護の場で実践できる具体的方法論なのである。

つい先日も、「介護職員のメンタルヘルスケア〜ストレスから身を護る自己覚知と介護の誇り」というテーマで講演を行ってきたが、その講演を受講した方々の感想が届けられた。

講演「介護職のメンタルヘルスケア 〜ストレスから身を護る自己覚知と介護の誇り」を受講した方々の感想をクリックいただくと、その内容を見ることができるので、是非参照してほしい。

本気で職員を護るためのメンタルヘルスケア研修講師を希望される方は、北海道介護福祉道場あかい花の公式サイト上部に記されている連絡方法で、僕に直接連絡を入れてほしい。

相談はお気軽にお願いします。
登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで無料でサポート・厚労省許可の安心転職支援はこちらから。






※別ブログ「masaの血と骨と肉」と「masaの徒然草」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。

masaの看取り介護指南本看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
きみの介護に根拠はあるか
新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは(2021年10月10日発売)Amazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。