新型コロナウイルス感染者の数が大幅に減少している。だからといってコロナウイルスが完全消滅して、終息ということにはならないだろう。

だとしてもコロナ禍の社会対応がこの先永遠に続けられるわけがない。そんなことがあってよいわけがないのだ。

今後、冬に向けて新たな感染の波が来るのか心配されるところではあるが、いつまでも感染予防対策のために、非日常が繰り返されるのは問題である。そんな状態では、まともな社会生活は存在しなくなる。社会そのものが崩壊すると言っても良い。

コロナウイルスが社会から完全消滅することはないので、withコロナとして新たな段階に移る時期に来ているように思う。そして新たな段階に切り替えるべきなのは、私たちの『意識の切り替え』がまず先なのだろうと思う。そこを急ぎたいものだ。

そんな中で今日は、通所サービス(通所介護と通所リハビリ)の今後の在り方を新めて考えてみたい。

通所サービスは、第1波にかけて休業を余儀なくされるなど、経営に深刻な打撃を受けたが、その後対策を進めて緊急事態宣言が出されている地域でも営業を続け、クラスター感染を防ぐことができていた事業所も多い。

そこで取られた対策や教訓を生かしながら、今後はコロナ禍特例サービスから一日も早く脱して、ウイルスと共存しながら通常営業を続けていく方向で、日常を取り戻したサービスメニューの構築を急いでもらいたい。

そのために考えなければならないことは、従来のサービス方法からの脱却と、新たなサービス提供の在り方を構築するという考え方だ。
通所サービスの〇と✖
この画像の中には、今後の通所サービスを考えた際に×とされる部分と〇としてよい部分が混在している。

まず×であるのは、人の距離である。利用者がこのような近い距離で密集した状態で、サービスを受けることは今後考えられないということだ。

集団的サービスメニューはあっても良いが、隣の人と手を伸ばしてぶつかるような距離感のサービス提供は避けねばならない。そのために今後はサービス利用者全員が一律・一斉に同じサービスメニューをこなしていくというスタイルはなくしていく必要がある。

例えば通所介護は、新年度から個別機能訓練加算の対象者要件が、「5人程度以下の小集団又は個別」とされているのだから、利用者をこの規模にグループ分けしたうえで、サービスをグループごとに提供するスタイルに変えてはいかがだろう。

あるグループは機能訓練を受け、あるグループは認知機能テストを受け、あるグループはレクリエーションを行い、あるグループはクラブ活動を行いっている間に、あるグループは入浴介助を受けるなどの別メニューでの対応ができるようにする方向に進めたいものだ。

そうすると前掲の画像の〇とは、人に変わるAI搭載ロボットの活用であることが容易に理解できるだろう。

コミュニケーションロボットは、既に優れた実用性があるので、5人一組のグループワーク(リハビリ体操等)は、人が声かけ指導するより上手に利用者を誘導してくれる。

他のグループが入浴している間に、フロアにコミュニケーションロボットを複数台備えておけば、あるグループがそれを使って集団リハビリ体操、あるグループはレクリエーションという別メニュー対応するのを、一人の職員で両グループを見守り調整するだけで可能になる。

コミュニケーションロボットのできるメニューは、どんどん増えて積み重なっていくので、そのメニューもプログラムを調整するだけで増えて、利用者を飽きさせることがない。メニューが進化するという意味でも、マンネリサービスで利用者を飽きさせることがなく、選ばれる事業所につながっていくというメリットも期待できる。

そうした集団的メニューを行っているグループがある傍らで、別のグループは、『新たな認知機能評価と認知症リハビリの可能性』で紹介しているコグエボを利用した認知機能テストや、認知症予防トレーニングを個別に実施することもできるわけである。

このようにコミュニケーションロボットや、アプリを上手に使っていくことで、対応職員人数を最小化して、同時刻に複数メニューをグループごとに提供することが可能になる。

これらの機器・アプリの導入補助金もあるので、きちんと調べてそれらを利用して、できだけ早急に新しいサービス提供に変えていきたいものである。

一方で、風船バレーやカラオケといったサービスメニューは、もう通所サービスメニューとしては廃止して行ってよいだろう。

前者は手足を動かしている人の傍らで、無表情で座ったきりの人も多くなるメニューである。心身の活性化にも機能訓練にもなっていないのだ。後者は歌っていない人にとっては苦痛を与えているだけで、時間をつぶすだけのおざなりサービスだ。

こうした従前からの不活性サービスを続けている介護サービス事業者は、団塊の世代の人々がサービス利用の主流になる中で淘汰されていくのではないかと思う。一日も早い意識の切り替えを行い、サービスメニューの改編に着手せねばならない。

前述したように、通所サービスはコロナ禍で休業を余儀なくされた時期がある事業所が多いが、そうであるがゆえに改めて通所サービスの必要性やその効果が見直されたという一面がある。

利用していた通所サービスに通えなくなったことが原因で、歩行状態が目に見えて悪化するなどの身体機能の低下がみられる要介護高齢者が増えたり、認知機能の低下が顕著になるケースが報告されるなど、通所サービスを利用していたから顕れなかった問題が浮き彫りにされたのである。

心身の機能低下防止に無くてはならない通所サービスという意識が広がっている今の時期だからこそ、子供だましのおざなりサービスから脱却して、大人が通って楽しむことができるサービスメニューと方法論を創り出していく必要があるのだ。

この理解がある事業所と、そうではない事業所は3年後にも大きな差がついていることだろう。あとはどちらになりたいのかという選択と決断の問題である・・・。
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