北海道は日中の気温が10度に達する日が少なくなって、終日暖房が必要な日が多くなった。

先週は中山峠や旭川などで初雪が見られ、全道各地でいつ雪が降り積もってもおかしくない季節になってきた。

この時期になると、通所サービスやショートスティ事業の送迎に一層の注意が必要になる。

路面が凍って滑りやすいのでスリップ事故に注意が必要になるのは勿論だが、気を付けるべきは事故が起きないようにすることだけではなく、事故が起きた際に事故車内の利用者ができるだけ怪我を負わないようにすることである。

特に安全に配慮した正しい車椅子の固定やシートベルトの装着などは、決して忘れてはならないことである。

ところがこの車椅子の固定方法とシートベルトの装着方法が誤って伝えられているケースで、負わなくても良いけがを負った事故ケースが数多く伝えられている。

勿論、車椅子を車内に固定できる車両を購入した際には、メーカーや販売店などの職員が出向いて、車いすの固定方法や、シートベルトの装着方法を説明するのであるが、その説明を受けた職員はともかく、説明を受けた職員からその方法を伝えられる職員が、伝言ゲームのように増えていく過程で、正しい固定と装着方法が誤って伝えられることが多い。

そもそもメーカーや販売店から正しい方法の説明を受けた職員自身が、誤ってその方法を受け止めてしまう場合もある。

そうであっても一般席のシートベルトの装着方法を間違えることはまずないが、車椅子に乗ったまま乗車できるリフトワゴン等で、車内の車椅子シートベルトの装着方法が間違っているケースは非常に多いのである。
誤った車椅子のシートベルト固定方法
一番多い間違ったシートベルトの装着方法とは、上記画像のようにベルトを体に直接巻き付けずに、車いすのサイドガードやアームガード(アームレスト)越しに装着してしまうやり方である。

これではシートベルトの効果は発揮できなくなる。事故のショックで、身体が前に倒れそうになった際に、シートベルトがその体重と推進力を支える効果は発揮されずに、シートベルトを着けていない状態と同様に、身体は前に投げ出されてしまうのである。

先月、岩手県奥州市水沢真城で起こった事故も同様である。

9月29日午後3時45分ごろ奥州市水沢真城の国道4号で、介護施設の送迎用ワゴン車が急ブレーキをかけ、乗車していた94歳の女性利用者が車椅子から車内に投げ出され右太ももの骨を折る重傷を負い、10月1日に容体が急変し死亡するという事故があった。

この事故の一報を僕のFBで情報提供したところ、そこに次のようなコメントが記された。

福祉車両のシートベルトは装着しても効果が低く、グレーゾーンになってるみたいですね。

↑しかしこの認識は少し違っていると思う。リフト付きワゴン車等の福祉車両であっても、車いす固定を正しく行えば、一般シートと同じ効果があることは実証されている。

奥州市の事故ケースにしても、正しい車椅子の固定方法が職員に伝わっておらず、間違った方法でシートベルトを装着していたことが原因である可能性が高いのである。

ただし法令上の問題が皆無ではないことは事実だ。車の一般席についてはシートベルトの装備・装着・強度まで法律により定められているが、車椅子にはそのような法的義務付けはない。「車いすは利用者の身体機能等により形状が多種多様で、一律の基準や義務適用ができない」というのがその理由である。

このように法整備の不備が、車いすを車両に固定して移動することが特別ではなくなっている社会情勢に追いついていないという問題があるものの、車椅子をしっかり固定して正しくシートベルトを装着することによって防ぐことができる致傷・死亡は数多いのだから、法整備の不備を訴える前に、個々の特殊車両で定められている正しい車椅子の固定方法と、シートベルトの装着方法を確実に守ることを励行すべきである。

そのことができずに死亡事故が起きている現状を憂いて、「福祉車両安全研究会」(東京都杉並区荻窪5-11-17 03-3220-3030)という団体が全国各地で、「車両安全講習会」を開催している。

各地に出向いて開催する講習会は、座学や実技を含めるとフルメニュー3時間半ということだ。

そうした講習会を、講師として出向く職員の交通費実費分のみで開催してくれているとのことなので、通所サービスなどの複数事業所が協力して開催してみてはいかがだろうか。

詳しくば文字リンク先の同団体HPを参照願いた抱いたうえで、問い合わせていただきたい。

安全送迎は、送迎業務を伴う介護事業にとっては最大の課題である。それは運転技術だけでは担保できない問題であるという認識を持ってほしい。

送迎サービスが伴う介護事業者では、送迎車両の運行に係るすべての職員が、安全に最大限配慮した車両運行知識と車いすの安全固定・シートベルトの正しい装着のための知識を、完璧に身に着けておく必要があることを再認識してほしい。
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