僕の新刊本のサイン入り初版の送料無料キャンペーンに多数のお申し込みをいただきありがとうございました。思った以上の申し込みがあり、昨日も出版社でサインを入れてきました。

ところで出版社にサイン本を注文された方で、入金が確認できない方が複数名おられます。本の発送も止まっていますが、入金が確認でき次第送付いたしますので、今一度確認の上、ご入金をお願いします。

なお今後は出版社から新刊を取り寄せる際には送料がかかります。そのためAmazon楽天ブックスといった通販サイトから取り寄せたほうが送料がかからずに済むと思いますので、そちらをご利用ください。

なおこの新刊については、CBニュースで書評が掲載されていますので、張り付いたリンク先を参照ください。

お知らせはここまでとして本題に移ります。

首相はじめ内閣の主要官僚や政府与党の有力役員が、介護職員等の給与引き上げを主要な政策課題として挙げ、国会で正式にそのことを表明した。

さらに野党の選挙公約にもそのことが挙げられていることから、そのことに反対する国会議員はいないと思われる。

よって今以上の給与改善が実行されるのではないかと、介護職員らの期待は大きく膨らんでいることだろう。

しかしそのこととは別にして、介護業界全体に影響を及ぼすと思われる改革が一企業の中で進められている。

それはSOMPOホールディングスの思い切った改革である。

同ホールディングスの介護事業部門の、「SOMPOケア」が介護職員約1千人の給与を来年4月に引き上げる方針を固めたことが大きな話題となっている。

具体的には対象の正社員の年収水準を50万円ほど引き上げ、介護施設で働く看護師の平均的な水準並みの450万円程度にするそうだ。

これは他の介護事業者に大きな影響を与えざるを得ないニュースだと思う。

新内閣の方針とは別に賃上げをするということなのだから、同社の介護職員の給与水準は業界のトップとなる可能性もある。少なくとも社会福祉法人などを除く民間営利企業の中ではトップになることは間違いないだろう。

介護市場に参入した時期が決して早くなかった同社が、先発大手の介護事業者を買収して急速に成長していることを知らない人はいない。そのように誰もが知っている企業で、かつ企業体力が大きくサービスエリアも全国に及んでいる会社が、介護職員の給与を看護職員並みに引き上げるということは、多くの介護関係者にとって注目の的であると同時に、他の介護事業経営者にとっては、「脅威」でもある。

なぜならそのことは同社の大きな魅力となり、どうせ民間の介護事業者に就職するなら「SOMPOケア」を選びたいと思う若者が増えると予測されるからだ。

仮に今、自分の子供が介護の仕事を目指しているとすれば、僕なら「SOMPOケアに就職しなさい」と勧めるだろう。そんなふうに介護の仕事を目指す子供に親が「SOMPOケア」を勧めるケースも確実に増えると思う。

それに加え、他事業者から転職したいと思う人が増えることも確実だ。小規模事業所で定期昇給も雀の涙程度しか行っていない所で働いている人は、仮に管理職から平職員になるとしても、給与水準の高い「SOMPOケア」で働きたいと思うだろう。

こんなふうにして介護人材が根こそぎ、「SOMPOケア」に刈り取られてしまうのではないかと考えるのは、杞憂であるといって笑えるだろうか・・・。

この状況を他の事業者が手をこまねいて、眺めているだけで良いのだろうか。

この報道を見過ごしている事業者からは人材が流出し、枯渇する恐れがあるのではないか。

ただでさえも足りない人材が、さらに不足して事業継続ができなくならないように、必然的にそのほかの事業者も給与改善を急ぐ必要があると思う。

志だけで職員が働き続けられるとは限らない。現在、経営主体の経営理念に共鳴して職員が定着しているところでも、相応の給与改善に努めていかないと、自分のスキルに見合った評価を給与面でもしてほしいと考える職員が、そこを目指して職場を変えることは止められないだろう。

年収50万アップというのは、それほど大きな影響をもたらすものではないのだろうか・・・。

しかし経営規模の小さな事業者は、それほどの給与改善は難しい。だからこそ僕は常日頃から、事業規模の拡大と、事業種類の多角化を目指していかないと介護事業経営は成り立たなくなると警鐘を鳴らし続けているのである。

小規模事業者は今後今以上に、職員を確保・定着させるために頭を悩ませなければならなくなる。

経営規模の大きなところは、給与改善を急ぐべきだが、給与財源はその辺に落ちているわけではないのでコストの見直しが必須だろう。しかしこれも競争のうちだ。

事業を継続するためには人材確保は不可欠なのだから、その確保のための戦略は一番大事だ。どのコストが無駄で、どこを変えることで財源がひねり出せるかを練り直さねばならない。

今日僕は、そのことも含めた講演を御成門ビルで録画する予定である。その講演は、11月17日(水)〜18日(木)と、11月24日(水)〜25日(木)の2回に分けて内田洋行から配信予定となっている。無料で配信される講演なので、是非ご覧いただきたいが、詳細は追ってお知らせするので、今少しお待ちいただきたい。

どちらにしても「SOMPOケア」の今回の決定は、「英断」であると評価したい。

介護人材の給与評価は今まで低すぎたのである。それを変える風を吹かせたのが、SOMPOケアの英断であると評価されてよいのだと思う。

そしてその風に乗り遅れる介護事業者が、今後淘汰されていくことはある意味、やむを得ないかもしれない。
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