10月に予定されている道内・石狩地域の訪問介護員さんを中心にした研修会で講師を依頼された。
そのこと自体は珍しくはないのだが、そのテーマが、「介護職員のメンタル・ヘルスケア」というものだった。
僕が依頼される講演テーマとして、メンタルヘルスケアに関する講演も決して珍しくはないが、それ場合たいていは経営者・管理職対象の講演の場合であって、介護実務に携わるヘルパーさん対象の講演で、このテーマは珍しいと思った。
なぜなら介護事業者に限らず、職場組織が従業員のメンタルヘルスケアに取り組む必要性については、1999年に旧厚生省が、職場のストレスがメンタルヘルス不調の原因となることを認めた以後、従業員のメンタルヘルス不調を防ぐ義務と責任は経営側にあることが明白になっている。
その責任を果たすために、メンタルヘルス管理の方法や、ストレスチェックについて知識を得なければならない経営者・管理職を対象にして、この手の研修は多くなったが、メンタルヘルス不調にならないように護られる側が、このテーマで研修を受けることは少ないからである。
ヘルパーとして実務に携わる皆様に、メンタルヘルスケアをレクチャーするとなると、経営者・管理職にレクチャーする内容とは少し異なって、ヘルパーさん自身が自らの身を護るためのストレス管理についてお話しする必要があると思い、新たに講演スライドを作成したところだ。
その内容は、現在働いている方に役に立つ本物のメンタルヘルスケアの方法論でなければならない。
そのためにまずは、メンタルヘルス不調の原因となるストレスとは何かということを知らなければならない。そのことを正しく理解していれば、ストレスは悪い面だけではなく、自分の身を護る警告の役割を果たすことも知ることができる。まずもってそのことを理解していただきたいと思う。
それとともに、ストレスから自分の身を護るためには、ストレスを適切にマネジメントする、「ストレスコーピング」が必要となるので、その方法を具体的に伝えなければならない。
ストレス発散の具体的方法もレクチャーするが、発散の方法を間違えるとそれは逆効果になるだけではなく、自らの身を亡ぼすことにつながることも具体的に説明する予定だ。
自らの身を護るうえでは、「お客様は神様ではない」という考え方も必要となる。
介護のプロとしてお客様に接する際には、いつでもどこでも、礼儀正しく、笑顔で、丁寧に接することは当たり前のことである。だからと言って、お客様からの理不尽な要求にまで応えなければならないことはないのだ。
法律違反の要求だけではなく、倫理上問題のある行為要求を受け入れる必要はなく、顧客からのカスタマーハラスメントは、「放っておかない・我慢しない。」という考え方が、経営者側・従業員双方に求められてくるのである。
それとともにストレスへの耐性を高めるために、自己覚知に努めることは大事になるし、自分の仕事に使命感を持ち、誇りを持って仕事に臨む姿勢が何より大切になると思う。
誇りを持って働くことができない職場では、様々な事件が起きているが、職員のメンタルヘルス不調も多くなることは過去から現在までの例を見ても明らかだ。
例えば札幌市の某特養では、毎月一人以上の退職者が出る状態で、経営に支障が出ているそうだが、そこは例の、「竹内理論」実践施設である。
根拠と個別アセスメントのない1.500ml/日もの大量水分強制補給を行っている施設で、退職者が相次いでいるという意味は、利用者の人格を否定するかのような方法が、いかに仕事の誇りを奪っているかの証明のような気がする。
そんな施設で働いていると、メンタルヘルス不調になるのは当たり前で、それが退職者が多い一因でもあろうと思え、そのような轍を踏まないように伝えなければならないこともある。
そうならないために、従業員が日々の介護労働の中で、自らの仕事ぶりに誇りを持つことができる介護実践の在り方もレクチャーしたいと思い、今回の講演テーマは上記画像のテーマにした。
現在この研修が、会場を使用した集合研修になるか、オンラインのみになるかは検討中とのことであるが、石狩地域の訪問介護員さんが受講者の大半を占めるということで、その方々が講演受講後すぐに実務に取り入れて、実践できる方法論を伝えたいと思う。
介護実務に携わる職員の皆様のメンタルヘルスを護るためには、観念論で終わってはならないと思うので、「できることを伝える」にこだわってお話ししたいと思う。
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