団塊の世代という他の世代とは比べ物にならないボリュームの人たちが、来年以降続々と75歳に達する。
そのためこの国の高齢者数は、後期高齢者を中心に2042年頃まで増加し続けると予測されている。
それは同時に、認知症の人が増えるという意味である。なぜなら認知症発症の最大リスクは加齢だからである。その数は2025年には20%を超え65歳以上の4人に1人に昇ると予測されている。
認知症を発症しない人も加齢に伴う物忘れ(健忘)や、見当違いという症状が出てくるが、その人たちがそこでとどまり認知症にならないのか、それとも認知機能障害が悪化して認知症になってしまうのかによって、認知症を発症する人の将来推計は大きく違ってくる。
よって認知症の簡易判定や、認知機能低下を予防するトレーニングは重要であり、そのために開発されたCogevo(コグエボ)を紹介する記事を先日アップした。(参照:新たな認知機能評価と認知症リハビリの可能性)
この紹介記事を書いている理由をもう少し詳しく説明すると、認知症の簡易評価と認知機能低下予防のトレーニングツールとして優れていると思ったからであり、多くの介護事業者がこのソフトを利用することで、介護サービスを利用する方々にもメリットが生ずると思うからである。
前述したように、現在我が国において高齢者の軽度認知障害が大きな問題となっているという背景がそこにあるのだ。
軽度認知障害とは、認知症のハイリスクグループ(将来認知症になる可能性がより高いグループ)のことをいう。その状態は、年齢相応の認知の衰えと、より深刻で病的な意味合いの強い認知症の間に存在する状態であると考えられている。
認知症と同様に、軽度認知障害の根本的な治療方法も今のところ存在していない。そしてそれは将来的に認知症に進行する可能性がある状態と言えるために、そのリスクを踏まえて生活面への介入を行うことが重要とされている。
つまり軽度認知障害のある方に、何らかの形で認知機能の低下を防ぐように介入できれば、認知症になる人の数を減らすことができるのである。
同時にそれらの方々に、定期的にフォローアップを行うことで早期に認知症発症を診断することができ、より特異的な治療介入を行うことができる可能性もある。
だからこそ介護施設や居住系施設で、あるいは定期的にサービスを受けている通所サービスの場で、利用者がごく自然に認知機能状態を測定できて、愉しみながら認知機能維持のトレーニングを行うことができることには重要な意味があり、それは団塊の世代が75歳に達して、軽度認知障害の症状を持つ人が増える2022年以降を見据えると求められる方法なのである。
僕は実際にこのトレーニングをやってみたが、認知症のない人から軽度認知障害のある人まで、隈なく真剣に取り組んで興味を持てることを確信した。愉しんでトレーニングを行うことで、現在の認知機能評価表も出てくるので、それを続けるモチベーションも維持できる。
通所サービスに通っている人は、週1とは言わず、サービス利用のたびにこの検査・トレーニングを続けて、認知機能を保っていくことを目標にできると思う。多くの利用者にとってそれは、人気のサービスメニューになるのではないだろうか。
具体的にメニューを説明すると、ソフトにアクセスしてウオーミングアップを終えた後、本格的にトレーニングをしようとする際に表示される画面が下記である。
基本トレーニングである、「5種バランスチェック」のほかに3つのメニューが選べる。
この中の、「選んでトレーニング」には、5種類のバランスチェックにはない、7種類のトレーニングメニューが追加されているので、それらを選んで実行できるために体調や気分に応じて、愉しみながらその日の認知機能チェックが可能となる。
上の画面は、僕の認知機能を表すチェックシート。見当識・注意力・記憶力・計画力・空間認識力のそれぞれのトレーニングを1項目ずつ行った結果と、また行っていないトレーニングが、星のマークでわかるようになっている。
こんなふうにトレーニングメニューをこなすたびに、自分の認知機能の評価値が目に見える形で示されるので、もっと点数を上げたいなどの目標も生まれてくる。通所サービスに通い続ける動機づけも、このことで高まるかもしれない。
このような形で、認知機能障害のない人にも、認知機能チェックという形で定期介入し、仮に衰えの兆候があらわれたら早期の医療介入も可能となるし、認知機能障害や認知症のある人には、症状の変化に応じた対応を考えるきっかけも生まれようというものだ。
このトレーニングの良い点は、グループワーク的な実施もできるし、個別サービスメニューとして、個々の利用者の状況に合わせて実施できるという点だ。
例えば、認知症リハビリテーションと称して、グループ実施する方法もとれるし、入浴ケアの合間に、入浴を終えたり、待っている人がその時間に個別にトレーニングするという方法もとれる。実施方法は個々の事業者の工夫で限りなく広がるだろう。
どちらにしても、このソフトをいきなり導入する必要はなく、まずは試用して実際に利用者に協力していただき、試したうえで効果を確認してから導入できる。勿論、試用は無料である。
まずはCogevo(コグエボ)の公式サイトに入って、問い合わせから試用申し込みをしていただきたいと思う。
他の事業者との競合に勝ち残るためにも、是非このようなソフトを使っての新サービスメニュー開発に挑戦し、それをスタンダードメニューとしていただきたい。
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