まず最初にお知らせを・・・。介護施設をはじめとした高齢者福祉施設・居住系施設のクラスター感染が増加傾向に転じ、前週から倍に増えていることから、某機関より注意を促すよう依頼されました。手洗い・うがいのほか、安全な方法による空間除菌は不可欠です。「使用後95.5%の医師が継続使用を希望する空間除菌法」を参照して、感染予防対策を練り直してください。
さて話題を変えて本題に入ります。
先週22日の日に僕は、自分フェイスブックに次のような意見を投稿した。
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8/6に南アルプス市の有料老人ホーム「わたぼうし」に勤めていた丹沢一貴容疑者(42歳)が、ご夫婦で入居していた利用者の妻(80歳)の首を絞めて殺した事件で、容疑者は「夫婦の介護にストレスを感じていた」と供述しているそうです。
仕事のストレスなど、介護以外の職業でも必ずあるし、介護の仕事をしている人でストレスのない人もいません。それを利用者の殺害という形に向けると言うのは普通ではありません。本当の殺害理由は、もっと別の深い闇の部分にあります。人材採用の問題ももっと検証されるべきです。こうした報道で、介護が特段他の職業に比べてストレスが多くて、それが利用者への暴言や暴力という形になってしまうのだなと思われることが一番問題です。
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僕がここで、「本当の殺害理由は、もっと別の深い闇の部分にある」と述べていたことが当たってしまった。
昨日報道機関が一斉に報道しているが、この事件の真相はストレスによる虐待致死事件ではなくではなく、性暴力による致死事件であることが明らかになった。
甲府地検が昨日26日、逮捕された丹沢一貴容疑者(42)=同県市川三郷町=を、強制性交等致死の罪で起訴したが、起訴内容は、8月5日午後9時50分ごろから午後11時半ごろの間、同市の有料老人ホームのトイレで、入所する女性(80)の首を腕で絞め付けるなどして強制的に性交し、窒息死させたとしているのである。
「強制性交等致死」・「強制性交等罪」とは、聴きなれない罪名であると感じる人も多いと思うが、これはいわゆるレイプそのものを指す強姦罪である。2017年7月13日に施行された改正刑法から強姦罪の名称および内容が変更となったものである。旧強姦罪では3年以上の有期懲役刑だったところ、強制性交等罪では5年以上の有期懲役刑に引き上げられ、原則的には執行猶予のつかない罪となり、厳罰化されていると言える。
本件はトイレ介助するために利用者をトイレの個室に誘導した後、容疑者は性欲を満たすために性行為を行い、その最中被害者が暴れないように首を絞めていたが、それによって被害者は死に至ったということで、「強制性交等致死罪」が適用されるものだ。
事件があったのは、山梨県南アルプス市の老人ホーム「わたぼうし」。
被害女性は一人で歩くことができず、殺害当日丹沢容疑者は一人で夜勤を行っており、殺害理由について容疑者は当初、「排泄介助の際に言うことを聞いてもらえずかっとなりトイレで首を絞めた。日頃からストレスがたまっていた」と供述していたことが報道されていた。
そんな理由で人を殺めることも許せないが、それは真っ赤な嘘で、自分の性衝動を抵抗できない高齢要介護者に向けるという卑劣極まりない事件だった。しかも勤務中の犯行である・・・。
被害者は加害者に恥ずかしい部分を含めて、身を委ねて日常支援を受けなければならない立場の人である。そこでは、「信頼」という絆が何より必要とされるのに、その絆を断ち切って、介護のプロとして個人空間に深く介入するという立場を利用しての犯行は許しがたい罪である。
それはまさに鬼畜の所業でしかない。
こんな犯罪が起きると、施設職員が利用者から信用されなくて、特に異性介助を拒否するケースが続出しかねない。困った問題である。
当初、介護ストレスを理由にしていた容疑者を擁護するかのような発言が、ネット上では飛び交っていた。殺人は許せないが、ストレスから暴力に及んでしまうことは仕方がないという意見も少なくなかった。しかしストレスを利用者に対する暴力という方向に向ける人間は、介護を職業とすべきスキルのない人間である。
そもそも介護のストレス=利用者虐待というのはあまりに短絡的動機で、介護ストレスを理由にした虐待事件の多くに、人に言えない恥ずかしい犯行動機が隠されていることが多いのだ。今回はその闇の部分が明らかになったに過ぎない。
FBに書いたように、殺害された80歳の女性は、ご夫婦でこのホームに入居していたとのこと。遺されたご主人は犯行現場となったホームで、今どんなお気持ちで過ごされているのだろうか。その方自身の心身の状態にも影響を与えていると考えられ、非常に心配である。
それにしても、40代の男性が80代の高齢者に性欲を感じることも、自分が仕事として介護支援に係るべき利用者に、職場の仕事の最中に性欲を感じることも、僕には全く理解不能だ。
こうした性癖の犯罪者を、教育で何とかしようということは難しいだろう。こうした性癖を持つ人間であるということを、採用面接で見抜くことは不可能だし、試用期間で見極めることも極めて困難だ。
介護事業者では多かれ少なかれ密室化する介護の場で、自らの危機的状況を訴えることができない認知症の人も含めて1対1で長時間係るのだから、そうした性癖の人間が一人でも混じっていれば、そこで犯罪が行われることはあり得ることになってしまう。
介護事業経営者にとってそれは恐ろしいことで、対岸の火事とばかり言っていられないと言っても、有効な対策を取ることが難しい問題でもある。とにもかくにも職員採用と、教育の専門部署を整備して、就業後も職員個人の介護という職業への適性を見極める働きかけを、常時怠らないことくらいしか問題解決にはつながらないだろう。
どちらにしても採用段階から慎重な人物の見極めが必要なことを、改めて自覚しておきたい。
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