介護保険制度が始まった当初、高齢者の方々は自分と認知症は無縁であると考えて、自分が将来認知症になることはあり得ないと考えている人が多かった。

そうした方々は、将来認知症になる可能性があることを指摘するだけで気分を害する人も多かった。

しかし現在では自分と認知症が決して無縁ではないと考えている人も増えてきており、自分なりに認知機能を保つような生活習慣を持たなければならないと考える人も増えてきた。

そういった方々が要介護認定を受け、軽度判定を受けた場合、自分が加齢とともに心身機能が低下していることを改めて実感し、自ら進んで身体機能の維持や、社会性の維持を目的に通所サービス等を利用するケースが増えている。

自らの身体機能の低下を実感している人の中には、老化が進むとともに認知機能の低下が起きないかということを気にかける人も多く見られる。自分の認知機能の状態が健全な状態に保たれているのかということに興味を持つ人が多くなっている。

そのため介護サービスの場でも簡単に実施できる、長谷川式簡易知能強化スケール(HDS-Rに)やMMSEなどの評価を受ける人も多くなっている。

10年ほど前なら、こうした簡易評価を行なおうとするだけで、「自分を馬鹿にするのか」と憤慨する高齢者が多かったことを考えると、現在はそれらの検査に対する拒否感も少なくなり、検査・評価するということ自体で生ずるトラブルも大幅に少なくなった。

とはいっても長谷川式やMMSEなどは、被験者の置かれた状況のほか、評価する人の質問の仕方や習熟度などから大きなブレが生ずることがあり、正確な状況把握がしづらいという弱点がある。(参照:認知症スケールでは、被検者をごまかす対応が求められるのか?

しかもそれらの簡易評価の最大の弱点は、検査・評価すること自体は、ちっとも面白くないという点である。評価を受けるが側が、愉しんで評価に臨むという形にはなりにくいのが最大の欠点だ。

ところがこの弱点と欠点をすべて解消し、なおかつ認知症の簡易評価として画期的な方法が開発された。

それは認知症を認知機能の低下ととらえ、記憶力・注意力・空間認識力・計画力・見当識の5つの認知機能に分類し、それぞれの認知機能の凸凹を測定する定量的なアセスメントと、それらの機能の維持・低下のソローダウンを図るトレーニングが行えるCogevo(コグエボ)というソフトである.
※公式サイトのURLを文字リンクとして張り付けているので、参照していただきたい

アセスメントとトレーニングと言っても、それはPC・タブレット・スマホなどの画面を通じて、それぞれの認知機能別に分類されたゲームを実施するだけで測定・評価・トレーニングになるという意味である。

僕も実際に行ってみたが、決して子供だましのゲームではなく、大人が真剣に取り組むことができることが分かった。

僕は5項目の検査のうち、満点は1項目でしか取れなかった。答えが間違っていなくとも、回答時間で評価が決まるものもあり、ある程度習熟することも求められるので、脳トレーニングとしては優れている。

例えばこのソフトを通所介護等のサービスメニューに組み込んで、認知症リハビリテーションとして実施することも可能であるし、レクリエーションとして実施することも可能である。毎日取り組むメニューとしても飽きられずに、日々の状態確認として受け入れられるだろう。

このソフトの紹介動画では、認知症や認知障害に偏見がある人もいるので、利用者本人のプライドを傷つけないように、本人にこのテストの意味の意図を隠したり、そっと人目に付かないところで実施したほうが良いというプレゼンをしているが、それは違うだろうと思う。

通所サービスの通常メニューの中での定期チェックとして、あるいはゲーム的感覚で楽しみながら認知機能テストができるというふう明確に目的を示したうえで実施して、出力される認知機能評価表を参考にしながら、認知症予防の目標を立てるなどして、愉しんで自分自身の認知機能の特性に気づいてもらえると思う。

実際にゲーム感覚で行うことができる評価方法については、下記の動画で説明されているが、プレゼンは一般の方を対象にしているために、介護関係者には回りくどく感ずる部分もあるかもしれない。ただ、どんなゲームなのかわかると思うので、紹介しておこう。

約9分と長い動画だが、最初の2分30秒ほどは認知症の説明で介護関係者はすでにご存じの内容であると思えるので、そこは飛ばして2分間30秒後から視聴すると良いと思う。

このソフトは、実際に購入する前に試用することが可能で、実際に試してみてから、サービス導入できる点でもリスクがない。

ソフト導入した事業所のサービスの多様化につながるとともに、団塊の世代の方のサービス利用ニーズにも、必ず合致するCogevoは、これからの通所サービスの必須アイテムと言っても良いほどだ。

是非その導入を検討していただきたい。
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