(社福は経営規模拡充の波に乗ることができるか呑み込まれるのかより続く)
最初に私的なことだが、皆さんにも関係深いと思われる情報を一つ報じておく。昨日2回目のコロナワクチン接種を終え、特に副反応も感じられず普通に過ごしていたが、今朝起きると体がだるかった。
そのため検温してみたところ、37度8分迄発熱していた。頓服を呑んでも現時点でその状態は改善していない。ここ2年以上風邪もひかず、発熱もなかった僕は、昨日も特に風邪をひくような覚えはないので、これはワクチン接種の副反応だと思う。1回目のワクチン接種の際は、注射部の筋肉の痛みだけだったので(3日ほどで痛みは引いた)、やはり副反応は2回目に強い症状が出るというのは本当だった。接種の際は、頓服を処方してもらうことをお勧めする。
さて話は変わって今日の本題。
社会福祉法人は、事業規模の多角化・拡大化を図る必要があることや、地域に社会福祉法人が複数乱立していることは好ましい状態ではないと国が考えていることは、昨日の記事で解説した通りである。
日本の人口は減少して地域社会は縮小するのだから、現在のように各地域に事業規模零細な社会福祉法人が乱立していて良いのかという意味もそこにはある。
そのため場合によっては複数の社会福祉法人の合併を図る取り組みの支援を、地域行政が行うことが望ましいとも考えられている。
しかし設立理念や経緯の異なる法人が、合併することの困難さは想像以上である。
そのため昨年改正された社会福祉法には新たに、「社会福祉連携推進法人」というものを位置付けている。
ここで法制化された「社会福祉連携推進法人」の施行は2022年4月とされている。
社会福祉連携推進法人とは、複数の社会福祉法人等がグループ化して設立する法人であり、次の6点が可能となる。
1.地域共生社会の実現に資する業務の実施に向けた種別を超えた連携支援
2.災害対応に係る連携体制の整備
3.社会福祉事業の経営に関する支援
4.社員である社会福祉法人への資金の貸付
5.福祉人材不足への対応(福祉人材の確保や人材育成)
6.設備、物資の共同購入
この中で注目すべきは3である。社会福祉法人は、原則として法人外への資金融通が認められていないが、「社会福祉連携推進法人」としてグループ化された枠内であれば、資金を法人間で融通し合えるのである。それによって資金不足に陥っていた法人が息を吹き返し、新サービスを生み出す可能性も高まる。
6によって様々な物品の購入価格が下がることは必然で、運転資金にも余裕が生まれる可能性がある。
何より人材確保・育成面では大きなメリットが生ずる。全国すべての地域で介護人材不足は深刻で、外国人をいくら雇用しても、すべての介護事業者で数が充足することにはならない。国の施策でこの問題は解決不可能だ。
だから人材を独自に確保して、定着率を上げるための教育システムを構築・機能させることは不可欠であり、そのためには法人内に人材確保と育成に専念できる専門部署と担当者を創ることが重要である。しかし事業規模脆弱な社会福祉法人内に、そのような専門部署と担当者を配置することは非常に難しい問題であった。
しかし「社会福祉連携推進法人」とすれば、そのような専門部門をグループ内に配置して、職員募集と採用・教育をグループ内で一貫したシステムとして構築できる。これによって法人単独で経営していた際より、確実に人材確保は容易になる。
職員の一括採用先には、それぞれの採用法人の給与規定が異なる点がデメリットとして浮かんでくる可能性が高い。そうであればその先にはグループ内での給与規定をはじめとした就業規則の統一化ということが現実化するかもしれない。
それが実現すれば、労務管理もグループ内で一括して行うことができるし、それが非課税法人のメリットを生かした統一給与規定を定めることにつながれば、そのことは民間大手営利企業のブランド力とサービス展開力と対応し得る重要なアイテムとなるだろう。
勿論、こうした法人のグループ化や大規模化にはデメリットも懸念されている。
例えば経営判断の遅延が懸念されているが、グループ内の意思疎通システムをきちんと構築することで、そのデメリットは最小限に抑えられる・・・というか、そもそも事業規模の小さな社会福祉法人で同族経営の法人では、もともと経営能力のない理事長や管理者が少なくなく、グループ化によってこれらの無能な経営者は淘汰されるか、能力の高い経営者に引っ張られて発言力を失っていくかのどちらかであり、経営判断の問題はさしたるデメリットならない。
同族経営こだわって、後継者がいないため法人経営ができなくなるデメリットも、グループ内で経営者を含めた人材を手当てすることで防ぐことができる。それによってグルー内の法人職員を護ることにもつながるのだ。
法人規模が巨大化することで、地域性を鑑みた独自のサービスが喪失されるのではないか懸念する人もいるが、巨大化によって知恵が集まり資金が融通できるのだから、むしろ地域性に応じたサービスの工夫は容易になるだろう。
厚労省は、「社会福祉連携推進法人」を年間10件〜20件認可していく方針を示している。その方針どおり事が進む保証はないが、どちらにしても今後はこの法人が全国津々浦々に誕生していくことは間違いない。
施設・事業所運営しかしておらず、法人経営を行っていない事業規模零細の社会福祉法人は、地域に「社会福祉連携推進法人」が誕生したとき、グループ化された法人と競合できるのか?小規模の民間営利企業は、そうした法人がある地域で利用者や職員を確保していけるのだろうか。
その影響は避けられないし、逆に言えば「社会福祉連携推進法人」とは、それだけ大きな力を持ちうる法人であり、地域の介護事業者のパワーバランスを根底か覆す大きな変革の波となり得る存在である。
今後の福祉経営は、特養・障がい者施設・保育所等を含めた一体経営が求められ、スケールメリットを最大限に生かさないと生き残れない可能性が高い。
それらを総合的に考えたときに、「社会福祉連携推進法人」の設立とそこへの参入は、社会福祉法人の経営戦略として視野に入れておかねばならないことでもある。
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