今日は僕の○○回目の誕生日。だからと言って、誕生日を迎えてもうれしい年ではないが、FBでつながっている人がお祝いメッセージを届けてくださると頬が緩む。やはり人間にとって一番の財産は、人とのつながりだと思う。ありがたいことである。

ところで今年の誕生日を僕は大阪で迎えている。

昨日北海道を経ったが、飛行機内は予想以上に混雑していた。最近は空席が目立つ便が多いのだが、昨日はほぼ満席便。なぜかというと今日甲子園に登場する北海高校の生徒さんが搭乗していたようだ。一般客は観戦できないが、学校関係者の応援は許可されているのだろう。選手も応援団も頑張ってほしいものだ。

大阪に来ている理由は、当然のことながら仕事である。昨日の夕方、豊中市の施設で職員研修のための講演を行い、今日は午後から大阪市老連で、「介護事業所の高齢者虐待最多から考える〜高齢者虐待の要因と虐待防止の視点〜」という講演を行う予定が入っている。

そもそも虐待を行わないサービス事業者が良い事業者という訳ではないし、利用者を虐待しないサービス事業というのは極めて当たり前のことである。

そうであるにもかかわらず高齢者介護事業者の研修として、虐待防止が研修テーマとなる意味の一つは、当事者が虐待とは思っていない行為で、利用者を傷つけているという事実が存在するからである。

人に関わり個人のプライバシーに深く介入する職業についている人にとって、そのような鈍感さは許されない。そうしたことをなくするためには何が必要かをきちんと示してくる予定だ。

一方では、資質に問題がある人物による、あり得ない虐待が繰り返し報道されるという事実もある。そうした虐待は、なんとしてもなくしていかねばならない。

例えば8/6にネット配信された報道によると、岐阜県多治見市にある介護施設(施設種別は明らかにされていない)で、入所する90歳の女性に顔の骨を折る大けがを負わせたとして、この施設に勤務する介護職員(41)が傷害の疑いで逮捕されたそうである。

事件の発生は2021年6月22日。容疑者は入所している90歳の女性の顔を殴り、ほお骨や上あごの骨を折る大けがを負わせたとして傷害の疑いが持たれている。

被害者の90歳女性は、一部介助が必要な状態(ほぼ自立に近い状態と報道されている)であったが、血圧が高目で短時間入浴とされていたとのこと。事件当日は容疑者が一人で入浴対応していたが、なかなか浴室(脱衣室か?)から出てこないので、別の職員が確認に行ったところ怪我が発覚したものである。

当初、容疑者は自分の手が当たった事故であると暴行を否認。しかしその後、故意にたたいたことを認め逮捕に至ったとのことである。

被害者は容疑者から衣類を手渡され、自分で着衣を行っていたが時間がかかり、そのことに容疑者がイラついた可能性が取りざたされている。しかし90歳の利用者に対して、「ほお骨や上あごの骨を折る」ほど殴るという怒りはどこから来るのだろう・・・。かッとして一度殴ったくらいでは、そのような傷は負わないだろうから、強い力で複数回殴りつけたとしか考えられない。

よく言われることとして、介護という仕事のストレスが虐待の原因だとされたりする。しかしストレスは誰もが抱える可能性があるが、そのはけ口を利用者虐待という形に求めることは、「当然」でもなければ、「よくあること」でもない。

ストレスを抱える多くの対人援助のプロは、ストレスのはけ口を利用者に向けることはないのである。ここを勘違いしてはならない。

着衣が遅いことにイラついただけで、ほお骨や上あごの骨を折るほどの暴行に及ぶ人物は、いかなる教育を行っても対人援助の仕事には向かないだろう。こういう人物は、その資質を見抜いて排除するよりほかに方法はないように思えてならない。

昨日(8月11日)も、北海道函館市の医療法人が経営するGH秋桜で、利用者の飲み物に下剤を複数回混入させる身体虐待が明らかになり、利用者の新規受け入れが3月禁止される行政処分が下されている。

一番の問題は誰が考えても人として許されざる行為を平気で行う人間が、密室化しやすい居住系サービスにおいて、介護職員として利用者対応しているという事実だ。そのような行為に走った職員(5月に依願退職)は、人を傷つける目的で介護の職業を選んだとしか思えない。

教育訓練の手が届かない人物による虐待行為が少なからず存在することを関係者はよく理解し、人物の見極めと、適切な処分という視点も同時に持っておかねばならない。人員不足がその視点を曇らせているとしたら、それは最大の経営リスクである。

その一方で教育の視点として、介護の場で虐待を防ぐために、「アンガーマネジメント(怒りの管理)」を学ぶべきだという主張がある。しかしアンガーマネジメントを学んでも、利用者のちょっとした言動にイラついたり、怒りを覚えたりすること自体が、どのような感情や考え方から生じているのかを理解しない限り、アンガーマネジメントで怒りを鎮め虐待を完全に防ぐことはできない。

まずはその感情のありようを理解する、「自己覚知」を学び、そのうえでアンガーマネジメントを活用する必要があると思う。

そのため今日の講演でも、「自己覚知」・「快適な職場環境」という面にもスポットを当てて話を展開したいと思う。

なお僕の著書、『人を語らずして介護を語るな THE FINAL 誰かの赤い花になるために』の第5章 介護力を豊かにする方法(154頁)では、「自己覚知を促す方法を模索して―masa式演習授業」という方法を紹介しているので、興味のある方は是非一読していただきたい。

今日はオンラインを通じた講演となるが、心を込めて伝えたいと思う。それでは受講者の皆様、どうぞよろしくお願します。

蛇足になるが、我が北海道日本ハムファイターズも暴力事件で揺れている。4人も子供がいる30代男にも今更アンガーマネジメントを教えなければならないのだろうかと考えたとき、なんともむなしい思いを感じるのは僕だけではないだろう。・・・我がファイターズの今シーズンは、もう終了したと同じである。
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