今年度の報酬改定では数多くの加算にLIFE要件が課せられた。

このブログで何度も指摘しているように、LIFE要件とは単に国の介護データベース・科学的介護情報システム (Long-term care Information system For Evidence;LIFE ライフ)に情報を提出すればよいというものではなく、LIFEがその情報を分析して介護事業者にフィードバックされた内容を、PDCA活用しなければならない。

この流れについては、下記のようにイ〜二までとして示されている。
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イ .入所者の心身の状況等に係る基本的な情報に基づき、適切なサービスを提供するための施設サービス計画を作成す(Plan)

ロ. サービスの提供に当たっては、施設サービス計画に基づいて、入所者の自立支援や重度化防止に資する介護を実施する(Do)

ハ .LIFEへの提出情報及びフィードバック情報等も活用し、多職種が共同して、施設の特性やサービス提供の在り方について検証を行う(Check)

ニ .検証結果に基づき、入所者の施設サービス計画を適切に見直し、施設全体として、サービスの質の更なる向上に努める(Action)

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この流れがきちんとできていることを示さねば、加算算定不可とされるのだから、施設サービス計画や各サービス事業所の計画(通所介護計画等)はより重要となるのである。

ところが介護施設では、この計画が形骸化しているというところが少なからず存在している。作成義務があり実地指導で確認されるものだから、施設ケアマネが作成はしているが、介護職員がその内容を知らないまま日常介護にあたっているという状態こそがプランの形骸化といえるからだ。

この状態は施設サービスが、「施設サービス計画に基づき」行われなければならないという運営基準に違反しているが、施設サービス計画書におざなりのADLケアだけを書いておけば、ルーティンワークである基本サービスを実施してさえいれば、計画に基づいていると取ることもできるということで問題視されないことが多い。

つまり利用者の個別性に配慮しない、金太郎あめのような同じケアが機械的に行われているという意味だ。

しかし今後はLIFEからのフィードバックに沿った、個別の計画見直しと実行が常に求められてくるのだから、そうした金太郎あめケアは実地指導の対象となり得る。

よって今からその改善に努めておかねばならないが、その改善とは計画作成責任者である施設ケアマネだけでどうこうできる問題ではなく、直接サービス提供を行う看護・介護職員の意識改革と業務改善が不可欠な問題である。

また施設介護職員の中には、施設サービス計画がケアマネジャーの考え方の押し付けであり、介護に直接携わる職員が気づく利用者ニーズに即していないという訴えを聴かされることがある。本当にそうならば、それは施設サービス計画の作成の基本姿勢が問われる問題と言え、改善されなければならない問題だ。
施設サービス計画書って誰が作るの?
上の画像は、僕の講演スライドの1枚であるが、施設サービス計画の作成を主導・主管するのは施設ケアマネであり、アセスメントは施設ケアマネが直接利用者に面接して行わねばならないが、施設ケアマネが利用者ニーズのすべてを把握することができるわけがないので、担当者から専門的な見地からの意見を求める必要があることになっている。

つまり施設サービス計画書は、多職種協働作業で完成させるべきものであり、それぞれが専門的立場から意見を出し合って作り上げるものであるという施設内コンセンサスが何よりも求められるのである。

施設サービス計画に関する研修は昨年度まで、施設ケアマネを対象にした研修会がほとんどであった。しかし今年度以降は、施設サービス計画を実効性のあるものにして、LIFE加算のフィードバック要件に合致させるサービスを行うためにも、施設サービス計画の意味や必要性を、施設職員全員が理解する必要がある。そのため施設サービス計画を施設の日常介護に生かすための研修が行われるようになってきている。

今日の夕方も僕は大阪で講演を行うが、そこでのテーマは、「ケアプランに基づいたサービス実践の重要性〜本物の科学的介護を目指して」である。

この講演は、施設サービス計画書が職員ができないことを正当化し、しないことを当然とするアリバイ作りに使われるのではなく、施設サービスとして実現できることを増やすためのものであり、それぞれの専門分野を持つ多職種で話し合って可能性を広げていくツールであることを知らしめる講演である。

そのため介護職員等が専門的立場から、どのような意見を伝えるべきかを具体例を挙げて示す予定である。

この講演で伝えたいテーマは以下の3点である。
・施設サービス計画書は、心身に障害があったとしても、「できるかもしれないこと」に着目して、利用者の「希望」に繋げる宣言書である。
・できないことを取り挙げるのは素人でもできる。できる可能性に着目するのが専門的見地である。
・したいことを、できることに変えるための計画書にしてほしい。


そもそも多大な時間と労力をかけて作る施設サービス計画書が、行政指導の為の紙切れに過ぎなくなるのでは多大な業務損失である。

施設サービス計画書とは、利用者や家族にとって、「どのようなサービスを受けることができるかが明確になることによって、安心してサービス利用ができると共に、施設サービスを利用する目的や意味を認識できることに繋がるもの」であり、施設職員にとっては、「共通言語としてのサービス指針を持つことによって、チームとして必要な具体的支援方法を確認理解することができる。利用者の生活課題やサービスの目的を理解することで事後のサービス評価が可能となるもの」である。

その目的を果たすためには、施設ケアマネが施設サービス計画の作成方法を学ぶだけでは不十分で、施設ケアマネ以外の他の施設職員が、施設サービス計画の使い方を学ぶ必要があるのだ。

そうした研修のお手伝いもしているので、是非メール等でお気軽に問い合わせいただきたい。メールは、「北海道介護福祉道場あかい花」のサイトの右上のメールマークをクリックするか、上部のグレーンの帯に書かれたアドレスをクリックして連絡してほしい。
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