毎月のように、日本の介護事業者のどこかで虐待事件が起こり、その度にその虐待が、「氷山の一角」と言われたりするが、僕はそんな氷山に乗って介護の仕事をしているわけではないし、日本の大多数の介護事業者は、虐待とは無縁のサービス提供をしていると言い続けている。

しかし少数派と言えども、密室化しやすい介護サービスの場で、虐待・不適切サービスが行われているという事実は否定できないし、そこでは本来尊ばれるべき人々が、身体や心に傷を負わされているという事実がある。

しかも虐待の当事者は、そのような非人間的な仕打ちをしながら、生活の糧を得ているという大きな矛盾も生み出されている。こうした状況をなくしていかなければならないことは至極当然のことである。

そのためには虐待の原因や理由を精査して、きちんと検証したうえで再発防止策を講じなければならないが、そうした検証作業の前に、虐待の事実を隠蔽したり、なかったかのように見て見ぬふりをする状況が報告されている。

先日も表の掲示板で、虐待を通報しても何も対応されず、隠蔽に走っているというスレッドが建てられた。

これが事実とするなら由々しきことであり、町行政は厳しく糾弾されなければならないが、スレッドの書き込み内容だけでそれをすべて事実と判断することも危険である。虐待を糾弾するならば、きちんとした証拠を提示しなければならないと思う。

なぜならば虐待と認定されれば、それは刑事事件ともなり得るし、損害賠償の対象行為にもなり得るので、事実と確認できる以前に、特定の人物を虐待当事者と糾弾することは人権侵害にもつながりかねないからだ。

今では誰しもスマホを持っているのだから、虐待行為の証拠として撮影・録音することはそう難しいことではない。そうした部分にもICTは活用されるべきだ。

例えば2012年に書いた、「介護の闇をなくさなければ・・・。」では、和歌山県海南市の特養で、隠し撮りされた内部告発映像が、JNNに送られてテレビで報道されたことがきっかけで、海南市の議会で問題が取り挙げられて、改善命令等につながっていったことを情報提供している。

この時は今ほどスマホが普及していなかったから、隠し撮りも技術的にかなり難しかったであろうし、たぶんビデオカメラを隠して撮影したのだろう。

今はもっと簡単に虐待場面を証拠として撮影録画できるのだし、報道機関に頼らなくとも明らかな虐待に対処してくれないならば、ユーチューブ等にアップしてネットで拡散することもできちゃうのだから、虐待事業者がそれを隠蔽するなんてことは出来にくい世の中になっているのである。

隠蔽できないように、厳しく糾弾するという覚悟も持って告発に踏み切っていただきたい。

それにしても虐待の事実が明らかなになっても当事者を処分せず、場合によっては虐待行為そのものをなかったかのように装う行為は卑劣極まりない。そこでは利用者を虐待から護ろうとすることより、自分の所属する事業者を護ろうとすることが優先されているということで、それは自分自身の保身としか言えないからだ。

しかしそれによって虐待行為が隠されてしまえば、虐待当事者は罪の意識を持つこともなく、さらに行為をエスカレートさせ被害者も増えるかもしれない。

それは虐待行為を隠蔽した人が、虐待被害を広げていることと同じ意味になる。人として決して許されることではないのである。

介護という職業が何のために存在しているのかということを、ごく当たり前に考えてほしい。この職業は特別な崇高な行為を求められているわけではなく、心身に不自由のある人も、人として当たり前の日常を過ごすことができるように支援する職業だ。人を傷つけたり、放置したりする行為はその対極にあるものだ。

虐待を行わないということは、良い介護でも何でもなく極めて当然のことである。そんな簡単なことを理解できない人は、介護という職業に関わってほしくない。

こうした問題に関連して、8/12に大阪市老連主催のオンライン講演、Zoom『高齢者虐待対応研修会』開催〜介護事業所の高齢者虐待最多から考える〜を配信する予定になっている。
高齢者虐待対応研修会
既にたくさんの方が申し込みをされているようだが、今から参加したい方は是非主催者に問い合わせていただきたい。

当日は、大阪市老連の事務局があるビルから配信するが、その日は僕の誕生日でもある。ただこの年になればそれもあまり関係ないとはいえる。大阪は蔓延防止対策期間中なので、呑みにも行けないのが少し残念ではある・・・。
登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで無料でサポート・厚労省許可の安心転職支援はこちらから。

※介護事業経営に不可欠なランニングコストをリスクゼロで削減できる新情報を紹介しています。まずは無料診断から始めましょう。電気代でお困りの法人・個人事業主様へ、電気コスト削減!【ライトでんき】





※別ブログ「masaの血と骨と肉」と「masaの徒然草」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。

masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。