介護保険制度を審議する介護保険部会も、介護報酬改定を審議する介護給付費分科会も、社会保障審議会の1部会である。

しかしそこで何か重要な提言が行われ、国の将来を左右するような重要な決定がされたことはない。

そこはいつも厚労省の決定事項を承認するだけの部会に成り下がっている。第3者が加わって審議している体をとってはいるが、それはアリバイ作りに利用されているだけで、審議されているといっても、厚労省から一方的に示された改正・改定案について、ひととおり意見を述べているだけに過ぎない。

その意見が厚労省の最終決定に対して大きな影響を与えているというわけでもない。

厚労省はそれらの意見を、「ご高説は承って起きます」と鷹揚に受け流し、意見を述べた委員もその流れをいつの間にか受け入れているように、毎回粛々と議事が進行されるだけで、熱い議論が交わされることは全くない。

それは何故かといえば、その場が専門家が集って議論する部会にはなっておらず、その実態は利害関係者を含む、関係団体のガス抜きの意見交換会になっているに過ぎないことにある。

多くの委員の背後には、特定の利害団体がついているのだから、その利害に沿った意見しか出てこない。利害に沿った足の引っ張り合いだから、国にいいようにコントロールされ、特定事業所集中減算のように、特定事業所加算の範囲を広げるための取引材料として、福祉系サービスのみにターゲットを絞った減算という人質をとられたりしている。

少なくとも純粋な有識者というのは、この委員会メンバーには皆無であり、介護業界と関係のない学者が入っていても、それは国とべったりの御用聞き学者である。

市民代表の委員も入ってはいるが、あまりにも稚拙な知識しか持っていないので、その意見によって何かを動かすことなんてできない。的外れな愚痴を言う人が一人いるというだけの話だ。

だから大局高所から、この国のため国民のために正論を述べるという態度に欠けてしまっているのが現状だ。

その負の影響は至る所に生じている。

例えば今月に入って、介護施設の入所者の一部からは悲痛な声が挙がっている。それは補足給付の変更による負担増に対する悲鳴だ。(参照:補足給付と高額サービス費の変更実施が迫っています

この問題については、朝日新聞デジタルの8/1配信記事でも、「家族の悲痛な声」として取り挙げられているが、その記事は時期を読みながら今月初日にアップしたものと思える。しかし本当に悲痛な声が全国各地から挙がってくるのは、請求金額が増大する今月分の請求書が届く9/10前後になるだろう。その請求額を見て負担の大きさにショックを受ける人はもっと増えてくる。

補足給付の資産要件である預金額1千万円を、一気にその半額まで引き下げて給付を打ち切るルール変更や、食費負担額が月22.000円以上増となるルール変更など、あまりに乱暴と言える変更を、さしたる議論もなく通しているのがこの審議会である。

補足給付の変更は、法案改正ではなく省令改正なので、国会審議を経ていない。つまり政治家はこの変更内容に関わっていないのである。唯一、省令改正案を審議したのが介護給付費分科会だから、その責任は重たいと言わざるを得ない。

ということで介護保険部会や介護給付費分科会は、今後も続けられ、その議事進行はユーチューブでリアルタイムにオンライン配信されているが、自分の貴重な時間を削ってまで、その会議を視聴する必要はないし、視聴する場合も、事務仕事をしながら、聴き耳を立てる程度で良いだろう。

議事録を読んでもさして意味はないので、分科会に提出された資料を読み込むだけで、情報取得は十分である。

くれぐれも審議内容に期待するなどという勘違いをしないようにしていただきたい。
登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで無料でサポート・厚労省許可の安心転職支援はこちらから。

※介護事業経営に不可欠なランニングコストをリスクゼロで削減できる新情報を紹介しています。まずは無料診断から始めましょう。電気代でお困りの法人・個人事業主様へ、電気コスト削減!【ライトでんき】





※別ブログ「masaの血と骨と肉」と「masaの徒然草」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。

masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。