まず最初にお知らせを一つ。CBnewsに連載中の、「masaの快筆乱麻:迫る食費負担等の見直し・トラブル回避策は?」が昨日アップされている。そちらも是非参照いただきたい。

さて話は変わって、ここからが今日の本題。

通いサービスを中心にして、訪問や宿泊サービスを自由に組み合わせてサービス提供する、「小規模多機能居宅介護(以下、小多機と表記)」は、日本独自のサービスモデルで、福祉先進国と言われるデンマークやスウェーデンといった北欧にも、そのようなサービスの原型は存在していない。

それはまさに厚労省官僚が考え、創り上げた日本型サービスと言ってよいものだ。

そのためか、厚労省の方とお話しする機会があるが、「小多機のサービスモデルは優れている」と評価する人がほとんどだ。それだけ国が期待をかけるサービスモデルが小多機であると言ってよい。

しかしその経営は、規模が小さいだけに簡単ではない。スケールメリットが働かないために、収益を挙げ続けて安定経営することは決して簡単ではなく、他の事業とのパッケージで収益性を考えている介護事業経営者も多いのも事実だ。

そのため国はこのサービスを護り、かつ更なる広がりを促すために定員規模を拡大するなどの措置を取ってきたが、今年度からその支援策をさらに強化する。

8月26日 施行の改正省令において、小多機の利用定員等について、現行の「従うべき基準」から、「標準基準」に改めることに決定したことがその支援策である。
小規模多機能居宅介護の定員規程
従うべき基準」とは、「必ず適合しなければならない基準」であり、市町村の裁量は認められずに、全国一律の基準としなければならないが、「標準基準」は、「通常よるべき基準」であり、合理的な理由がある範囲内で、地域の実情に応じて異なる内容を定めることが許容されることになる。

つまり今後は市町村の裁量で、「標準基準」の上限より定員数を増やしてよいと言うことになる。

これにより小多機事業所は、事業規模の拡大が可能となり、経営状況の改善が見込まれる。

また、通いと泊まりの1日当たりの利用定員の上限が参酌基準基本的には地方自治体の判断で設定可能)となり、より柔軟な運用が可能となり、利用者の利便性が向上する。これらのルール変更を生かして運営できれば、小多機の収益性は現行より高まることになる。

今後の介護事業経営の視点には、事業規模の拡大・多角経営という経営戦略が不可欠であるが、そこに小多機経営を組み入れる戦略が収益をも見込むことができることで、このサービスの普及が進むものと考えられる。

しかも小多機への追い風はそれだけではない。このブログで何度か指摘しているように、訪問介護は、そのサービスを担うべきヘルパーの高齢化が進行して、他のサービスより人材確保が困難になり、顧客がいるのにヘルパーがいないために事業経営が困難となる事業所が増えている。(参照:訪問介護崩壊の序曲が聴こえる ・ 絶滅危惧職種の懸念で基盤が揺らぐ地域包括ケアシステム

しかし今年度の報酬改定では、身体介護・生活援助・通院等乗降介助の単位はわずか1単位しか上がっておらず、特定事業所加算犬梁召房益確保につながる加算も新設されなかった。つまり訪問介護で新たに人材を確保できるように人件費に回す新たな費用の確保ができないという意味だ。

この改定状況を見ると、国は訪問介護を見放したのではないかと思ってしまう。人件費を高くできず、ヘルパー確保がさらに難しくなる訪問介護事業所は、確実に減っていくことが予測されるからである。

国の思惑を想像すると、訪問介護は生活援助が保険給付されてよいのかという議論が常に行われる訪問介護については、地域によってそのサービスがなくなっても、それに代わって小多機サービスが普及すれば問題ないと考えているように思える。そのために小多機を増やす対策を急いでいるのではないだろうか。

さらに言えば、通所介護や訪問介護の生活援助については、軽度者(要介護1と2)のサービスは間違いなく地域支援事業に組み入れられる。それは早ければ2024年度にも実現されるだろう。

しかし小多機については、要介護1と2の対象者も介護給付対象として残っていくだろう。つまり軽度者の通所介護・訪問介護利用者が、そのサービスが地域支援事業化される時期に、小多機サービスへの乗り換えが続出する可能性が高いということで、小多機の顧客は今後、確実に増えることが見込まれるのである。

こうした追い風をうまく利用し、顧客を増やし収益を挙げるためには、今回の省令改正を生かさねばならない。小多機事業者が協力して、地域保険者に標準以上の定員を認めるように働きかけを行うことも必要ではないのだろうか。

改正省令を眺めているだけで、絵に描いた餅にしない努力は不可欠で、それは小多機事業者の結束と協力のもとに行われなければならないのである。
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