200年4月に、「走りながら考える」としてスタートした介護保険制度にとって、制度改正は必要不可欠な整頓作業であると考えられている。

しかしそこでの主要なテーマは、「制度の持続可能性を高める」ことであり、制度を良くするとか、利用者にとってよりメリットの高い制度にするという視点からは、かけ離れた修正作業となっている。

改正とは、「不適当なところや、不備な点を改めること」という意味であるが、介護保険制度改正における改正の主語は、あくまで制度を維持する国なのである。

よって国民にとっての不適当な点は無視され考慮されないで制度は整えられていく。

お金の取れるところからはお金を取り、かけなくて良い部分にお金はかけずに、できるだけ国民の自助努力を促すという方向で制度はコントロールされているわけである。

受益者負担という冠をつけて、自己負担を強く求める先は、お金持ちばかりではない。むしろ経済的弱者をターゲットにしたルール改正が目立つのが介護保険制度改正であり、それはあたかも社会保障を受けることが、「悪」であるかのような印象操作にさえ映る。

たとえば施設入所者やショート利用者の食費と居住費の支払いが困難になる経済的弱者を救うために設けられている、世帯全員が非課税世帯などを対象にした補足給付は、利用者負担段階2段階と3段階を区分する80万以上の年間所得の計算式では、当初遺族年金等の非課税年金を計算式に入れていなかった。

しかし平成28年度のルール変更で、ここに非課税年金を加えたため、実際の所得が増えていないのに利用者負担段階が2段階から3段階に変更されて、自己負担が増えた人がかなりいる。

平成30年の改正では資産要件が設けられて、単身世帯で1.000万円以上の預金がある人は補足給付の対象外としたばかりなのに、令和3年8月からは利用者負担段階を細分化したうえで、資産要件の基準を利用者各段階ごとに引き下げ、2段階の人はその額が一気に1/2の500万円とされた。

さらに食費の基準費用の引き上げにより、4段階の施設利用者は1.643円/月(31日計算)の引き上げになるが、問題なのは世帯全員非課税で、年間所得が120万円以上の人の新区分3段階△乏催する方々の負担増だ。

施設入所者で3段階△乏催させられた人は、食費だけで22.010円/月(31日日計算)もの大幅な負担増である。この負担に耐えられず退所を検討せざるを得ないケースも出てくるだろうが、だからと言ってほかに行く場所があるのだろうか。その人たちは今後、どこでどのように生きていくことができるのだろうか・・・。(参照:補足給付と高額サービス費の変更実施が迫っています

恐ろしいことに補足給付の改正はこれが最終地点ではない。資産要件について国は、預貯金だけではなく、土地や建物と言った不動産資産を勘案すべきだと考えている。そのため今後は、評価額が一定以上の不動産を保有する対象者については、補足給付の対象外とするために、市町村がその不動産を担保とした貸し付けを介護保険の財源を用いた事業として行って、利用者の死後に回収する仕組みを導入する方法等が議論されていくことになる。

低所得者と言えども、墓場まで費用を取り立てに行って、資産を根こそぎ奪い取ろうという施策が堂々と議論されていくわけである。これが先進国ニッポンのもう一つの顔である。

介護保険制度は社会福祉構造改革の一環として設立された、「社会福祉制度」である。そして経済的弱者に対する給付制度は、「社会保障費」であることは議論の余地がないところだ。

社会保障制度とは本来、社会の「財」の再分配機能を有するものであり、現役時代に何らかの理由で経済力の差が生じ、貧富の差が生まれたとしても、そのハンデキャップを高齢期に引きずらないようにするための制度でもある。

しかし補足給付の対象となっている低所得者から、資産を奪い取るような施策がさらに進むと、社会の財の再分配という機能は消滅し、この国の国民は現役世代に生まれたハンデキャップを一生引きずって生きていかねばならなくなり、社会全体の貧富の差はさらに広がることだろう。

誰がそんな国にしたのだろうか・・・。少なくともその姿は、世界に向けて堂々と披露できる姿ではない。
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