今週木曜日には、いよいよ暦も7月に変わる。
夏本番と言ったところだが、その時期はちょうど介護報酬改定・基準改正から3月を経た時期でもあり、大きな変化が全国の特養で予測される時期でもある。
というのもその時期に特養での二つの夜間配置基準緩和の試行期間が終わって、完全実施されるからだ。
その一つは、介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・短期入所者生活介護の夜間配置加算の算定要件変更である。
今年度から見守り機器を入所者全員に設置した場合、「夜勤職員全員がインカム等のICTを使用していること及び安全体制を確保していること」の2つの条件をクリアすれば、最低基準に加えて配置する人員が従前の0.9から、「人員基準緩和を適用する場合0.8人、適用しない場合(利用者数25名以下の場合等)0.6人」まで引き下げることが可能となっており、その試行期間が終了する。
二つめは、介護老人福祉施設(従来型)について、見守り機器やインカム等のICTを導入する場合における夜間の人員基準緩和(参照:特養で夜勤する人がいなくなるかもしれない緩和策)についての試行期間の終了である。この配置基準緩和は、夜間配置加算の追加する職員の緩和ではなく、夜間配置基準そのものの規定人数が減らされるのだから、加算算定基準の緩和策より重大な問題である。職員は今まで経験したことがない、最も少ない人数で夜勤を行わなければならないからだ。
試行期間とは、実際に見守り機器やインカム等のICTを活用しながら、それで配置人数が減らせるのかを確認する期間であり、この期間は夜勤者数を従前からの基準通り減らすことなく配置しながら試していた期間である。
つまり実際に人を減らして、夜間ケアを行うのは7月が最初となるのだ。
試行期間中に実際に夜勤者数が減ることに不安を感じていた職員は、全国にたくさんおられるはずだ。実際に僕のところには、そうした職員の方々が多数不安の声をメールで送ってくださっている。その中にはその不安が解消しないとして、夜間配置基準を緩和しない特養や、緩和基準が導入されなかった老健に職場を変えたという人が居られる。
試行期間が終わり、実際に夜間配置人員が減らされた中で仕事をする人で、今後同じように職場を変えようとする人の動きが活発化するかもしれない。
見守り機器等は、とても優れた性能があり、その導入はぜひ進めるべきだと思う。それによって夜勤者の業務負担は間違いなく軽減できるからだ。
だからと言って人を減らして夜勤を行うということは別問題だ。せっかく見守り機器やインカム等のICTを導入して、業務負担が軽減しても、配置人員を減らしてセンサー対応する職員の数が減ってしまえば、業務負担は逆に従前よりも増えることになりかねない。
実際に機械の反応で対応するのは人間なのに、その対応者が減れば、そこで業務負担が増えるだけではなく、その他のルーティンワークにも支障を来すのは極めて容易に想像できることだ。
試行期間でそのことを確かめて、やはり夜間配置人員は、従前どおりにしないと業務が回らないという判断があってもよいと思うのだが、実際には試行期間を通過儀礼と考えて、その期間が終わったならば自動的に配置人員を減らそうと思ている特養経営者や管理職が多いのには閉口してしまう。
26日に厚労省が介護ロボット等の安全使用を呼びかける事例集を公表したが、その中には昨年11月までの1年間で、見守り機器を導入していたが、利用者がベッドから起き上がったことを知らせる警告に職員が気付かずに骨折した事故などが70件以上発生していることが示されている。
職員を減らして配置すると、センサー反応に気づかない事故も増えるし、気づいても対応ができない場面も増え、事故は確実に増えることは容易に想像がつく。そうした事故対応にも職員の身体と精神は疲弊していくのではないだろうか・・・。
職員の健康や業務負担を考えることなく、利用者の安全な暮らしを護れなくなるリスクも考慮せず、変更基準に合わせた人員削減に躍起になる経営者や管理者のいる場所で、将来にわたって職員が安心して働くことが出来るわけがない。そういう事業者は見限って、一日も早く良い転職先を探すということも、賢い従業員の選択肢の一つだと思う。
これから緩和された配置基準で夜勤業務を行わなければならない介護職員の方々は、くれぐれも身体的・精神的な健康を害しないように、不安と不満を抱えたまま過酷な労働環境に耐えて働き続けることがないようにしていただきたい。
時と場合によっては、自分の身は他に誰も守ってくれる人がないのだから、自分自身で守るしかないのである。その時の判断は、「もっと良い職場を探してみよう」でも良いわけである。
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