政府の今年度の骨太方針が18日閣議決定され、介護分野では、「科学的介護・栄養の取り組みの推進」が明記された。
これによって介護事業者にはより一層の、「科学的介護の推進」が求められてくるものと思われる。
しかし科学的介護とはそもそもどのような介護をいうのだろうか。
それは時代の最先端技術を先取りして使いこなす方法論であると考える人がいるかもしれない。例えばICTやインカム・AI搭載ロボットを活用する介護サービス事業をイメージする人も多いだろう。
しかしそれは大きな間違いである。科学的介護とは、科学的根拠(エビデンス)に基づいた介護という意味であり、必ずしも機器を使ってサービス提供するものとは限らないのだ。
科学という言葉自体が、最新テクノロジーや機械・ロボットをイメージするものであると思い込んでいる人がいるが、そのイメージが科学的介護の本当の理解を邪魔しているのではないだろうか。
ウィキペディア(Wikipedia)よれば、「科学」(science)という語はラテン語の scientia (知識)に由来する言葉だそうであるが、それは体系化された知識や経験の総称という意味で用いられてきた。
「ある状態に対して、こうすれば、こうなる」といった事象を集めることから、原因と結果を探してゆくのが科学的方法なのである。
特定の条件を集めれば、特定の結果が得られることを示すことができるならば、その条件を作る方法が科学的根拠(エビデンス)と言えるわけである。
そうしたエビデンスをしっかり築いて、それに基づいた介護実践をしようというのが、「科学的介護」の本当の意味である。そのためには私たちが日ごろの介護実践に際して、常に根拠を求め、それに基づいたサービス提供を行うという姿勢が重要になってくる。
科学的介護という名のもとに、機器を頼って、その活用を図ることを目的化してしまえば、そこに科学は存在しないことになる。
愛情などという目に見えないものは科学的ではないとして、利用者に寄せる人間愛や、配慮の気持ちを不必要なものとすることは間違っている。人の感情に寄り添う姿勢を邪魔者扱いすることは間違っているのである。
科学的介護という言葉を最初に誰が使ったかはわからないが、この言葉を広く知らしめたのは、全国老施協の、「介護力向上講習」と「おむつゼロ運動」であったことは間違いない。
しかしそこで行われていたことは、科学的根拠(エビデンス)には全く基づいていない、「竹内理論」という非科学的な方法論で、それは現在では老施協とたもとを分かつ理論となっており、老施協の展開した「おむつゼロ運動」も、国が全面否定したことは過去記事でも示した通りである。(参照:全否定されたおむつゼロ運動と罪悪の歴史)
つまり科学的介護という言葉を浸透させた全国老施協の過去の運動は、その一方で「竹内理論」という悪魔の方法論を押し付け、受講者を洗脳するために、「科学」という言葉を便利使いして、介護業界全体に誤解と混乱を広める結果を生んだのである。そうした罪が、科学的介護の理解を阻害している要因にもなっているように思えてならない。
個別アセスメントを一切せずに、利用者全員に1.500ml/日もの強制水分補給を行っている施設が今もあるとしたら、そこの従業員は殺人者・殺人ほう助者のレッテルが貼られる前に、1日も早くそのような罪深い施設を退職し、まともな介護施設に勤め直した方が良いと考えに今も変わりはないし、そういう施設の方は一日も早く、「竹内理論を実践し続けている施設の職員さんへ」という記事を読んでいただいて、その過ちに気が付いてほしいと思う。
科学的介護がより推進される今後の介護事業において、科学的介護を実践する私たちが、その正しい意味を理解し、その方法論を創り出していくのだという理解は不可欠なのである。
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