今年度の報酬改定で新設されたLIFE関連加算は、訪問介護・訪問看護・居宅介護支援などには導入されなかった。

しかし次期改定(2024年度)では、LIFE要件加算がないサービスにも、それを新設する方向で検討が始まっている。訪問介護や訪問看護には、間違いなくその加算が新設されていくことになるのだろう。

だが居宅介護支援にもLIFE関連加算が新設されるかどうかは微妙だ。そもそも居宅介護支援事業所の利用者は、必ず居宅サービスを利用していることになるので、情報はそちらから集めればよいだけの話で、居宅介護支援事業所から収集すべき情報がなかなか見当たらない。

それに加えてもう一つのLIFEの目的も、居宅介護支援に限っては既に合格点達していると言え、改めてLIFE要件を課すまでもないと言えなくもない。

LIFEが目的としているものは情報収集だけではなく、収集した情報を介護事業者にフィードバック活用させ、PDCAサイクル活用させることである。つまり介護サービスの方法論に根拠を持たせて、結果に結び付けることを促すという流れをすべてのサービスで実現させようとするものだ。
無題
この部分について他のサービスと比較すると、居宅介護支援のPDCAサイクルはうまく構築されており、改めてそのサイクル構築を促す必要がないともいえるのである。

何故なら居宅介護支援における計画作成から、担当者会議を経てのサービス利用、定期的なモニタリングによるサービス計画の見直しという流れそのものがPDCAサイクルだからである。

そして計画された各種サービスを提供する事業所等は、必ず居宅サービス計画の内容に沿ってサービス提供を行っており、PDCAサイクルが形骸化することなく、その流れに沿ったサービスが提供されているのである。

ただしこのことを念押しするために老企22号通知を改通知し、運営に関する基準に次の1項を新設していることは周知の事実だ。(下記参照)
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介護保険等関連情報の活用とPDCAサイクルの推進について基準第1条の2第6項は、指定居宅介護支援を行うに当たっては、介護保険法第 118 条の2第1項に規定する介護保険等関連情報等を活用し、事業所単位でPDCAサイクルを構築・推進することにより、提供するサービスの質の向上に努めなければならないこととしたものである。
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施設サービス計画も、居宅介護支援と同じように計画作成の実務については、PDCAサイクルを構築する流れが基準省令で規定されている。

しかし施設サービス計画に規定されている方法論が、施設の介護実務において生かされていない例が見られる。実際の介護が計画内容に沿っていない方法が行われている場合が多々あるのだ。

「そうはいっても、杓子行儀にそんなことは出来ない」とか、「今日は職員が足りないから、そんなことは云っておられない」というふうに、計画が無視されてしまうことが日常化している施設は決して少なくない。場合によっては、計画を実施すべき介護職員等が、施設サービス計画書を読んでいないという事例する報告されている。

そうした実態を戒めるかのように、今回の報酬改定では施設サービスの8加算にLIFE要件が設けられている。きちんと計画に基づいたサービス提供を行いながら、介護の質を高める方向で計画を随時見直しなさいと、国は施設関係者の尻を叩いているのである。

施設ケアマネジャーをはじめとする介護施設の職員は、このことを強く意識して、施設サービス計画に沿ったサービス提供を心掛ける必要がある。そうしないと次の改定で、施設サービスに対してより強い縛りが創られかねないことを意識しておく必要もある。

施設サービス計画をお飾りにして、実地指導でしか使わない書式に貶めてはならないのである。

ところで、LIFEからの最初のフィードバクは6/23に行われた。しかしそのフィードバックは試験的意味合いを込めた、「暫定版」フィードバックですある。

というのも老健局のクラスター感染の影響で事務作業が遅れ、情報提出の猶予期間を急遽全加算に設けたことによって、当初予定のデータがそろわなかったことから、個別・事業者別フィードバックは出来なかったという経緯があるからだ。

そのため今回は「科学的介護推進に関する評価(施設サービス/通所・居宅サービス)」、「薬剤変更等に係る情報提供表」と「5月10日までに登録されたデータと全国比較(該当者数/割合・平均値)」のフィードバックに留まっているのである。

このことについて厚労省は、「今回は全国の集計値のみのフィードバックなので、自事業所との利用者や取り組みの比較程度の活用となる」としている。要するに比較してみるだけで、他に何もしなくてよいという意味であるし、比較したからと言って何かが導き出せるという意味でもない。そんなふうに大した意味のあるデータではないことは国も承知しているのだ。よってこのフィードバックをPDCA活用する必要はない。・・・というか活用できないと言った方が正解だろう。

今後について厚労省は「経時的に比較可能な形式は21年8月以降の実施を予定」との目途を示し、順次フィードバックの内容は拡大するとしている。

介護事業者のPDCA活用も、その後に行うことになることを理解してほしい。
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