今週金曜日(6/18)の午後、岐阜県中津川市と恵那市が共催する、介護支援専門員研修会としてオンライン講演を行う予定が入っている。

テーマは、「2021年度の介護保険制度改正と介護報酬改定の要点とその目的について」となっていて、制度改正を中心に解説を行うことにしているが、その研修に関連して2つの市の介護支援専門員の方々から事前質問が寄せられている。
制度改正講演スライド
その質問内容を含めて講演で解説すればよいと考えていたところだが、しかし質問内容を読むと報酬改定に関連したものも多く、僕が書いた過去のブログ記事を読んでいただいた方が理解しやすいと思う質問もあった。またこれらの質問に答える解説をするだけでかなりの時間を割かねばならなくなり、予定していた講演内容を一部削らねばならない事態も考えられた。

そのため今日のこのブログ記事で、18日講演の事前質問と回答を書こうと思う。この研修講演を聴くことができない他の地域の介護支援専門員の皆様にも参考になることもあると思えるので、以下Q&A方式で紹介するものを参考にしてほしい。
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Q1.(特定事業所医療介護連携加算の算定要件について)
別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、市町村に届けた事業所は1月につき所定単位数を加算するとある:125単位
その基準に前々年度3月から前年度2月までの間において退院退所加算の算定に係る連携の回数が合計35回以上とある。連携とあるが、居宅介護支援事業所から情報提供は含まれず、病院等から情報を受けた回数のみがカウントされるという解釈でよろしいでしょうか。

A1.この加算は特定事業所加算犬汎韻犬覆里如∧神30年の同加算の解釈通知で、「情報提供を受けた回数」とされていますので、情報提供した回数は含まれないが正解ですね。ただし居宅介護支援事業所側から連絡して、情報提供を受けてもよいことになります。(6月19日AM9:38修正

Q2.(通院時情報連携加算について)
ケアプランに記載とありますが、押さえておくべき内容や記載に必須である内容があれば教えて頂きたい。また、日々の業務で効果的かつ効率的な記録の残し方があればアドバイスを頂きたいです。

A2.この加算は、ケアマネジャーの通院同行をただ働きにさせないという観点から新設されました。例えば利用者が急に通院する必要が生ずるなどしても、それに対し訪問介護サービスが対応することができず、やむを得ずに担当ケアマネジャーが通院支援(通院同行)を行わねばならないケースが多々あって、しかし昨年度まではそうした場合もケアマネジャーに対する報酬は一切発生せず、実質ボランティア精神で対応しなければならないことを問題視して新設されたのがこの加算です。
しかし居宅介護支援費は、実際の介護などの事実行為に報酬を支払うことにはなっていないために、居宅介護支援費の加算として何らかの整合性を取る必要がありました。そのためケアマネジャーが通院に同行して、利用者が診断を受ける際に医師と情報交換しながら連携を図るという要件をつけて、居宅介護支援費として支払うことができるようにしたわけです。よってケアプランに記載する内容については、細かな要件はありません。通院の必要な持病の管理などのアドバイスを医師からもらい、それを書いておくだけで良いです。半日以上かけてケアマネが行わねばならない支援行為なのに、通院等乗降介助の半分の単位数しか算定できない加算ですから、あまり悩まずに医師の言葉を拾うだけで良いです。

Q3.(通院時情報連携加算について)
利用者の同意の下、毎月受診に同席し、本人の健康状態を医師に伝え医師からの助言や指導など本人や在宅サービスの看護師に情報連携を行っています。毎月の加算の算定は可能でしょうか。

A3.一人の利用者につき月1回のみの算定が可能となっていますが、毎月算定することは可能です。ただしA2に書いたように、通院支援自体は介護支援専門員の本来業務ではないし、この加算は実にコスパの低い加算ですから、本当にケアマネ同行が必要なのかというアセスメントは欠かせません。「名称に惑わされず経緯を忘れないでほしい新加算」を参照してください。

Q4.(計画書の変更点について)
計画書の変更点が示されましたが、プランについて記載内容や表現方法について自分のやり方を変えていかなければいけないと思うが課題分析の結果とはどういった事を示されているのか教えて頂きたいです。

A4.単に利用者や家族の意向や希望を計画に反映するのではなく、その意向や希望を計画反映することが、利用者の生活課題の解決につながるのかを分析しなさいと言う意味で、デマンドではなくニーズをきちんと抽出して、それを記載しなさいという意味の変更です。

Q5.(ICTの活用について)
居宅介護支援における業務軽減のためのICT活用の具体的な例を教えて下さい。(例えばサービス担当者会議など)

A5.ICTやインカムとは具体的に何を活用することを指すのか、どのような会議や多職種連携でICTを活用できるのかは講演の中で説明します。

Q6.(書類の捺印廃止について)
書類の捺印廃止について現状の対応としては、ケアプラン、重要事項説明書、契約書でどこまでの取り扱いをしていけばいいのか教えて頂きたいです。
 
A6.すべての書類に押印は必要とされなくなりましたが、文書同意につては市町村によって、条例でそれを求めている地域もあり、この場合は最低限、署名は必要であると考えられています。また電磁的方法による同意が認められているものの、国のガイドラインに沿った対応が求められ、電子署名が推奨されるなど、そのハードルは決して低くないため、報酬改定時の変更同意も、文書同意で署名を求める事業者が多かったのが現状です。参照記事も読んでください。(参照:署名・押印廃止は業務軽減になっていません
 
Q7.居宅サービス計画の記載要領が改定されたことにより、例えば1表等の具体的なプランの作成方法について従来の記載方法と内容が異なってきています。記載の仕方や捉え方などについてご教示頂きたいです。
A7.A4の回答を参照してください。全般的には、簡潔でわかりやすい文章で書くこと、専門用語を使わないことなど、文章力の向上が求められる内容になっています。

Q8.今回の改正について、サービスの利用割合の説明し同意を得る事が必要になったが、特に福祉用具などの割合を説明した後、事業所を利用者に選択してもらおうとすると1番多い所の事業所を選ぶことが多くなり、少数の事業者は選ばれません。公正中立の確保を図る観点からの制度改正だとあるが上位の事業所に偏ってしまう可能性はないのでしょうか。 
A8.説明の仕方によると思います。なぜ割合説明が求められたのかということをわかりやすく説明するとともに(あまり意味のない説明ルールであると言っても良い)、自分の計画で事業者割合がどのような選択の結果で異なっているのかを正直に説明すればよいと思います。

Q9.(居宅介護支援費に関する事項)
サービス利用票を作成した月において利用実績がない場合の取り扱いについて(最新情報vol.952の問119について)回復の見込みがないと診断した利用者とあるが、どのように確認し記録を残せば良いですか。また、請求にあたっての必要な書類を整備とあるが、必要な書類は何になるでしょうか。

A9.「医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した利用者」については、医師の終末期判定が必要になります。診断書が必要になるわけではないし、医師から直接伝えてもらう必要もないので、医療機関入院中の利用者なら院内の地域連携室等(医療相談室)のSWに、施設入所者なら相談援助職に確認すると終末期判定の内容を伝えてもらうことができると思います。その内容を支援記録等に残しておけばよいものと考えます。

Q10.(入浴介助加算兇砲弔い董
デイサービスの入浴介助加算兇砲弔い董⊆宅のお風呂では入れない方も算定ができるのか。入浴介助加算兇了残衢弖錣魘気┐督困たいです。また、デイサービスから入浴介助加算兇鮖残蠅垢襪箸力⇒蹐あった場合、軽微な変更の扱いではなくアセスメント、担当者会議が必要なケアプランの変更となりますか。

A10.介護報酬改定Q&A・Vol8の 問1において、自宅に浴室がない場合等、具体的な入浴場面を想定していない利用者や、本人が希望する場所で入浴するには心身機能の大幅な改善が必要となるケースなどの算定要件が示されています。これに該当させることによって、すべての利用者が加算兇鮖残蠅垢襪海箸可能になります。
また居宅サービス計画は、各サービス事業所が行うサービスの具体的内容まで書く必要がないもので、通所サービス事業所の入浴支援の方法が、居宅サービス計画の通所サービス利用の目的に沿ったもの(機能維持や清潔支援が必要など)であればそれでよいわけで、居宅サービス計画書に入浴介助の区分を書く必要はありません。(参照:加算区分はサービス事業所が決める問題です

Q11.<特養 ケアマネより>
今回の改正では、科学的介護情報システムの活用が必須となりフィードバック機能を活用しながらエビデンスに基づいた自立支援・重度化防止を期待されています。インセンティブ的な加算ばかりにも思えます。しかしながら、現実の特養は要介護4〜5の方が中心であり、高度認知症の方が多いです。医療的ケアの必要な方が年々増え、介護職員にも医療行為が行えるように境界線を下げる政策をしてきています。慢性的な人材不足の中、外国人雇用を推奨し高度な教育を求められます。実際、命をお預かりする立場としていい加減な仕事をされては困りますので、教育の重要性も理解をしています。対人援助の最大の利点である、心と身体と寄り添う援助が重要と考えますが、AIを活用すると夜勤帯の人員配置基準のハードルを下げると言っています。AIに頼りすぎて訪室回数やコミュニケーションが減るのでは、と危惧する思いが正直な所あります。近い将来高齢者がますます増えます。その中でどのように質を保ち向上心を損なわずに行くか、正直な所不安でいっぱいです。システム入力と会議に多くの時間を奪われ、残業だけが増える事が想像できます。どのように現場力を高め維持していくのか、利用者様には何が一番なのか、理想と現実との差がますます大きくなっている気がします。

A11.慢性化する介護人材不足の中で、ICTや介護ロボットを活用して介護業務の省力化を図ることは必要ですが、それで人員配置を減らすことができるというエビデンスは存在せず、今回の特養における人員配置基準の緩和は少々乱暴で、(介護人材対策を十分行ってこなかった失政の責任を回避するかのような)国に都合の良い理屈でしかないと思います。この部分は介護サービスの場から問題提起していく必要があるのだと思います。

Q12看取り期など限定的な局面における暫定ケアプラン作成時のプロセスの取り扱いについてどのように解釈したら良いか、また具体的どのようなことが想定されるのか教えていただきたいです。
A12.何か勘違いされていると思います。今回そのような改定は行われていませんし、看取り期の計画は暫定プランではなく、本プランで対応する必要があります。ただし2018年改定では、末期がんの方で、日常生活上の障害が1ヶ月以内に出現すると主治の医師等が判断した場合については、居宅サービス計画書の変更の際に、サービス担当者会議の招集を不要としているだけです。

Q13口腔・栄養・入浴供科学的等の加算に対するケアプランへの位置づけについて、どの程度の対応が必要でしょうか。
A13.それらは居宅サービス計画書ではなく、各サービス事業所の計画に位置付けられるもので、それらの加算の目的が居宅サービス計画の内容に沿っていればよいものです。A10を参照してください。

Q14運営規定へ虐待防止についての文章を記載したが、感染症対策、業務継続対策、ハラスメント対策については、重要事項説明書へ記載をした。今後どんな文章で記載をしていくと良いでしょうか
A14.専門用語をなるべく使わず、わかりやすくかつ簡潔に、解釈通知等で示された要件を網羅した文章表現が求められています。

Q15今から取り組んでおくべき内容 次の改正では必須項目となってくると思われる項目を伺いたいです。
A15.次の改正は、前回積み残し・見送りされた利用者負担増・給付抑制が実行される厳しい改正になります。居宅介護支援費の利用者負担導入の実現可能性も高まっています。今回の講演で詳しく解説します。
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以上である。当日のオンライン講演では、改めて質疑応答の時間を取っているので、重ねての疑問や意見があれば、そちらで遠慮なく発言していただきたい。
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