僕が管理する表の掲示板で、「支援記録」についていくつかの質問スレッドが建てられている。その中に、「続柄」をどう書けばよいのかという質問のスレッドがあった。

質問者は、「嫁」という言葉は使ってはならないと指導を受けて、「長男様妻様」と表現してみたが、それでよいのかと質問している。記録の対象者に失礼にならないように考えが煮詰まってしまったのだろうが、「長男様妻様」みたいな表現は、普通に考えてあり得ない。日本語としておかしな言葉でもある。

そもそも続柄にまで敬称をつける必要はなく、「長男の妻」で何も問題はないのだ。

利用者にも様をつけて書く人がいるが、そんな必要もない。それは立場を表す言葉で固有名詞ではないのだから利用者と書いて失礼に当たらないのだ。「○○さんは、当法人の複数のサービス利用者様である」なんておかしな響きであることがわかるだろう。「○○さんは、当法人の複数のサービス利用者である」と書いて何も問題ないわけである。

敬称の使い方について少し解説したい。支援記録等に記入する氏名に、「様」・「氏」などの敬称をつけるのは常識である。敬称をつけずに氏名だけを書いている記録文は、記録した人を蔑視しているか、攻撃対象としているという誤解を与えかねない。

特に介護事業者が記録する支援記録とは、介護保険法令に位置付けられた公文書であり、対人援助という人の暮らしを護る目的の事業における公式記録なのだから、敬称をつけずに氏名を書くことは許されないと考えるべきだ。

ただし敬称を省略する方法は認められており、この場合は文書の片隅に「(敬称略)」と記載すればよい。しかし頁が替わってその部分が記載されていない文章が切り取られて誤解を受けることもあるので、敬称略もできるだけ使わないというのが僕の方針である。

「様」・「氏」など敬称については、どの敬称を使うべきか迷う人がいるので、介護事業者内で統一しておいた方がよいだろう。

連名の場合に「様」をいっしょにしてしまうのはNGであることにも注意が必要だ。この場合も、山田太郎様・昭子様とそれぞれに敬称を付ける必要がある。

文体は、常体(文の終わりが〜である。〜だ。)と敬体(文の終わりが〜です。〜ます。)のどちらを使っても良いが、これも事業者の中で統一しておく方がよい。僕自身は事実を正確に伝えるのに適しているのは常体だと思い、こちらを推奨している。敬体はどうしても自分の感想が前面に表現されてしまうことが多くなるからだ。

年号も西暦か和暦か、日付は○月○日か○/○か、など施設ごとのルールに従い統一させておくことが重要である。なお時刻は○:○○で24時間表記が基本である。

それにしても対人援助の専門家が、記録が苦手というのはいただけない。私たちの専門性の中には、コミュニケーションスキルが重要な要素として含まれてくるのだから、言葉や文章力というものをもっと鍛えてほしいと思う。

例えば『続柄』を『ぞくがら』と読む介護関係者が多いが、正しくは『つづきがら』である。これなども2文字を並べた言葉で、訓読みと音読みが混ざり合った読み方は基本的にあり得ないという基本知識が足りないことによる間違いである。もっと国語力をつけてもらいたいと思う。

年度末に発出された、「居宅サービス計画書標準様式及び記載要領」の改正通知では、計画書の記載の仕方について、小学生に諭すように当たり前のことをくどくど解説されているが、これも介護関係者の文章力が低いという実態が招いた結果だと思う。

しかしこのような解説をしたところで、計画書や記録文がうまく書けるようになるわけではないのだ。このブログ記事で何度も指摘しているように、文章力をアップするためには書く練習の前に、読む習慣作りが必要になるのだ。「良い書き手は、読み手の中からしか生まれない」のである。(参照:記録の書き方安全な記事ですので安心してDLしてください。

例えば、「専門用語をなるべく使わず、記録者以外の人が読んでも正確に情報が伝わるよう、正確に細かく、かつ分かりやすく記載することが重要です。」と指導しても、それがわかっていても方法がわからない人が多い。そしてそれは自分が読み手としてわかりやすくて、かつ正確に内容を理解できる文章とは何かという認識に欠けるからである。

読み手として熟練すれば、そうしたことは自ずと認識できるようになるのである。

介護現場には、何を書いているのかわからないケアプランも多数存在するが、その多くがプラン作成者が、自分が書いたプラン内容を読み込んでいないことに起因する問題である。書くのに手いっぱいで、読む労力がわいてこないのは、読み手としての能力に欠けているからだ。しかしそのままでは駄目だ。読む癖をつけて、読むことが苦痛にならない訓練を自らに課してほしい。

手前味噌であるが、この秋には僕の新刊が出る予定で、その原稿も既に仕上げているので、その本を読む練習に使っていただければ幸いである。
新刊原稿ファイル
今日の記事の最後が、自分に都合の良い宣伝文で終わって恐縮である。

その分、秋には皆様のお手元に、期待を裏切らない内容の本をお届けするように頑張っているので、どうぞよろしくお願いします。
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