今週初めから始まった大阪〜東京の4泊5日の旅を終え、昨晩北海道の自宅に帰ってきた。
北海道を経った日の新千歳〜伊丹便は、これまで経験したことがないほど空席ばかりが目立つ機内状況で、乗客とCAが同じ数かと見紛うほどであった。
しかし大阪も東京も市中の混雑ぶりは相変わらずで、テイクアウト食品の売り場には長蛇の列ができているなど、「密」は至る所でみられた。
そのような状況ではあるが介護施設でのワクチン接種が始まり、僕が講演を行った事業者でも、講演前日に利用者全員の1回目の接種が終わっていた。心配された副作用もなく利用者の方に体調不良者も出ていないということで安心した。
ワクチンが社会全体に行き渡ることで、コロナ禍が終息に向かうことを期待したい。
しかし個々に感染状況を見れば深刻な状況は続いており、ある特養では3回目のクラスター感染が発生していた。最初のクラスター感染後に対策はさらに強化されているはずであり、面会制限を続けるなど外部からのウイルス侵入にも警戒しているにもかかわらず、なぜ繰り返しクラスター感染が発生するのか、関係者は頭を抱えている状態だろう。
一方で、利用者と家族の面会を拒むことは出来ないと考え、職員と同じように感染対策を行うことを条件にして、面会を許可している介護施設では、まだ一度も感染者が出ていないという例もある。
しかもクラスター感染が3度発生した施設と、面会を許可しているのに感染者が出ていない施設は、ほぼ同じ地域と言ってよい場所にある。
だからと言ってクラスター感染を繰り返している施設を批判するつもりは毛頭ない。
目に見えないウイルスを完全に防ぐことは出来ないのだから、何らかの理由でクラスター感染が繰り返されること自体はやむを得ないことである。むしろ感染予防の努力が報われない状態は気の毒であると言ってよく、決してその施設関係者に非があるわけでもないと思う。
僕がここで言いたいことは、生活施設での面会完全禁止なんて、感染予防策としては無意味であるということだ。職員が外から通ってきている以上、ウイルス侵入を完全に防ぐことは出来ないのだから、家族だけ面会禁止にしても、それは施設側の安心感にしかつながらない。
そもそも面会制限は、本当に利用者を護っていると胸を張って言える人はどれほどいるだろうか?むしろ施設経営者や管理職が、クラスター感染が発生した際にその責任を問われないように、法人や自分を護るために面会制限を漫然と続けてはいないだろうか。
その制限も1月や2月ならともかく、1年以上続けられているとすれば異常だ。この異常さを異常だと思えない今がおかしいのだ。
そもそも介護施設の経営者や管理職と言えど、これだけ長期間にわたって施設利用者が家族との面会を制限する権利は本当にあるのだろうか。
一方では利用者が家族と逢う権利と暮らしを護るために、職員と同様の感染予防対策をすることを条件に面会を続ける努力をしている施設があるのだ。そのような施設の経営者や管理職は、感染症が発生した場合には、面会を禁止していないことが批判されることを承知のうえだろう。
どちらが利用者を護っているのだろうか・・・。
このコロナ禍は間違いなく終息する。しかし新新型コロナあるいは新型コロナ第2弾などという新たな感染症は、数年おきに発生していくことが繰り返されるだろう。
そのたびに年単位の面会完全禁止が、介護施設で繰り返されるのが当たり前になっていくのだろうか。
利用者本位とか、利用者目線という言葉が、感染対策下では形骸化してしまっている・・・というかほとんどそのような視点は失われてしまっている。それはやむを得ないことなのだろうか。
歴史は、介護業界の現在の対応をどう評価するのだろうか。
介護施設では過去に、オムツいじりをする人に対してつなぎ服を着せ、その着脱のチャックにさえ手が届かぬように背中側につけ、さらに鍵を使わなければチャックが開けられなくすることを進化だと思っていた時代があった。
認知症の人を車いすに座らせたまま車いすテーブルを固定して、立ち上がりが出来ないようにして放置することや、立ち上がれないように角度をつけた車いすに座らせておくことが見守りだと言われていた時代があるのだ。
そうした話題に及ぶと介護関係者の誰しもが、「そんなひどい状態が介護だと思われていたんだよね」と回想したり、批評したりするのではないだろうか。
今行われている面会制限が、それらに行為と同じような批評される時がいつか来るのではないだろうか。その時私たちは、今自分が行っている行為を胸を張って正しいと言い切ることができるだろうか。
北海道の散りゆく桜を眺めながら、来年の桜の季節はどんな風に咲いて、世間がどのような状態となり、今この時がどう評価されているのだろうかと考えたりしている。
このブログ読者の皆様にも、「さくらびとmasa」の最新版を見ながら、そんな想像をしていただきたいと切に願う・・・。
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