僕は福祉系の大学に入って、福祉を4年間学んでいた。

だからと言って社会福祉の仕事が、自分に向いている仕事であると思っていたわけではなく、ましてや介護という分野の職業に就くなんて言うことは全く考えていなかった。

福祉系大学への入学動機も、僕の学力で入学できる文系の大学で自分が実家から通える場所に、たまたま福祉系大学があったに過ぎない。学生時代も福祉の勉強に熱心になっていたわけでもなく、単位を落とさないように勉強はしたが、専ら遊びで青春を謳歌していた。ちなみに老人福祉論は、可でギリギリ単位をとれた。

そのようなとき、たまたま僕が卒業する年に創設された社会福祉法人が特養を新設して、そこから大学に、「生活指導員」という職種の募集があり、そこを受験してみたらたまたま合格したので、就職してみるかと軽い気持ちで社会人のスタートを切ったというのが本当のところだ。

当時若かった僕は、自分にはいろいろな未来の選択肢があるのだから、一つの職業だけの履歴で一生を終えるつもりはなかったし、社会勉強という意味で社福の一員になって、特養という介護施設で働くことは、何らかの糧になるだろうと思っていたに過ぎない。

しかしいざ働いてみると、特養の相談援助業務は思った以上に面白かった。人生の大先輩であるお年寄りの方々が、みんな僕に頼って、色々なことを任せてくれた。人様の年金や預金と言った財産管理まで任せ来てくれる人たちの期待に応えなければと思った。

新設施設であったので、当時としては設備も最新で、綺麗な環境で働く喜びも感じたし、登別市内で唯一初めて設立した社会福祉法人で、市内初の特養といいこともあり、市民からの注目度も高く、新採用職員ばかりで知識や援助技術は拙かったが、何とか利用者や市民の期待に声えて、良い施設にしようとみんな一生懸命に業務に携わっていた。そのことが何より働き甲斐に通じた。

当時の老人病院にはできないことをしようとして、おむつの随時交換など、サービスの向上に努める日々が楽しかったから続けられたのだと思う。

相談援助業務専門職は、僕一人しかいなかったが、図々しく近隣市町村の特養の先輩にわからないことを訪ね歩くと、快くいろいろなことを教えてもらった。ネットも存在しない時代であったら、アナログの人間関係は頼もしかった。そういう意味で僕は決して孤独ではなかった。

今介護業界は人材不足に悩まされている。しかし介護事業者から離職する人の3人に一人は、就業1年未満の人なのである。その人たちが介護の魅力を感ずる以前に、なぜそのような短期間に辞めてしまうのかを考えていかねばならない。

未経験者歓迎と謳って職員募集しながら、介護未経験者に適切な知識を与え、段階に応じた介護技術の取得ができるシステムを持たない事業者によって、経験の浅いまま介護現場に放り出された新人が、不安と疑問で煮詰まって、介護の仕事の奥深さも、おもしろさも感じられないまま、仕事に誇りを持つこともできずに辞めていくのである。

介護という職業に就いていながら、人の不幸を創り出すかのような醜い仕事しかできない人がいるのも問題だ。人手不足だからそういう人に注意さえできないという場所に、志の高い人が集まるわけがなく、そこは人罪(じんざい)の掃きだめと化すしかない。汚いところに誰が居続けようとするだろうか・・・。

その状態を改善しない限り、人手不足〜募集〜採用〜離職という永遠ループから抜け出せない。

そして介護現場はもっと、介護という職業の魅力を伝えなければならない。「キラキラポエム」の魅力ではなく、どろどろした人間関係を含めた人の暮らしに深く介入して、誰かの救いの手となることの魅力や、人の死と向かい合って生まれる様々なエピソード・・・そうした喜怒哀楽の傍らでできることがある介護の魅力を発信していかなければならない。

今日も僕の住む地域には、満開の桜が咲いている。誰かの心の花内鳴るように、人の暮らしに優しく寄り添う介護サービスを創り挙げていく先に、介護人材は黙っていても生まれてくるのだということを信じて、日々新しいつながりを大切にしている。・・・誰かのあかい花になるために・・・。
5/14室蘭市高砂町の八重桜並木
画像は本日午前10時30分頃の5/14室蘭市高砂町の八重桜並木です。
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