介護施設や居宅介護支援のケアマネジメントにおいて、PDCAサイクルの構築が課題とされて久しい。
施設ケアマネジメントについては、特養の看取り介護加算の算定要件などにPDCAサイクルの構築要件が2015年(平成27年)度の報酬改定で求められるなど、努力目標ではなく加算要件というステージでその構築が求められてきた。
今年度の報酬改定で各サービスに横断的に創設された、「LIFE要件のある加算」によって、このサイクルの構築がさらに推進されることになり、それはすべてのサービスで求められる方向性でもある。
LIFEへの情報提出が求められる加算等では、LIFEからのフィードバックをPDCA活用しなければならないことになるが、その具体的方法については、例えば科学的介護推進体制加算の(施設サービス)の場合、次のように示されている。
イ .入所者の心身の状況等に係る基本的な情報に基づき、適切なサービスを提供するための施設サービス計画を作成す(Plan)
ロ. サービスの提供に当たっては、施設サービス計画に基づいて、入所者の自立支援や重度化防止に資する介護を実施する(Do)
ハ .LIFEへの提出情報及びフィードバック情報等も活用し、多職種が共同して、施設の特性やサービス提供の在り方について検証を行う(Check)
ニ .検証結果に基づき、入所者の施設サービス計画を適切に見直し、施設全体として、サービスの質の更なる向上に努める(Action)
このように計画作成から始まって、フィードバック情報を計画見直しに反映して、サービスの質の向上とアウトカムにつなげるという無限のループを繰り返していくわけであるが、問題はフィードバックがいつ行われるかということである。
基本的にそれは各事業者の情報提出の頻度にあわせたフィードバックになると思えるが、最初のフィードバック時期について、2月19日付事務連絡、「科学的介護情報システム(LIFE)」の活用等についてでは次のように通知されていた。
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データ提出は、サービス提供月の翌月の 10 日(4月サービス分は、5月 10 日)までに行っていただく予定であり、そのデータの解析結果等のフィードバックについては、サービス提供月の翌月中に、LIFE の web サイトを通じて実施予定です(PDF 形式でダウンロードしていただく予定です)。詳細は追ってお示ししますが、介護事業所等においては、解析結果等のフィードバックの活用による、PDCA サイクルとケアの質の向上を図る取組を行っていただく必要があります。
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「サービス提供月の翌月中」にフィードバックされるということは、今月中に最初のフィードバックが行われる予定であったということだろうが、ご存知のようにLIFEのシステムエラーなどに加え、厚労省内のクラスター感染の影響で、事務作業が滞った影響もあって、LIFE要件の情報提出などの時期を遅らせる必要が生じた。
そのため4/23発出通知では、「データ提出が行われた事業所の平均等の情報の提供を 7 月頃までに行う予定であり(今後改めてお示しします。)、当該情報と事業所で評価を行ったデータを活用し PDCA に沿った取組を行っていただくこと等により、当該加算のデータ提出やフィードバック情報の活用等の満たすことが必要ですので、ご留意ください。」と通知され、一応7月に最初のフィードバックを行う予定ではあるが、それは確定的な時期とは言えないという考え方が示されている。
このフィードバックが遅れるからと言って、介護事業者や利用者に不利益が生ずるわけではない。何しろLIFEというシステム自体が、本当に科学的介護につながるのかどうかなど、現時点で判断できないのである。入力情報が正しく反映できないシステムで、本当に介護事業者や利用者の状況の正しい解析ができるかどうかも疑わしい。
そもそも最初にフィードバックされるのは、5/10に情報提出した事業者の解析情報であるが、多くの事業者が8/10までの猶予期間を利用して、情報提出を遅らせているので、最初のフィードバックは限られた事業者のデータ解析でしかない。それにどれだけ信頼性を寄せることができるのだろう。
そんな状態で解析するフィードバック情報を待ち遠しく思う人はいないわけで、むしろフィードバックがされた場合には、それをサービス計画書等に活用しなければならないわけである。そうなると担当者の仕事は増えるので、フィードバックが遅れてほっとしている人もいると思う。(※フィードバックをどの書式に活用するかなどの一覧表は、加算別 LIFE 情報提出等のまとめで確認してください。)
問題は、実際にフィードバックがされた場合、それをいつまでに計画書等に反映して活用しなければならないのかということであるが、そのことについては明日続けて論じようと思う。
今朝の僕の家の前に咲く八重桜の画像を見ていただいて、今日はお別れしたいと思う。(明日に続く)
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