GWも終わり、その喧噪も収まったこの時期、4月から入職した職員も基礎的な仕事を覚え、ワンランク上の業務にチャレンジしている人が多いだろう。
まだ覚えることはたくさんあるが、少しだけ心に余裕も持って全体を見渡せるようなった人も居るかもしれない。そういう人は日々業務を覚えるだけで精いっぱいであった状態の時より、職場の粗(あら)や問題点も見えるようになって、決してそこが理想の場所ではないという不満を抱えていたりする。
そうした不満や疑問を胸に抱えながら、誰にもその心情を発露できないままでいると、後々大きな問題につながりかねないので要注意である。
さらにこの時期には、新人職員をすでにシフト勤務に組み込む事業者が多くなってくる。(※本来ならこの時期に新人をシフト勤務に組み込むのはまだ早すぎると思う。そもそも論で言えば、この時期に新人をシフト勤務に入れているのが職員が定着しない最大の理由である)
そうすると日中働くという体のリズムに強制的な変更を加えなければならなくなり、早出や遅出、夜勤という不規則な勤務に慣れるような身体リズムづくりが必要になってくる。
もともと5月病と言われる新入社員にみられる精神的症状を防ぐには、生活リズムを整え自律神経の乱れを防ぐことが大事だと言われている。しかし介護事業者に勤める人は、生活リズムを自ら乱して、不規則な勤務に慣れるという作業が必要になる点で、自律神経の失調につながりやすいともいえるわけであり、この点が大きな問題なのである。
この点に注意して、新人に寄り添ってくれる先輩が必要だが、その部分を個人のパーソナリティに任せて、職場という組織の中で、そうした寄り添いをシステムとして組み込んでいない介護事業者が多いのが一番の問題である。
介護事業からの離職者の3人に一人が、就業1年未満で仕事を辞めている最大の理由もここにある。
人材育成を念頭に置き、職員の定着率を高めようとする職場であるなら、新人職員の苦悩に気づいて対応すべき担当者を定めておくのは当然であるし、新人は悩みを抱えるものだという前提で対応する方法を組織内に作っておく必要がある。
職場全体で新人職員の変化に気づき、対応するシステムが求められるのである。
新人職員が口数が少なくなる・表情が乏しくなる・仕事上の失敗が増える・遅刻や忘れ物が目立つようになったら即座に対応せねばならない。
そのために日ごろから、「最近疲れてない?」「体調はどう?」といった言葉をかけているという介護事業者があるが、言葉をかけつだけでは不十分だ。そうした言葉かけに対しては、「何でもありません」と答えて終わってしまうケースが多いからだ。
何となく元気がない後輩に対しては、何か問題があることを前提にして対応すべきである。「何ともありません」という答えを信じてはならないし、そもそも新人職員は悩みなしで成長しないことを前提に、悩みや愚痴を吐き打せる時間と空間を積極的に創る必要があるのだ。
だからこそ何もなくても先輩職員と話し合う時間と空間が必要になる。就業1月間は、毎週新人職員と教育担当リーダーが話し合う時間を取らなければならないし、その頻度は就業2月〜半年、就業7月〜1年というふうに減らしていっても良いが、少なくとも就業1年未満の職員は、最低月1度はそうした機会を職場のシステムとしてとっておく必要がある。

何も面と向かって顔を合わせなくとも、アイホンやタブレット・PCを使ったオンラインによる相談援助場面をつくっても良いわけである。
そこでは公私全般にわたる悩みを傾聴し、ともに考えるという姿勢が求められるだけで、真摯に人と向き合う姿勢があれば、特別なカウンセリングスキルなどが求められるわけではないのだ。
自らの職場で、貴重な人材を育み定着させるためには、そうした取り組みやシステムづくりが不可欠であることを理解しなければならない。
そういう意味では、職員教育のシステムがまったくなく、行き当たりばったりの作業指導しか行わず、新人職員に対するメンタルケアも行われていない職場にはいつまでもしがみついておく必要ないともいえる。自分の心と体を壊しかねないし、そんな場所で仕事の誇りを持てるわけがないからだ。(参照:桜咲く場所で思うこと〜咲けない花は場所を変えよう)
自分が働く場所をそんなふうにしてよいわけがない。新人職員を育み、定着させられる職場づくりが、介護の仕事に誇りを持つことができるための第一歩であることを忘れないでほしい。そしてそうした職場づくりが介護サービスの品質を高め、利用者にとっても求められる事業者になることを信じてそこを目指してほしい。
就業から1月を経て、さらに頑張ってもらいたい新人職員の皆様には、「かっこうの森プレゼンツ〜介護を職業として選んだ君へ」をご覧いただきたい。
僕の話を聞いて、介護の仕事の使命と誇りを感じられる方が、一人でも多くなれば幸いです。
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