居宅介護支援事業所の介護支援専門員の処遇改善のために取り入れられた逓減性の緩和策により、居宅介護支援費の算定額がアップし、収入増に結びつけられる可能性が高まっている。

逓減性が緩和される居宅介護支援費()の算定要件は、「情報通信機器(人工知能関連技術を活用したものを含む。)の活用又は事務職員の配置を行っている指定居宅介護支援事業者」とされている。

解釈通知および令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)の問115〜117では、この2つの条件がより具体的に例示されており、その内容は以下の通りである。
情報通信機器(人工知能関連技術を含む)の活用
・当該事業所内外や利用者の情報を共有できるチャット機能のアプリケーションを備えたスマートフォン
・訪問記録を随時記載できる機能(音声入力も可)のソフトウエアを組み込んだタブレット
・利用者に係る情報共有を即時、かつ、同時に可能とする機能や関係者との日程調整の機能を有しているもの。
・ケアプラン等の情報をいつでも記録、閲覧できる機能を有しているもの。

これらの機器を使用する場合は、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守することという条件が付けられていることにも留意してほしいが、普段仕事でスマホやタブレット・PC等を使いこなしている人であれば、それだけで条件はクリアし、新たな機器を購入したりする経費はかからないものと思える。

次に事務職員の配置に関する規定を見てみよう。

事務職員の配置
・事務職員については、当該事業所の介護支援専門員が行う指定居宅介護支援等基準第 13 条に掲げる一連の業務等の負担軽減や効率化に資する職員とするが、その勤務形態は常勤の者でなくても差し支えない。なお、当該事業所内の配置に限らず、同一法人内の配置でも認められるが、常勤換算で介護支援専門員1人あたり、1月 24 時間以上の勤務を必要とする。

情報通信機器(人工知能関連技術を含む)の活用や事務職員の配置にあたっての当該事業所の介護支援専門員が行う基準第 13 条に掲げる一連の業務等について具体例
要介護認定調査関連書類関連業務
・書類の受領、打ち込み、複写、ファイリングなど
ケアプラン作成関連業務
・ 関連書類の打ち込み、複写、ファイリングなど
給付管理関連業務
・ 関連書類の打ち込み、複写、ファイリングなど
利用者や家族との連絡調整に関する業務
事業所との連絡調整、書類発送等業務
保険者との連絡調整、手続きに関する業務
給与計算に関する業務等

同一法人内の事務員配置で認められる場合についての具体例
※ 当該事業所の介護支援専門員が行う基準第 13 条に掲げる一連の業務等の負担軽減や効率化に資することが前提
・ 法人内に総務部門の部署があり、事務職員を配置
・ 併設の訪問介護事業所に事務職員を配置等

以上である。逓減性を緩和するために、新たに居宅介護支援事業所に事務職員を配置するのであれば、増加する収入以上に人件費支出が増えてしまうため、そのようなことは出来ないことは誰でも理解できることだ。

そのため今回の一連の通知では、非常勤職員も雇用しなくて済む要件が示されていると考えてよい。法人内の別事業所の事務員(例えば併設特養の事務員など)や法人本部の事務の担当者が居宅介護支援事業所の事務を行っていて、その時間が1月あたり介護支援専門員1人に対して24時間以上であればよいわけである。

しかしこの事務は、居宅介護支援事業所で行うことまで求められていないので、法人本部などの専用デスクで行うことができる業務と考えてよく、今までと業務形態や方法を変えることなくこの要件に合致する法人も多いはずだ。

介護支援専門員の給与計算や各種手続きなどの人事管理は、多くの場合法人本部や併設施設の事務部門で行っていると思われ、その事務処理時間が月ごとに介護支援専門員の人数×24時間あるという理論武装さえできれば、事務員配置要件はクリアされるのである。

よってほとんどの居宅介護支援事業所で、上記の2条件のどちらかをクリアし、逓減性が緩和される居宅介護支援費()が算定できると思われる。その場合、計画担当件数が5件増えるという業務負担増加は生ずるが、逓減性の緩和を適用するだけで一人の介護支援専門員につき、月額53.800円〜69.900円の収益増となる。

これに基本部分の増収分7.410円〜9.750円を含めると、月額で61.210円〜79.650円の増収が期待できるわけである。ランニングコストが変わっていないならば、この増収分は介護支援専門員の人件費にすべて回すことも可能なわけである。

よって居宅介護支援事業所の経営者や管理者の皆さんにお願いしたいことは、逓減性の緩和を適用して頑張ってくれる介護支援専門員には、できるだけそれによる増収分を給与反映してほしいということだ。

例えば賞与に反映しない特別手当を創って、月額5万円を上乗せ支給しても、収益増はそれ以上の額なのだから、事業収益も増えるのである。

このように居宅介護支援事業所の介護支援専門員の月額給与を、5万円以上改善することは非現実的ではないことを理解してほしい。
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