介護という職業は、利用者のプライベート空間に立ち入って、利用者の心身に直接的に介入して行う仕事である。

そのために、介護従事者の仕事の仕方そのものが利用者の身体状況に影響が及ぶだけではなく、私たちの仕事ぶりが利用者の揺れ動く感情に直接影響を及ぼさざるを得ない。そうであるからこそ、常に一定以上の仕事の質を担保して、失敗のないサービス提供に心がける必要がある。

逆に言えば、介護従事者の体調や精神状態によって、サービスの質の差が激しくなるような状態は、利用者に望まれるサービスではなく、それは対人援助としてあってはならない仕事ぶりと言えるのである。

サービスを受ける側の利用者にとって、介護支援を受けるということは、生きるために必要なことであり、暮らしが成り立つために必要とする行為でもある。だからこそサービス提供者によって、支援の質に差ができる状態を決して望んではいない。生き方、暮らしの質にそれは直接影響してくる問題だからだ。

よって介護サービス利用者が、「必要なサービスは、それを提供する人間が新人であろうと、ベテランであろうと関係なく、最低限のサービスレベルであってほしい。」と思うのは決して高望みではなく、当たり前のことだ。

その人たちが利用する介護支援とは、インフォーマルサービスではなく、ボランティア行為でもないからだ。国費や保険料と言った公費が使われているサービスに対し、利用者がそのことを理由にして、一定以上の質を望むのは当たり前のことである。

つまり私たちは、利用者やその家族にとっては、介護のプロという立場の専門職であり、それにふさわしい仕事ぶりが求められて当然であると考える必要がある。

失敗をしない人間はいないが、対人援助における失敗とは、時に利用者の心身に深い傷を負わせる結果になりかねないし、「人間だから失敗もあるよね」と笑っていられない深刻な問題が生じては介護という職業がなんのために存在するのかわからなくなってしまう。新人職員だからうまくいかないのも仕方ないねと簡単に許せる問題ではないわけである。

とはいっても、経験のない新人がいきなり介護サービス実務の場で、経験豊富な職員と同じパフォーマンスができるわけがない。利用者のしぐさを同じように観察しても、経験のない職員には気が付かないことも多いのは、相手がそれぞれ個性が違う人間であるい以上仕方がないことだ。

だからこそ新人職員は、利用者に学ぶという謙虚な気持ちを忘れずに、経験豊富な職員の技を学び、それを自分のものとする努力が欠かせないのだ。言葉や動作で教えてくれる以上のものを、日々吸収しようという意欲のない人が、高い介護技術を獲得できるわけがないのである。

人の暮らしを少しでも豊かにしようとする人には、人に対する優しさが欠かせない。それは時に人間愛とも表現されるが、介護にいくらエビデンスを求めたところで、愛情という感情を持たないエビデンスは、所詮、人間を幸福にするものではないと思っている。

今、全国の介護事業者では、介護実践を通じて勉強する日々を送っているたくさんの新人職員がいるだろう。その人たちは、日々小さな失敗を繰り返しながら、「自分に介護の仕事が続けられるのか」と悩んでいるかもしれない。

本来失敗を繰り返すことは許されないが、失敗の中から成長するのも人間である。日々の業務で失敗したときは、「ごめんなさい」という言葉を口にして、心から利用者の方々に謝ってほしい。その言葉は、時に利用者に対して愛情ある、優しさがこもった言葉になるのだ。

そういう優しい言葉を掛けるあなたに対して利用者はきっと、「大丈夫だから気にしないで」と言ってくれるだろう。そして失敗を反省しながら、日々学ぼうとしているあなたに対しては、「今日もありがとう」と言ってくれるだろう。失敗した行為に対しても、「ありがとう」という温かい言葉で励ましてくれるだろう。

そのことに感謝して、どうぞよい介護従事者に成長していってください。
温かい言葉
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