介護事業にとって、「人材」は命である。

システムがどのように進歩しても、AIを搭載したロボットの開発がもっと進んだとしても、人の手を加えないとできないことがたくさんあるのが介護という職業である。

繊細な動作と、力を掛けなければならない動作を自然につなぐことができる人間だからこそできることがある。ここにロボットは手が届くのか・・・。感情のある人間だからこそ、感情ある人に向かい合うことができる。ここにAIは近づくことができるのだろうか・・・。

「人は石垣・人は城」という言葉は、現在社会では介護に最もマッチする言葉ではないかとさえ思う。だから人材を集め、育てることは最も重要になるのだ。

だからこそ新年度のスタートを切っているこの時期に、きちんとした新人教育をしなければならない。お客様に接する態度、おもてなしの精神の重要性、そうした介護技術の基盤となる事柄をきちんと教えたうえで、介護の場で技術をつなげる指導が求められているのだ。

今日の時点では、新年度に入職した職員に座学でそうした基礎教育をしているのが本来である。この時期にOJTなんて早すぎる。ましてやシフトに組み込んで仕事をさせているとすれば、それはすこぶる不適切な指導法と言わざるを得ない。

「そうはいっても人材不足だから、正論だけ通してもしょうがない。」という声が聴こえてきたりする。

しかし正論が堂々とまかり通る職場づくりをしていかないと、正論を脇に置いて何でもありの職場になってしまう。それは職場環境が荒れる最も大きな原因になり、結果的にそのようなところからは、良い人材から先に逃げ出してしまうので、人材不足の解消がままならない一番の原因にもつながっていく。

妥協を許さず規律を護る意識がないと、職場はずっと腐り続け、腐臭にまみれることを何とも思わないいなくてよい人員しかいられない場所になるのだ。

今朝僕は自分のフェイスブックに、次のような文章を綴った。
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利用者に対するマナーを教育することを、「押し付け」と考える人が居たりする。職場のルールを押し付けと感じて護る必要がないと考えるなら、それは従業員として失格という意味だ。そもそもどんな職場にもルールは存在し、それを徹底遵守する労務管理はあって当然だ。それを理解できない人は社会人として未熟すぎるとしか言いようがない。

経営者や管理職は、従業員の心無い対応で利用者が哀しんでいたり、不平不満を持っているのがわかっていても、そうした不適切な対応をとる従業員に注意して辞められては困ると考え、数合わせだけのために職場の環境を良くする努力を怠っていたりする。それは介護事業経営を放棄しているという意味だ。

そんな事業者は経営ができなくなる方が世のため人のためである。
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経営者や管理職には覚悟が必要だ。良い人材を育てる基盤は、悪い人材は排除するという覚悟なのである。

試用期間をきちんと職務規程に組み入れ、その期間に人物の見極めを行い、適性のない職員には別の道を選んでいただくということを厳格に行っていかねばならない。人員不足でそんなことはできないと言うが、そんなことをしないから人員不足がいつまでも解消しないことを理解しなければならない。

人員不足が原因で職員の不適切対応が問題になったある特養では、経営者が覚悟を決め、管理職などを刷新して職員の教育管理を徹底したところ、ある時期退職する職員が相次ぎ、業務が回らない事態に陥りかけた。そのため行政との協議によって一時的に一部のベッドを休止し、利用者を減らして対応し、その中で根気よく職員を教育して良い人材を護り育てていった。その結果、そこに良い人材が集まるようになって、今では人員不足どころか人材不足も解消し、職員募集に待機者がいるという状態になっている。

サービスの品質の高い職場、人間関係の良い職場に就職したいと思っている人材は、まだまだたくさんいるのである。そういう人たちがこぞって張り付く職場・・・そういう職場づくりを目指していかねばならない。

職員教育どころか、不適切な態度を叱ることもできず、マナーのない顧客対応に注意もできない職場では、正しい介護知識や技術を身に着けている職員より、不平・不満の声を高らかに挙げる職員の方が幅を利かせたりする。

そこは民度が極めて低い職場となり、人間関係上のトラブルが絶えない職場になる。

ある職場では、虐待事例を上司に報告した職員が、密告者としてやり玉にあがり、肩身の狭い思いをしているそうだ。

職場環境を良くしようとし、利用者に対する虐待を放置せず報告した職員が働きづらくなる職場が、健全なる労働環境と言えるだろうか。そこは違法が大手を振ってまかり通る無法地帯でしかない。そのような民度の低い職場に、今後も良い人材が集まるわけがないのである。

虐待を見て見ぬふりして放置する職員が正しく、虐待を報告する職員が悪だとされる介護事業者であるとすれば、その介護事業者では常に利用者の誰かが傷つけられ、それは深い闇の中に隠されていることになる。

そんな職場で自分の仕事に誇りを持つことができるだろうか。誇りを持てない仕事を、この先何年も続けられるだろうか・・・。

そんなふうにして人を傷つける、人の心を奪う介護であってはならないのだ。そういう職場にしないために、何が必要とされているのかということを、私たちは常に考えていく必要があるのではないだろうか。

なぜならそれはいつか私たち自身や、私たちの愛する誰かにはね返ってくる問題なのだから・・・。
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