介護事業関係者は今の時期、新年度対応に加えて次々と発出される介護報酬改定・基準改正関連の通知の読み作業が求められて大変だろうと思う。

毎日のように新たな通知文が発出されているので、よほど気を付けていないと見逃してしまう通知文があったりする。しかし介護事業に関連した通知を見逃してしまうことは、報酬算定に影響したり、基準違反につながったりするので注意が必要だ。

居宅介護支援事業の関係者にとっては、介護保険最新情報Vol.958「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」の一部改正については、うっかり見逃せない通知である。
※リンクを張った資料は、改正点が赤文字で示されている資料なので、わかりやすいと思う

なぜなら居宅サービス計画書の標準様式・第1表等が変更されているからである。これをうっかり見逃して旧様式で居宅サービス計画を立案している場合、必要な記載事項が記されていないとして、「運営基準違反」に問われかねなくなる。

ただしこの通知は3/31付で発出されているので、4月のプラン作成時に新様式に切り替えことなんてできるわけがない。よって最速でも5月のプラン作成からこの新様式に切り替えればよいとされるのだろうと思われる。なお今回は、「施設サービス計画書」の様式変更はされていないようだ。

それにしても介護保険サービスの根幹をなすと言ってよい居宅サービス計画書の標準様式が、ほとんど何も前触れなくいきなり変更されるとは、厚労省もずいぶん不親切だと思う。居宅介護支援実務に携わる介護支援専門員の仕事をあまりに軽視しすぎているのではないかと思ってしまうのは僕だけだろうか・・・。
居宅サービス計画書
上記画像の通り第1表の、「利用者及び家族の生活に対する意向」の部分に、「を踏まえた課題分析の結果」という文言が加えられた。(※3・4.・5・7表も記載事項が加えられているし、記載要領も追加文章がかなり多くなっているので確認してほしい)

第1表の追加部分について記載要領は、「利用者及びその家族が、どのような内容の介護サービスをどの程度の頻度で利用しながら、どのような生活をしたいと考えているのかについて意向を踏まえた課題分析の結果を記載する。その際、課題分析の結果として、「自立支援」に資するために解決しなければならない課題が把握できているか確認する。そのために、利用者の主訴や相談内容等を踏まえた利用者が持っている力や生活環境等の評価を含め利用者が抱える問題点を明らかにしていくこと。〜以下省略」としている。

つまりこの部分は利用者や家族の、「生活に対する意向」を記すだけではなく、その意向を踏まえたうえで、自立支援に結び付く課題分析を行って、その内容(結果)を記すように介護支援専門員に求めているわけだ。

こうした国の考え方が示されると、受け取る側の介護支援専門員の中には勘違いする人も出てくるのではないかという懸念が生ずる。自立支援という言葉の呪縛を受けて、利用者や家族が言葉で表現する意向は、場合によっては単なる希望でしかなく、ニーズは別なところにあるので、そのニーズをしっかり課題分析しようと考え、利用者や家族が言葉で表現できる意向や希望を軽視する介護支援専門員が出てくることが一番まずいことだ。

利用者が口にする希望を、「それはニーズではなく単なるデマンドだ」と簡単に切り捨てるケアマネでいてははならないのだ。アセスメントツールは、すべての利用者ニーズを抽出できるほど完全なものではないし、人の価値観は様々で、その価値観に沿うこともニーズの一つと言えるのである。

様々な環境の違いに置かれ、感情という揺れ動くデリケートな神経を持つ人間に相対する場では、間違って希望を切り捨てるより、間違ってニーズではない希望に沿う方がよほどましなことだと思ってほしい。

利用者に希望をもってもらうためにあるはずのケアマネジメントやケアプランが、結果的に利用者の希望を奪い、絶望を与えるものになってしまうのであれば、ケアマネジャーは不幸を与える存在そのものであり、その存在意義自体が問われることになる。

そうならないように、ケアマネジメントは思いを希望につなげるものであり、ケアプランはその宣言文であることを肝に銘じてほしい。勇気は愛のようなもので、育むには希望が必要なことを忘れないでほしい。

ところで今日からちょうど1週間後の4月13日(火)の日に、道内のケアマネ会で講演を行う予定は入っており、当日は18:30〜20:00、恵庭市市民活動センターえにあすで開催される、「恵庭市ケアマネ連絡協議会研修」において、「2021年介護報酬改定について」をテーマで講演を行う。そこではケアマネジメントのあり方について解説する時間はないが、様式変更には触れておく必要があるだろうと思っている。

恵庭市は登別市から約100km離れた道央圏の市であり、自家用車で一般道を使って移動すると、片道2時間と少しかかる場所にあるが、僕にとっては今まで何度も講演を行っている馴染みの場所でもある。

そこでケアマネジメント業務に携わる皆さんにエールを送る動画も作成したが、当日は時間がなくてその動画も紹介できないと思う。恵庭市のケアマネジャーの皆さんは是非、下記動画を御覧になっていただきたい。

またこの動画は、すべての介護関係者の方にも勇気と希望を与えることができる内容になっていると思うので、道外の方・ケアマネジャー以外の関係者の方にも見ていただきたい。恵庭市の雄大な風景とともにお楽しみいただきたい。

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