施設の介護支援専門員の主要業務として、施設サービス計画の作成・更新作業が挙げられる。

当然この業務の中には利用者に対する個別のアセスメントやモニタリングを行なうことや、多職種合同でのケアカンファレンスを主管することのほか、作成したケアプランの周知連絡など様々な業務負担が伴うわけである。

施設ケアマネにとって施設サービス計画書の作成作業は、重要かつ負担が大きい業務と言え、定期的な更新作業が年に何回行わなければならないのかということは大きな問題でもある。

老健の場合、利用者ごとに3月に一度在宅復帰検討をしなければならないために、それに合わせて施設サービス計画書を更新しているところが多く、定期更新は年4回というのが普通だろう。

しかし特養の場合、施設サービス計画の短期目標期間を6月間、長期目標期間を12月間としたうえで、定期の計画見直しを短期目標の更新時期に合わせて、一人の利用者につき年2回という施設が多いのではないか。現に僕が総合施設長を務めていた特養は、その頻度で施設サービス計画を定期更新していた。

施設サービス計画書の目標期間を固定することは悪いことではなく、むしろ合理的方法と言える。そのことはケアプラン目標期間は一律機械的でなぜ悪いというブログ記事でも指摘・提言しているところでもあり、この方法や頻度に何の問題もなかった。

例えば特養の個別機能訓練加算については、3月ごとに訓練内容等を利用者に説明しなければならないという3月ルールがあるが、この際に個別機能訓練計画の見直し・更新が求められているわけではないので、短期目標を3月とする必要もなかったわけである。

しかし年2回の施設サービス計画の更新という頻度は、新年度からは非合理的になり、老健と同じく特養でも3月ごとの定期更新作成が必要になってくると思う。

なぜなら新設加算や現行加算の新上位区分などでは、計画の見直しが3月に一度必要とされる要件となっており、見直した計画書をLIFEに提出しなければならなくなるからだ。

例えば施設サービスに新設され、算定できれば大幅な収益増が見込まれる、「自立支援促進加算:300単位/月」については、必ず算定すべきであることを、「壁は高いが算定しなければならない自立支援促進加算」という記事を書いて指摘しているが、作成が必要とされる、「医学的評価に基づく自立支援計画」については、「少なくとも3月に1回、入所者ごとに支援計画を見直していること。」が算定要件になっている。

褥瘡マネジメント加算については、「少なくとも3月に1回、評価を行い、その評価結果等を厚生労働省に提出し、褥瘡管理の実施に当たって当該情報等を活用していること」というふうに、LIFEへの情報提出とフィードバック活用の要件が加えられたうえで、「評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者等ごとに褥瘡ケア計画を見直していること。」とされている。

排せつ支援加算についても、褥瘡マネジメント加算と全く同様の要件が加えられた。

栄養マネジメント加算は廃止されるが、その要件は基本サービス費の算定要件とされるため、3月に1回、栄養スクリーニングの実施と栄養ケア計画の見直しが求められることに変わりはない。

このように2021年度以降は各加算毎にそれぞれの目的に沿った支援計画が必要とされ、それを3月ごとに見直していく必要があるのだが、これらを施設サービス計画と別個に作成していては仕事が回らなくなる。よって施設サービス計画にすべての加算に必要な支援計画を項目別に盛り込んで、一括作成する方法が最も合理的となる。

その為、各項目ごとの短期目標期間は、支援計画の見直し時期に合わせて3月とする必要があり、全利用者の施設サービス計画は、それぞれの短期目標の終了期間に合わせて3月ごとに行うことが必然となってくるのである。このように全利用者の施設サービス計画は、年4回更新するのがスタンダードとなるだろう。

そうしておかないと、加算算定の要件漏れで返還請求されるケースが増えかねない。

施設サービス計画の定期見直しを年2回しか行っていない介護施設のケアマネジャーは、今から4月以降の施設ケアプラン更新時期の見直しに備えた準備を進める必要がある。

施設サービス計画の更新回数が増えるということは、そのための担当者会議も増えるという意味であり、他職種の業務負担も増すことにつながるのだから、他職種への周知と理解を求めることも不可欠である。

なお施設におけるサービス担当者会議(ケアカンファレンス)については、照会と同列とされ、居宅サービス計画のように、「やむを得ない事情がある場合に限って」照会できるということになっていない。よって最初から、「会議を行う必要はないケースですから、照会だけで更新します」という方法が認められているのだから、照会のみで施設サービス計画を作成・更新できるルールを大いに利用すべきである。(参照:ケアプランはサービス種別によって作成ルールが異なる

施設ケアマネジャーの業務とは、施設サービス計画を作成することではなく、計画を活用して利用者の暮らしの質を向上させることであることを忘れずに、計画作成作業の合理化に意を用いてほしい。
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