来週の日曜日・3/7に千葉市ハーモニーホールで、「職員が良質なサービスを担保するために必要な育成支援〜介護施設における人材育成のポイント」というテーマで講演を行ないます。

そのため昨日は一日中家に籠って、講演スライドを完成させるべく作業に専念しておりました。おかげさまでスライドは完成し、あとは推敲の手を入れて講演主催者に送るだけとなりました。

その講演は一般社団法人・千葉市認知症介護指導者の会設立1周年記念セミナー、「認知症と動機づけ〜そそる力と必然性の創出」の中で行うもので、講演の後は千葉市認知症介護の会・梅本聡会長と、「生活場面での取り組みと職員の育成」というテーマで対談も行います。

感染予防対策を十分行ったうえで、会場に人を入れての研修会となりますが、主催者によると密をできるだけ防ぐために、一部リモートも使って別室でも受講できるようにするそうです。千葉市でお愛する皆様、当日はどうぞよろしくお願いします。

その講演では人材育成について語りますが、僕の講演は理想論を一切廃した実践論です。介護の場で実際に役に立つ本音の講演です。ですから人材育成についても本音で、現実的なお話をします。

だからこそあえて言いますが、どんなに教育システムが整えられ、有能な教育スタッフを揃えていようとも、そこで教育を受ける人全員に教育の効果があらわれ、スキルアップして求められる人材になるなんてことはあり得ません。育成システムがしっかりしておれば良い人材に育つと勘違いしてはならないのです。

介護人材教育とは、その過程で対人援助に不向きな人を見極めて、振るい落としていく必要もあるのです。特に採用の際にハードルを低くしがちな介護事業では、この見極めとふるい落としが重要になるのです。

このブログの読者の皆さんの中には、昨年と今年の正月、フジテレビで放映され話題となった木村卓也主演のドラマ、「教場」を御覧になった方がいると思います。そのドラマは長岡弘樹の小説が原作ですが、舞台となっているのは警察官の育成の場である警察学校です。原作の中で主人公はこう言っています。「警察学校は、優秀な警察官を育てるための機関ではなく、適性のない人間をふるい落とす場である」と・・・。(ドラマでも木村が演じる教官が同じセリフを語っています。)

その言葉は事実なのです。本物の警察学校でも、毎年一定数の生徒が教育期間中に辞めていくのです。国民の生命・身体及び財産の保護、犯罪の予防、公安の維持にあたる警察官の採用時に、不適切な人材が見極められずに含まれていることを前提に、そのふるい落としを行うために厳しい教育・訓練が行われているわけです。

採用時のハードルが高い警察官でも、人の命に深く関わる責任を考えて、そのようなハードルを設けているのです。

しかし介護事業者は職員募集に応募が少なく、慢性的な人員不足になっているため、募集に応募した人を採用時に人材の見極めを行わずに闇雲に採用するという傾向があります。また採用後の使用期間に人物を見極めて振るい落とすことをしていない事業者が多いです。

むしろ人員配置に支障が来さないように、人材であろうと、単なる人在であろうと、他人に仇をなす人罪であろうと、辞めないように教育もおざなりに済ませ、指導・注意さえ行わないという経営者や管理職が多いのも事実です。対人援助という人の暮らしに深く介入する職業に就く人間が、単なる数合わせの視点で、まともな教育も受けずにいてよいはずがありません。

それではよい人材が育つのは至難の業になります。仕事のために手足を動かすより、職場や他人の不満のために口を動かす時間の方が長い人によって職場の雰囲気は悪化し、仕事ができる人の負担が増します。

志の高い人が、「浮いている」と揶揄され、丁寧な仕事ぶりに対して、手際が悪いと罵声を浴びせられる職場で、どのような教育を行っても人材など育つはずがないのです。

職場の戦力となるだけではなく、将来戦力となる人を数多く育ててくれる、「人財」となり得る志の高い人をバーンアウトさせないために、対人援助に向かない人を見極め振るい落とするのも人材育成では大切な視点となることを理解しなければなりません。

そうしたふるい落としが行われている職場では、人材から人財となる人が数多く生まれるのです。ふるい落としの過程で一時的に人員配置が厳しくなる時期があったとしても、その時期を乗り越えてしまえば人材教育がきちんとできていることや、お客さ様に対して麩季節で品質の高いサービスを行っていることが評判を呼び、スキルの高い人材が集まってきます。

何より仕事もできないのに口だけ達者で、対人援助とは呼べないような乱暴な対応をする職員がいるというストレスがなくなりますので、志が高く適切な介護知識と技術を得たいという動機づけのある人が定着します。中・長期的に見れば、人材のふるい落としを行っている介護事業者の方が、人材確保に困っていないという事実があるのです。

どうか自分がいる職場をそのように導いてください。働く者たち・介護を受ける方々、双方が気持ちの良い介護サービス事業をつくってください。

そして最後に、「人罪」としか呼べない職員がはびこる職場で、そういう職員のストレスにさらされながら働き続けている志のある人々に言いたいことがあります。

介護サービス利用者とその暮らしを護ることはもちろん大事ですが、自分の心と体も大切にしなければなりません。何より自身が抱く、介護という職業に対す誇りと矜持を護る必要があります。ですから人罪のような人物がはびこり、利用者に対する乱暴な対応や、流れ作業的介護に終始する状態を変えようとしない職場、ちっとも変わらない職場には、見切りをつけなければならない時期があるのです。

自分の心と体を護るためにも、利用者を護ろうとしない介護事業者からは離れ、もっと真剣に対人援助に取り組む事業者で自分自身を磨いてください。そうした動機づけの転職は、「天職」に結び付くポジティブなステージアップであると思います。
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