2021年度の報酬改定のテーマの一つは、介護支援専門員の処遇改善だった。

特に居宅介護支援事所に専任するケアマネは、特定加算の配分もされることはないので、「その他の職種」として配分対象にできる施設ケアマネより給与月額が低くなっている実態も見られた。

その為4月からの居宅介護支援費は、要介護1と2が19単位増、要介護3以上が25単位増とされ、この増収分で居宅ケアマネの処遇改善を図ることが期待されている。

具体的に言えば、40人担当で計算すると基本報酬部分で月額7.600円〜10.000円の増収となる。さらにICT等を活用する事業所では逓減性が45件以上から適用することに緩和されたことにより、介護支援専門員の担当件数をその分増やすことにとって、月額53.800円〜69.900円の増収が期待できることになる。

これらを居宅ケアマネの給与改善の原資に回すことができるわけで、その主旨を十分理解して、居宅介護支援事業所の経営者や管理者は、所属する介護支援専門員の給与改善に努めてほしいと思う。

きわめて思考を単純化するのならば、他の職種が務めていない居宅介護支援事業所であれば、ケアマネの給与を月額5万円以上アップすることも可能であるという収入増加なのであるから、是非できるかぎり頑張っている介護支援専門員の皆様に、増収分を還元してほしい。

当然基本報酬以外にも増収の方策は測られている。特定加算の額が引き上げられたり、今までケアマネの人数が足りずに特定加算を算定できなかった事業所の救済策として、他の事業所とのケアマネジャーと連携することで算定できる下位区分を新設するなどの対策もとられた。

また新加算としては、「通院時情報連携加算 50単位/月」(※利用者ひとりにつき、1月に1回の算定を限度とする)というものがある。この加算について少し考えてみたい。

算定要件は、「利用者が医師の診察を受ける際に同席し、医師等に利用者の心身の状況や生活環境等の必要な情報提供を行い、医師等から利用者に関する必要な情報提供を受けた上で、居宅サービス計画に記録した場合」となっている。

この要件だけを見て、ケアマネジャーと医師との連携促進の加算が設けられたのだと単純に考えてはならない。この加算が新設された経緯を考えてほしいのである。

この加算は、ケアマネジャーの通院同行をただ働きにさせないという観点から生まれたことをすべてのケアマネジャーはしっかり覚えておかねばならない。つまり現行においては、利用者が急に通院する必要が生ずるなどしても、それに対し訪問介護サービスが対応することができず、やむを得ずに担当ケアマネジャーが通院支援(通院同行)を行わねばならないケースが多々あって、しかしその場合もケアマネジャーに対する報酬は一切発生せず、実質ボランティア精神で対応しなければならないことを問題視して、その対策が議論されたことがきっかっけで新設されたのがこの加算である。

しかし居宅介護支援費は、実際の介護などの事実行為に報酬を支払うことにはなっていないために、居宅介護支援費の加算として何らかの整合性を取る必要があった。そのためケアマネジャーが通院に同行して、利用者が診断を受ける際に医師と情報交換しながら連携を図るという要件をつけて、居宅介護支援費として支払うことができるようにしたわけである。

だからケアマネジャーの単なる通院支援が日常化しないように、「利用者ひとりにつき1月に1回の算定を限度」という縛りもつけているものである。

このように通院時情報連携加算については、必要性が要件化したわけではないということを頭の隅に入れておかねばならない。そうしないとこの加算の単位数について疑問や不満が生じてしまうからだ。

なぜならこの加算を算定するためには利用者の通院に同行し、診察室まで入って(※診察を受ける際に同席しなければならないのだから、診察室外にいては同席したことにならない)、診断結果等も聴く必要があるということだ。つまりこの行為は半日がかりの行為とならざるを得ず、通院同行した日は、ケアマネジャーの日常業務の半分が奪われるのである・・・。

そうした行為に対する報酬評価がわずか50単位/回である。この単位数は、医療機関まで送り迎えするだけで、片道99単位を算定できる、「通院等乗降介助」と比較して、その半分でしかなく、ケアマネが半日かけて発生する対価としてはあまりにも低い単位数と言えるのではないだろうか・・・。コスパが異常に低い単位数で、ケアマネの業務対価としてはあまりにも馬鹿にしたような低い単位数なのである。

しかしこの加算が新設された経緯を知っておれば、今まで費用算定できなかった行為に、要件をクリアすることで費用が発生し、ただ働きの場面が減ったと考えれば、腹も立たないということになる。

何より、通院支援自体ケアマネの本来業務ではないことを肝に銘じ、やむを得ない場合の通院同行に、この加算を利用するという考え方が必要だろう。

くれぐれもこの加算で、居宅介護支援事業所の収益増を図ろうなていう馬鹿な考え方をしないでいただきたい。コスパが劣悪なこの加算にそんな期待をすれば、ケアマネはみんな過労死してしまうのである。

経営者や管理職にも、このことの理解を求める必要があるだろう・・・。
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