仕事柄、全国各地を飛び回って講演を行なっているので、そこで初対面の人に相対する機会も多い。

そうした初対面の方々に、好印象を持っていただくようにするためには、挨拶や笑顔や言葉遣いは大切にしなければならないものだと思っている。

講演を主催してくださる方は、僕にとって雇用主にも等しい方々なので、少しでも失礼があってはならない。また講演を聴きに来てくださる方がいるからこそ講師業は成り立つので、受講者の皆様もお客様そのものであろうと思う。だから少しでも嫌な思いをさせてはならないと思う。

そのため僕は、様々な場所で出会う人たちの職業や地位や年齢に関係なく、出会った方々に話しかけたり会話を行う際には、必ず丁寧語を使っている。それはことさら意識してそうしているのではなく、僕の中で当たり前のこととして、ごく自然にそうなっているわけである。

ごくたまに、僕より年下の人が初対面の僕に対して、タメ口で話しかけてくることがあるが、それはその人の「人となり」なんだと思って気にしないようにしている。ことさらそのことを注意することはない。なぜならその人は僕にとって仕事上の部下でもないし、近しい人間関係があるわけでもないのだから、いうだけ無駄であると思うからだ。関係性を継続する必要のない人に、いちいち注意したり小言を言っているほど暇ではない。

だがそのような人から、「あなたもタメ口でいいよ。きっと私の方が年下だし。」と言われた場合(過去に実際にあったことだが)、その時は一言意見する。「あなたが丁寧語で話せば解決する問題ではないですか。」って。・・・きっと嫌な奴に思われただろう。

ただそうして出会った人とつながりを持ち、長く交流していくうちに、友人ともいえる関係となって打ち解け合い、親しい関係性が生まれる中で、ごく自然に言葉を崩して会話するのが自然になることもある。それは双方の関係性のなせる業だから、当然それで良いと思っている。

しかし介護事業の中で、利用者に対してタメ口で話しかけることを、「関係性ができているから」と言い訳するのは少し違うと思う。そこで培われた関係性とは、対人援助の中でサービス提供者とサービスを受ける方という関係性であり、サービス提供者がそれを職業として金銭対価を得ている以上、相手はお客様である。

そこにおける関係性とは、顧客とサービス提供者という関係性からは決して外れることができないものであり、家族や友人関係とは根本的に異なるのだから、タメ口を使う理由を関係性に求めること自体が間違っているのである。

お客様に対しては、丁寧語で接するのが当たり前である。保健・医療・福祉サービス以外の職業では、そのことは教育するまでもない常識であり、顧客にタメ口を使った瞬間に、職場に居れなくなることの方が常識なのだ。

しかし介護業界には、このごく当たり前のことを理解できない知能レベルが低い従業員が数多く存在している。介護人材不足は、低能で接客意識を持てない人罪(じんざい)をはびこらせているのだ。

そうした輩は、利用の家族に対しては丁寧語で接しているにもかかわらず、同じその口で、介護サービス利用者にタメ口で接したりする。中には認知症の人にだけタメ口で接する人間もいたりする。そのことを指摘すると、相手の置かれた状況や気持ちに沿って、「言葉を使い分けている」と屁理屈をこねる輩も多い。

しかし利用者の置かれた状況を常に正しく把握できるという神業の持ち主はいるのだろうか?言葉を人によって変えている人は、相手の気持ちが常にわかる神のような能力を持っているとでもいうのだろうか?

残念なが僕はそのような神業を持つことは出来ないし、僕が総合施設長を務めていた特養の部下たちも、そのような能力を持つことができるとは信じることは出来なかった。だからこそサービスマナー意識を持ち、常にお客様に失礼のない態度で接し、丁寧語を日常的に使いこなすことができるように教育を行ってきた。

そもそも態度や言葉遣いを無理に使い分けると、「差別している」という誤解を与えかねない。そんなリスクを持った職員を、介護サービスという第3者の最もプライベートな空間に踏み込む場所に置いておいてよいわけがない。それは人を傷つけ、人を悲しませる最大の要因になるからだ。

そもそもマナーがある丁寧な態度や言葉は、人によって使い分ける必要がないのである。

人の感情は様々であるがゆえに、自分考え及ばない考え方や心の在り方があるのだ。そうした人間そのものに寄り添う職業では、使い分けなくとも、人に不快を与えない一定の態度を身に着け、その態度を守りぬくことこそ、人を護ることにつながるのである。

そもことを理解できない人は、介護という職業を続けてはならない。
登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで無料でサポート・厚労省許可の安心転職支援はこちらから。

※介護事業経営に不可欠なランニングコストをリスクゼロで削減できる新情報を紹介しています。まずは無料診断から始めましょう。電気代でお困りの法人・個人事業主様へ、電気コスト削減!【ライトでんき】





※別ブログ「masaの血と骨と肉」と「masaの徒然草」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。

masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。