昨日公開された、「令和3年度介護報酬改定介護報酬の見直し案 」に掲載された介護報酬単価を見渡して、僕が漠然と感じたことを脈絡なく述べたい。雑感・雑文と思って読んでいただきたい。

改定率は平均0.7%のであるが、当然のことながらサービス種別によってその率は異なり、基本部分が1%を超えて上がっているサービスと、上げ幅が0.5%に満たないサービスがある。厚労省によるとこの違いは、報酬包括された加算があることや、感染対応の費用の違い等、個別状況を勘案した結果だという。介護事業経営実態調査の収支差率もこれに当然影響していると思えるが、その詳細はブラックボックスと言ってよい。

しかし基本部分の額面だけ見て、単位数が上がった分をそのままプラス改定率分とみるのは間違いである点についてはその通りだ。

例えば施設サービス費については、口腔衛生管理体制加算(30単位/月)が廃止されたうえで、その要件の一部が簡素化され基本報酬の算定要件になっている。栄養マネジメント加算(14単位/日)も廃止されて、算定要件がそのまま基本報酬の要件となり、3年間の経過措置後に、その要件を満たしていない場合の減算規定が設けられている。よって基本部分に、実質この二つの加算分が報酬包括されたとみるべきであり、現行の基本部分より15単位上がって初めて現行と同レベルとみるべきだ。

つまり特養の新報酬単価を見ると従来型個室で言えば、要介護1と2は実質1単位引き下げ、要介護3〜5は実質現行と同じということになる。とてもではないが、ここに新たに支出が増加した感染予防対策費が含まれているとは考えられない。だからこそ新設加算・上位区分加算の拾い残しのない算定が重要となってくる。

通所介護と通所リハビリの改定幅も大きく異なり、通所介護に比べると通所リハビリの基本サービス費の引き上げ額が大きいように見える。しかしこれも見かけの額で考えるのは間違いで、通所リハビリは現行のリハビリテーションマネジメント加算機330単位/月が廃止され、すべての要件が基本サービス費の算定要件なっているので、この分が包括化されている。通所リハビリは利用者ごとに月の利用回数が異なるために、月額加算を基本部分に包括していくらになるのかという計算は難しいが、仮に10回/月利用であれば、33単位が基本サービス費に包括され始めて、現行の基本部分と同じ額となると言えるのではないだろうか。

ほとんどのサービスの基本部分単価が上がる中で、セラピストによる訪問看護の基本部分は3単位減額された。国は訪問看護ステーションのサービス提供を担う職員に占める看護職の割合が6割以上であることを指定要件に加えようとしたが、関係者の反対でそれは見送りが決まった。その際に、「厚労省のしっぺ返しが懸念される訪問看護のリハ規制見送り」という記事に書いたが、その予測が的中したわけである。厚労省の、「ウラミハラサデオクベキカ」という声が聴こえてきそうである。

ヘルパー確保が難しく、絶滅危惧サービスとも揶揄される訪問介護は、基本サービス費が身体介護・生活援助でそれぞれ1単位しか引き上げられていない。こちらの方は訪問介護関係者から、「国は訪問介護を見捨てたのか」という恨み節が聴こえてきそうである。

通所介護の生活機能向上連携加算の算定率を高めるために、外部のセラピスト等との連携をICTなどを利用して事業所を訪問せずに済むようにした新加算(機100単位/月 (新設)については、3月に1回を限度として算定できるとされている。3月で1000円しかもらえない費用の中から、外部のセラピストと一体いくらで契約できるのだろう。この加算の算定率は向上しないだろう。

現代の貨幣価値を無視するかのように、人を馬鹿にした単位数だったADL維持等加算は、算定サービスを通所介護のみから、特養と特定施設も対象拡大したうえで、単位数が10倍の30単位と60単位になった。算定要件も引き下げられたことによって、無視できる加算ではなくなり、是非とも算定したい加算に変わったと言えよう。特に個浴設備がなく、新しい入浴介助加算の上位区分を算定できない通所介護事業所は、それだけで10単位減だから、その分をカバーしてさらに収益をアップするためにも、この加算を是非算定したいところだ。算定率は大きく向上すると思われる。

笑えたのは地域包括支援センターから居宅介護支援事業所への予防プランの委託が進むよう新設された、「委託連携加算 :300単位/月」である。その算定要件が、「利用者1人につき指定居宅介護支援事業所に委託する初回に限り、所定単位数を算定。」になっているが、これでは加算全額を委託費用にして委託額に上乗せしても初回のみ3.000円増えるだけだ。これで喜んで予防プランを今より多く受託しようという居宅介護支援事業所が幾つあるだろうか。

しかも予防支援費は7単位しか上がっておらず、平均20単位以上引き上げられている居宅介護支援費と比較して、さらに差がついているのだから、当然予防プランの受託は、「よりしづらくなった」と云えよう。子供だましかと言いたくなる。

居宅介護支援費の新加算でも笑えるものがある。それは、「通院時情報連携加算 :50単位/月」である。これはケアマネジャーが利用者の通院に同行して、医師から情報提供を受けることを評価した加算だが、実質担当ケアマネによるやむを得ない通院支援の評価ともいえる加算である。その評価が通院等乗降介助(99単位)よりはるかに低い単位数である。忙しいケアマネジャーが時間を割いて、通院同行する手間としてはあまりにも馬鹿にした評価である。月1回を上限とするという算定要件は、通院同行にケアマネを便利使いすることには、かろうじてブレーキとなり得ることのみ評価するとしよう。

なお食費の標準費用が、1,445円/日(+53円)と改定されたことは、施設サービス・短期入所サービスにとっては嬉しいニュースだろう。利用者の皆さまに対して、よりおいしい食事提供に努めていただきたい。

そのほかの気づいた点等は、表の掲示板で随時議論されているので、そちらにも注目していただきたい。

さて話は変わるが、今日の午後1時20分から、京都地域包括ケア推進機構、一般社団法人京都府老人福祉施設協議会、 一般社団法人京都市老人福祉施設協議会共催・「施設看取り介護導入研修」のオンライン講演配信が始まる。

今日を皮切りに2/2と2/9の計3回、それぞれ2時間・合計6時間をかけて看取り介護の基本を理解していただく。当然、今回の報酬改定で求められる新要件も解説することになるし、withコロナの視点もふんだんに盛り込んでいる。会員で視聴予定の皆様とは長時間の付き合いとなるが、最終回までよろしくお願いします。それでは午後1時過ぎにお愛しましょう。
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