今年4月の介護報酬改定時に、特養・老健・介護医療院・看護小規模多機能が対象となる排せつ支援加算について、要件が次のように変更される。(※排せつ支援加算機銑

ア. 排せつ状態の改善が期待できる入所者を漏れなく支援していく観点から、全ての入所者に対して定期的な評価(スクリーニング)の実施を求め、事業所全体の取組として評価する。
イ .継続的な取組を促進する観点から、現行、6か月間に限って算定可能とされているところを、6か月以降も継続して算定可能とする。
ウ. 入所者全員に対する排せつ支援の取組(プロセス)への評価に加え、排せつ状態の改善(アウトカム)について評価を行う新たな区分を設ける。その際、定義や指標について、統一的に評価することが可能なものを用いる。
エ. CHASE へのデータ提出とフィードバックの活用による PDCA サイクルの推進・ケアの向上を図ることを求める。

従前の排泄支援加算は、排泄能力の向上を目指す計画作成と、その計画に基づくケアの実施に対する評価であり、排泄自立の結果を求めるものではなかったが、4月以降は従前からの評価の上位区分として、排泄機能が向上する結果を評価することになる。

その際に、従前の加算要件では、加算対象となる利用者の排泄スクリーニングしか求めていなかったものを、新たなプロセス評価については、利用者全員をスクリーニング対象とする要件に改めるとともに、それに加えて個人別の加算評価として、排泄機能が向上するというアウトカム評価を新設するというものだ。

これについて一部のマスメディアは、「特養の介護報酬にアウトカム評価を初導入 “脱おむつ”などに加算 4月から」という見出しを付けて記事配信している。

たしかに次期報酬改定では、褥瘡の発生予防や状態改善、排せつ方法の改善などで成果をあげた施設が従前より高い加算を得られるようにされているという意味で、アウトカム評価が新設されたという報道は正しい。

しかし新たな排せつ支援加算を算定する取り組みを、「脱おむつ」と称するのは真実を捻じ曲げる報道である。

「“脱おむつ”などに加算」という表現で、などという言葉がつけられているから、脱おむつ以外も視野に入れているという意味では、その表現は間違いとは言えないものの、おむつを外すことがまず一番に考えられなければならないかのような印象操作が行われる可能性が高い見出しと言え、そんなタイトル見出しを流すのは、報道機関・報道記者としてあるまじき行為ではないのか。

そのような指摘をしなければならないのは、脱おむつが前面に出されてしまえば、国の意図する給付制限に結び付き、それは著しい利用者の不利益につながる問題だからである。

もともと排泄せつ自立加算は、2018年の介護報酬改定時に新設された加算であるが、それはもともと「おむつ外し加算」として新設されることになっていて、その資料も介護給付費分科会委員や報道機関等に配布されていたのである。

その資料が直前になって撤回・回収され、現行加算となった背景には、その加算が近い将来の、介護給付費からおむつ費用を除外し、利用者自己負担化させようという意図が隠されていたからである。下記スライド画像を参照願いたい。なお資料に記載された11/29とは、2017年11月29日を指している。
旧資料・おむつ外し加算
このことは3年前に書いた、「朝日新聞DIGITALの大誤報はなぜ起こったか」・「おむつはずし加算に隠された陰謀」で真実を暴露しているところである。その真実の意図をかぎつけた関係者の強い抗議活動によって、スライドに示している資料は撤回されたのである。

今回プロセス評価に加えて、アウトカム評価を新設することは良いだろうが、そのことを安易に、「おむつ外し」と冠づけることは、この印象操作に一役買うだけの報道に陥りかねない。

記事を配信する記者は、事実だけを配信するのではなく、そこにある真実を配信することに努めるのが、ジャーナリスト魂と言えるのではないか。過去の経緯と今回の算定要件変更が、どのようにつながって、どの方向に変えられているのかを探りながら、そこにある真実を伝えようとするのが、ジャーナリストとして求められる姿勢ではないのか。

会議を視聴し、そこに配布された資料の加算要件を読んだだけで、現在の加算新設経緯にまったく視野を及ばせない見出しの付け方からは、ジャーナリストの矜持の欠片も感じられない。

その記事は、単なる垂れ流し記事と揶揄されても致し方ないだろう。日本のジャーナリズムも、ずいぶんとその使命や誇りを失ったものだと思う・・・。残念でならない。

介護関係者の皆様には、くれぐれもこの新要件や、かの報道タイトルに惑わされずにいただきたい。

そしておむつを使用せざるを得ない、「看取り介護対象者」等にとって、おむつは最も必要な介護用品であり、給付除外して自己負担化させることが、「当たり前」ではないことを理解し、周囲の意識が、「おむつ必要悪論」の印象操作に流されないように注意していただきたい。
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