2021年度の介護報酬改定の柱の一つ、「地域包括ケアシステムの推進」の中で、「看取りへの対応の充実」として、看取り期の本人・家族との十分な話し合いや関係者との連携を一層充実させる観点が取り入れられている。

介護施設等の看取り介護加算やターミナルケア加算については、現在は死亡日から遡って30日までしか算定できないが、これを死亡前45日まで遡って算定できるように改定されている。下記は特養の新算定構造図である。
看取り介護加算の新算定構造
このように看取り介護・ターミナルケアについて今以上に報酬評価することによって、その充実を促しているわけである。

またすべてのサービス種別における、看取りに係る加算の算定要件において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うことが求められている。

つまり介護事業種別に関係なく、看取り介護加算やターミナルケア加算の算定事業者は、このガイドラインに沿った対応を行っていなければ、当該加算の算定要件違反となり、加算報酬を返還しなければならない事態にもなりかねないという意味である。

ガイドライン自体はA4用紙2枚ほどの内容なので、それをじっくり精読して、何が求められているのかを理解することは難しくないと思うが、国はそのイメージを下記の図で示している。
看取り介護イメージズ
ここで求められていることは、人生の最終段階における医療やケアの在り方について、どのような方法や選択肢があるかということについて、介護サービス利用者に対し多職種連携チームからきちんと説明・情報提供されたうえで、本人の意志を確認し、その意志に基づく終末期支援が行われること、もしくは本人の意思確認ができない場合に、あらゆる情報を参考にしてその意志を推定し、推定意思を尊重した終末期支援が行われることを求めているのである。

ここで重要になることは、「心身の状態に応じて意思は変化しうるため繰り返し話し合うこと」が求められていることであり、人生会議を繰り返し行いながら、リアルタイムの意思確認が求められているということである。

そしてここで必要とされる、「看取りに関する協議等」については、特養では生活相談員、老健では支援相談員の参加が義務付けられることになっている。その意味は相談員がソーシャルワーカーとして、利用者の代弁機能をきちんと果たして、利用者の表出されない意志や希望を含めた、真の思いを引き出す役割が求められているのだろうと思う。

利用者が意思表示できない場合の、「意思推定」における相談員の代弁機能もより重要となり、日ごろのかかわりの中から、どのような思いを持った利用者であるのかを、チーム全体に知らしめる役割も積極的に求められると言ってよいだろう。

例えば僕が以前総合施設長を務めていた特養では、「延命に関する宣言に関わる相談員の役割」という記事で紹介しているように、リビングウイルの宣言として、「延命に関する宣言書」という書式で、利用者もしくは家族の人生最終段階における医療やケアに対する希望の確認事項を記録として残していた。

こうした宣言書も心身の状況の変化に合わせて修正が行われて当然であり、繰り返し行われる人生会議のたびに、以前に作成した宣言書の内容がそのままで良いか、修正する意思はないかということを確認する必要があるだろうし、その役割は相談員が担うべきだろうと思う。
※ちなみに、昨今の押印廃止の流れに基づき、この書式の署名・押印も廃止するべきだろうと思う。

このようにして人生会議では、人生最終段階における医療やケアに対する希望が繰り返し確認されていかなければならないわけだから、いざ看取り介護に移行する際には、看取り介護計画書にも、最終的に確認されたその意志は反映されなければならない。

特に第1表の、「利用者及び家族の生活に対する意向」には、人生会議というプロセスの中で確認された、「利用者もしくは家族の人生最終段階における医療やケアに対する希望」が正確に記載される必要がある。

では具体的にそれはどのように記載されるべきだろうか。2021年介護報酬改定における看取りに係る加算の新算定要件に対応した看取り介護計画書・ターミナルケア計画書の1表・2表の記載例を示したいと思うが、字数が多くなったので、このことは明日の続編に書きたいと思う。(後編に続く)
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