25日に発出された介護保険最新情報Vol900は、【「押印を求める手続の見直し等のための厚生労働省関係省令の一部を改正する省令」の公布等について】であり、法令又は慣行により国民や事業者等に対して紙の書面の作成・提出等を求めているもの、押印を求めているもの又は対面での手続を求めているものについて、今後は押印を求めないこととするとしている。

介護施設・事業所が自治体へ提出する申請書等も新たな様式とするとしたうえで、押印欄がある旧様式については、手書きによる打ち消し線を引くなど、これを修正して使用することができる。

このことに関連しては、介護報酬改定の5つの柱のうち、「4.介護人材の確保・介護現場の革新」の、「文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減の推進」の中で、次の3点が示されている。
○ 利用者等への説明・同意について、電磁的な対応を原則認める。署名・押印を求めないことが可能であることや代替手段を明示する。
○ 諸記録の保存・交付等について、電磁的な対応を原則認める。
○ 運営規程等の重要事項の掲示について、事業所の掲示だけでなく、閲覧可能な形でファイル等で備え置くこと等を可能とする。


このため今後国は、ケアプランや各サービスの計画書、重要事項説明書などの同意を利用者から得る際の押印についても、必ずしも必要ないことをルール上明確にする考えを示している。

これらの効率化がいつから有効になるか現時点で定かではないが、少なくとも来年4月からの介護報酬改定の際には、利用料金等の説明・同意について、いちいち全利用者から同意書を取る必要もなくなるし、ケアプラン等の署名・同意もいらなくなる。

とはいっても利用者や家族に、メールで料金変更のお知らせ文書を送りつけて済むという問題ではない。いらなくなるのは署名や押印であって、説明と同意は必要であることを忘れてはならない。

すると来年4月の報酬改定に伴う料金変更等の説明は、各事業者ごとに行わねばならないことに変わりはない。しかしその際の同意については口頭で構わないので、同意書を作成する必要はなく、業務日誌等でだれがいつ同意したのかという記録で良いことになる。また説明についてもいちいち対面して行う必要はなく、メールで変更内容のお知らせ文を送り、電話でその内容を説明し同意を得た記録を残しておけばよい。

しかし利用者全員に電話で説明を行うのは、かえって手間である。そこで考えられる方法は、例えば介護施設なら、一度は利用者や家族を集めて説明会を行う機会を持ってよいと思う。そこで説明を受けた人については、口頭で同意をいただき記録に残しておけばよい。そしてその説明会を動画録画しておき(スマホでの録画でも十分だ)、それをユーチューブ等にアップしたうえで、当日説明会に来ることができなかった人については、メールで料金変更のお知らせ文を送り、そこに説明会の動画をダウンロードできるURLを書いて知らせ、その説明を見たうえで同意する旨をメールの返信もしくは、電話で返答いただくようにお願いしても有効となるだろう。

居宅サービス事業所も、あらかじめ説明動画を録画して、それを見ていただいて口頭同意をいただくだけで良いだろう。同じ説明を何回もしないように、動画録画は推奨される方法だ。

ケアプラン同意等についても、利用者本人ではなく家族から同意を得る場合には、メールと電話を使った同意が主流になってくるかもしれない。

おそらく利用料金の請求書・領収書等の押印もいらなくなり、電磁的方法で請求書・領収書の発行も可能とされるだろう。(※ちなみに確定申告などで必要な領収書は、既に押印がなくても有効とされている。)

これらをいちいち郵送する必要がなくなれば、事務処理業務は大幅に削減されることになる。喜ばしいことだ。

そうなると問題は、内部決裁文書の扱いになる。

行政への申請文書をはじめ、請求書や領収書も押印が必要なくなるのに、内部文書だけ押印が必要で、判子を常に職場に備え置く必要があるというのはおかしい。内部決裁の押印文化もやがて消えゆき、確認も署名のみということになっていくだろう。もしかしたら署名さえ必要ない確認方法が各事業者ごとに発案されていくかもしれない。それも大いに結構だ。

どちらにしても文書をよく確認もしないで、判子を押すことだけに時間をとられるということがなくなることは良いことだ。押印が必要なくなることで、逆に文書内容を確かめる習慣がつくかもしれないし、そのことはポジティブに捉えたら良いのではないかと思う。
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